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論文「特集 知っておくべき頭蓋変形の診かた」をわかりやすく解説してみます

[2025.08.19]

今日は、赤ちゃんの頭の形、特に頭蓋変形症についての論文「特集 知っておくべき頭蓋変形の診かた」をわかりやすく説明してみようと思います

Subtitle 特集 知っておくべき頭蓋変形の診かた
Authors 吉田丈俊
Authors (kana)
Organization 富山大学附属病院 周産母子センター 新生児部門
Journal 日本新生児成育医学会雑誌
Volume 37
Number 1
Page 2-5
Year/Month 2025 / 2

なぜ頭の形がいびつになるの?

1990年代に、乳児突然死症候群(SIDS)という悲しい事故を防ぐため、「仰向け寝」が強く推奨されるようになりました。この取り組みにより、SIDSは大幅に減少しましたが、一方で、長時間同じ姿勢で寝ることで、頭の一部が平らになる「位置的頭蓋変形症」の赤ちゃんが増加しました。

この変形は、まるで柔らかい粘土に圧力がかかって形が変わるように、赤ちゃんの柔らかい頭蓋骨が、同じ場所に持続的に圧迫されることで生じます。

頭蓋変形症のリスク因子

頭の形がいびつになりやすい赤ちゃんには、いくつかの特徴があります。

  • 早産児筋力が弱い赤ちゃん: 頭を動かす力が弱く、同じ方向を向きがちになります。

  • 出生前の要因: お腹の中にいるときの胎位や、多胎妊娠による頭への圧迫が原因となることがあります。

  • 社会的な要因: 育児グッズの使用や、母親の高齢化に伴う抱っこの減少なども影響しているとされています。

予防が何よりも大切

軽度の頭蓋変形は自然に改善することも多いですが、重症の場合は早期の介入が重要です。何よりも大切なのは、いびつな形になる前に予防することです。

具体的な予防策として、ご家庭でできることがあります。

  1. 寝る向きをこまめに変える: 毎回同じ向きで寝かせるのではなく、左右交互に頭の向きを変えてあげましょう。

  2. 授乳姿勢を工夫する: 授乳時も左右の抱き方をバランスよく取り入れることで、頭にかかる圧力を分散させます。

  3. タミータイムの実施: タミータイムとは、赤ちゃんを大人が見守る中で、うつ伏せで遊ばせることです。これは、米国小児科学会(AAP)も1日2~3回の実施を推奨しており、首や背中の筋肉を鍛え、運動発達を促す効果も期待できます。

医療者とご家族の連携

海外、特にオーストラリアでは、頭蓋変形の予防パンフレットを配布するなど、国を挙げて母親教育を積極的に行い、成果を上げています。私たち医療者も、親御さんへの丁寧な説明と指導が求められています。

ユアクリニックお茶の水では、赤ちゃんの頭の形に関するご相談はもちろん、小児アレルギー小児漢方の専門的な診療も行っています。そして、最も力を入れているのは、病気になってから治すのではなく、未然に防ぐ「予防」です。安全なワクチン接種を通じて、お子さんの健やかな成長を支えることを強く願っています。

お子さんの健康で気になることがありましたら、些細なことでもお気軽にご相談ください。

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