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小児てんかん発作、その時、保護者としてどう動く?

[2025.08.20]

8月20日。今から11年前のこの日、広島では大雨が降り続き、土砂災害の危険が高まりました。自然の力は時に私たちの想像を超えるものですが、そんな時こそ、いざという時の備えや、正しい知識を持つことが大切だと改めて感じます。地域総合小児科医の杉原です。

今日は、少しだけデリケートなテーマ、「子どものてんかん発作」について、ユアクリニックお茶の水にやってきたあるママのエピソードを交えながらお話ししたいと思います。


「どうしたらいいかわからなくて…」ひなたちゃんのママの物語

(これはフィクションです)

「先生、うちのひなたが、今日、急に…」

そう言って、少し震える声で話し始めたのは、4歳の「ひなた」ちゃんのママでした。ひなたちゃんは、これまで特に大きな病気もしたことがなく、元気いっぱいの女の子です。しかし、今日お昼寝から起きた後、突然、手足がガクガクとけいれんし、意識がなくなったように見えたそうです。

ママは、突然の出来事にパニックになり、どうしていいか分からず、ただただひなたちゃんを抱きしめることしかできなかったと言います。幸い、数分で発作は治まりましたが、ママは「またいつ、あんなことが起きるんだろう…」と、不安でいっぱいの表情でした。


脳の「ショート」?てんかん発作の身近な例え話

まず、てんかんという病気について、少しだけ簡単に説明しますね。

てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰な電気信号を出すことで、意識を失ったり、体がけいれんしたりする発作を繰り返す病気です。

これを、私たちの身近にあるものに例えてみましょう。家の中にある電気配線を想像してみてください。通常、電気は決められたルートを通り、照明や家電を動かしています。しかし、何らかの原因で配線がショートしてしまうと、火花が出たり、ブレーカーが落ちたりしますよね。てんかん発作は、この「ショート」のようなものです。脳の中の電気回路が一時的に乱れ、正常な働きができなくなってしまう状態なのです。


「落ち着いて、見守る」ことが最優先

ひなたちゃんのママに、私はこう伝えました。

「あの時、ひなたちゃんのそばにいてあげたこと、それだけで十分ですよ。そして、次に発作が起きたとしても、決してパニックにならず、落ち着いて行動することが一番大切です。」

具体的には、以下の3つのポイントを覚えておいてください。

  1. 安全の確保: 周囲にぶつかりそうなもの(机の角、おもちゃなど)があれば、それらをどけてください。頭の下に柔らかいもの(タオルやクッションなど)を敷いてあげると、頭を打つのを防げます。

  2. 無理に体を抑えない: 発作中に無理に体を抑えつけると、骨折などの怪我につながることがあります。

  3. 様子を観察する: 発作がどれくらいの時間続いたか、体のどの部分がどのように動いたかを観察してください。これは、後で医療機関を受診した時に、とても大切な情報になります。

ひなたちゃんのママは、私の話を聞きながら、何度も頷いていました。


不安が安心に変わる瞬間

数週間後、ひなたちゃんのママが再びユアクリニックお茶の水に来院されました。

「先生、おかげさまで、あれからひなたの発作はありません。でも、もしまた発作が起きても、先生に教えてもらったことを思い出して、落ち着いて行動できると思います。不安でいっぱいだった気持ちが、今は安心に変わりました。」

そう話すママの表情は、以前とは全く違い、とても穏やかでした。

ユアクリニックお茶の水では、ひなたちゃんのようなお子さんの健康を、多角的にサポートしています。小児アレルギーや小児漢方にも精通しており、お子さんの体質に合わせた診療を行っていますが、最も重視しているのは予防です。特に、安全なワクチン接種を通して、お子さんの健康を長期的に守ることを強く願っています。

てんかん発作は、適切な知識と対応があれば、決して怖いものではありません。今回お話ししたような動画を家族や、学校の先生方と共有し、万が一に備えておくことをお勧めします。

【てんかん発作時の正しい対応】

国立精神・神経医療研究センターの動画がとてもわかりやすく作られています。ぜひご覧になってください。


てんかん発作以外にも、子育てで気になることがあれば、いつでもユアクリニックお茶の水に相談してくださいね。

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