論文「位置的頭蓋変形症に対する疾患認識と健診・予防の重要性」をわかりやすく解説してみます
面白い論文をよんだのでご紹介していきたいと思います。赤ちゃんの頭の形について、歴史的な観点も交えながら解説します。
Title 位置的頭蓋変形症に対する疾患認識と健診・予防の重要性
Subtitle 第67回日本新生児成育医学会・学術集会 合同シンポジウム 日本頭蓋健診治療研究会合同シンポジウム
Authors 草川功*1*2, 楠田聡*3*4
Organization *1元聖路加国際病院 小児科, *20歳からの頭のかたちクリニック, *3新生児臨床研究ネットワーク, *4東京医療保健大学
Journal 日本新生児成育医学会雑誌
Volume 36
Number 2
Page 283-286
Year/Month 2024 / 6
人間と頭の形
古くから、人間は顔だけでなく、頭の形にも高い関心を持っていました。たとえば、かつて高貴な身分の人々の間で、あえて頭を細長く見せるために長頭症(特定の形に頭を整えること)を行う文化があったことは、その証拠です。頭の形の変化は、人種や生活習慣の違いによっても影響を受けてきました。日本人の頭の形も例外ではありません。江戸時代までは前後に長い頭の人が多かったとされていますが、明治時代以降、現代のような丸い頭が増えたと言われています。
欧米と日本の認識の違い
1992年に米国で乳児突然死症候群(SIDS)の予防策として「仰向け寝」が推奨されると、欧米では斜頭症(頭の一部分が平らになること)の赤ちゃんが劇的に増加しました。
一方、日本ではもともと仰向け寝が一般的だったため、この変化はそれほど大きな問題として認識されませんでした。この歴史的な背景が、現在も続く欧米と日本での「位置的頭蓋変形症」に対する認識の差を生んだ一因と考えられます。しかし、グローバル化が進む現代においては、日本でもこの問題を単なる見た目の問題としてではなく、医療的な疾患として捉え、適切な診療体制を確立していくべき時期に来ています。
ユアクリニックお茶の水での取り組み
ユアクリニックお茶の水では、赤ちゃんの頭の形に関するお悩みにも真摯に向き合っています。
当院は、赤ちゃんの頭の形を整えるベビーヘルメットの専門家として、適切なアドバイスとサポートを提供しています。しかし、最も重視しているのは、病気になる前に、あるいは重症化する前に「予防」することです。
位置的頭蓋変形症は、赤ちゃんの頭がまだ柔らかいうちに、寝る向きを変えたり、タミータイム(うつ伏せ練習)を取り入れたりすることで、改善が見込める場合が多くあります。
お子さんのことで何か気になることがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。