何をいまさら!?風邪に抗生剤だしても医療機関お金もらえず
「風邪やインフルエンザで病院に行っても、抗生物質は出してくれない」っていうニュースをみかけました。
実はこれ、国が「風邪やインフルエンザの治療に抗生物質を使っても、医療機関にはお金を払いません」って決めたってことなんです。
若い頃のとんがっていた僕は研修医時代から「風邪やインフルエンザに抗生剤だす医者は医師免許とりあげたほうがいいんじゃないか」というくらい息巻いていたのです。
なので、30年近くたってやっと国が方針を変更してくれたのですね。
いろいろなシーンが思い出されます。
研修医1年目で、抗生剤をだす助教授に、「教科書にはウイルスの風邪に抗生剤をだしてはいけない、って書いてありますけど、なぜ処方するんですか?」
「肺炎球菌ワクチンとか、髄膜炎ワクチンをしっかりうっている米国と、ワクチンが10年遅れている日本では状況がちがうんだよ」
そんなものかな・・・と疑問を
なんで抗生物質を出してくれなくなるの?
それは、風邪やインフルエンザが「ウイルス」の仕業だからなんです。
抗生物質は、「細菌」を倒すための薬なんです。だから、ウイルスが原因の病気に飲んでも、全然効くはずもないんです。たとえば、サッカーの試合で野球のバットを使っても点が取れないのと同じですね。
それどころか、不必要に抗生物質を使いすぎると、体の中にいる細菌が「この薬、効かないぞ!」とパワーアップして、「薬剤耐性菌」っていう、薬が効かない最強の細菌になってしまうんです。そうなると、本当に抗生物質が必要な病気、例えば肺炎になったときに、薬が効かなくて大変なことになってしまうんですね。事実、現在、病院に入院した高齢者に使える抗生剤がもうない、っていう場面はめずらしくありません。
この「薬剤耐性菌」が増えないようにするために、今回のルールができたのですね。
僕たちのお金は?
この新しいルールは、あくまで病院と国の間のお金の話だから、皆さんが病院の窓口で払うお金(自己負担額)は変わらないから安心して下さいね。
風邪やインフルエンザのときは、もしあれば、ウイルスをやっつける薬を飲んだり(ほとんどないんです)、熱さましや咳止め、漢方薬で症状を楽にするのが基本になります。
わからないことがあれば、いつでもご相談ください!