「苦手克服!?」小児科医が教える、お子さんの漢方薬、楽しく飲むヒケツ!
今日は少し、お子さんの漢方薬についてお話ししたいと思います。皆さんは、漢方薬と聞くと、どんなイメージをお持ちですか?「苦そう…」「子どもが飲んでくれるかな…」そんな心配をされる方も少なくないかもしれませんね。
実は私、小児漢方にも力を入れているんです。しかし、私が漢方薬を皆さんにお勧めする理由は、決して「漢方薬を飲ませることがゴール」ではありません。あくまで、お子さんが早く元気になってくれるための手段として、様々な選択肢の一つとして、漢方薬があるということを知っていただきたいのです。
「え、飲むの?」漢方薬を嫌がるお子さんのエピソード
(これはフィクションです)
先日、5歳の女の子、ひまりちゃんがママと一緒にユアクリニックお茶の水に来院しました。ひまりちゃんは、季節の変わり目になると咳が止まらなくなり、夜も眠れないほど。ママは心配して、以前から漢方薬を試したいと考えていたそうです。
診察室で、私がひまりちゃんに漢方薬を処方すると、ママは少し困った顔で言いました。
「先生、ありがとうございます。でも、うちの子、粉薬が大の苦手で…この漢方薬、飲んでくれるか心配です…」
実は、このようなお話はよく耳にします。お子さんにとって、慣れない味や匂いのする漢方薬は、なかなかハードルが高いものですよね。
漢方薬は「強制」ではありません!大切なのは「治るための手段」
私は決して、漢方薬を強制することはありません。もし、「うちの子は絶対に飲めない!」と、あらかじめ問診票などに書いていただければ、無理にお勧めすることはありませんので、ご安心ください。大切なのは、お子さんが治療を通して元気になっていくことです。漢方薬はそのための「便利なツール」の一つだと考えています。
でも、せっかく処方された漢方薬、もし上手に飲める方法があるのなら、試してみたいと思いませんか?
これなら飲めるかも!?漢方薬を美味しく飲む秘訣!
ひまりちゃんのママも、私がお伝えしたいくつかの工夫を試してくれました。
1. 乳幼児の赤ちゃんの場合
- 少量のお白湯で練って、お母さんの指先で上顎やほっぺの内側になすりつけます。
- 味わう前に、すぐに母乳やミルクで飲み込ませてあげましょう。
- ミルクを少量垂らして練っても大丈夫ですよ。
- 1回量が多い場合は、少量ずつ分けて飲ませてあげてください。
2. 幼児・学童の場合
ひまりちゃんくらいの年齢のお子さんには、いくつかの方法があります。
- お湯に溶かす: 30mlのお湯に漢方薬を入れてかき混ぜ、5分ほど置いてなじませると溶けやすくなります。 溶けにくい場合は、電子レンジで30秒ほど温めてみてください。(かなり熱くなるので、冷水で調整してくださいね。)
- 単シロップに溶かす: お湯50mlに溶かした漢方薬に、単シロップをスプーン2〜3杯加えて甘さを調整します。 冷やすとさらに美味しく感じますよ。
- 粉をそのまま:
- 先に粉を舌に乗せて、水分で飲み込ませる。
- 先に水分を口に含み、そこに粉を入れて飲み込む。
- 先に粉を舌に乗せて、水分で飲み込ませる。
- 混ぜて味を工夫する: お子さんの好みや食物アレルギーの有無に合わせて、色々なものと混ぜてみましょう。
- 比較的飲みやすいのは、ココア、アイスクリーム、リンゴジャム、練乳などです。
- アイスと混ぜる場合は、スプーンで「アイスのみ」→「アイス入り漢方」→「アイスのみ」の順に食べると、漢方薬の味をマスクできます。
- 実は、カレー、味噌汁(小建中湯)、のりの佃煮(ごはんですよ)、マヨネーズ(小青竜湯)などと混ぜる工夫もできますよ。 漢方薬の製剤はもともと高熱でフリーズドライにされているので、熱い食べ物と混ぜても大丈夫です。
- 比較的飲みやすいのは、ココア、アイスクリーム、リンゴジャム、練乳などです。
ひまりちゃんのママは、お湯で溶かした漢方薬に少しだけココアを混ぜてみたり、アイスクリームに混ぜてみたりと、色々試してくれました。すると、なんと!ひまりちゃんが「これなら飲める!」と言ってくれたのです。
そして、最近、あるママさんから素敵な情報を教えていただきました!なんと、ブルーベリーはちみつ を使うと、漢方薬を喜んで飲んでくれるようになったとのこと!これは嬉しいニュースですね。ただし、はちみつは1歳未満のお子さんには使えませんので、ご注意ください。もしご興味があれば、ぜひ試してみてくださいね。
食物アレルギーのあるお子さんは要注意!
一点、注意していただきたいのが、食物アレルギーのあるお子さんの場合です。 漢方薬のエキス剤の中には、アレルゲン物質が含まれているものがあります。
- 小麦アレルギーのお子さんは、膠飴(黄耆建中湯、小建中湯、大建中湯)や小麦(甘麦大棗湯)に注意が必要です。
- ゴマアレルギーのお子さんは、胡麻(消風散)に注意が必要です。
- 大豆アレルギーのお子さんは、黄耆や甘草を含む漢方薬に注意が必要です。
ご心配な場合は、遠慮なくお声がけくださいね。問診の際にアレルギーについてもお伺いしていますので、ご記入いただけるとスムーズです。
ひまりちゃんは、漢方薬を上手に飲めるようになったおかげで、咳も落ち着き、ぐっすり眠れるようになりました。ママもホッとした様子で、笑顔が増えました。
私はこれからも、皆さんが安心して子育てできるよう、様々な情報を発信していきます。
ユアクリニックお茶の水は、お子さんの成長を応援しています。何かご心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。