メニュー

赤ちゃんの頭のゆがみ、ヘルメット治療後も大丈夫? お答えします

[2025.09.04]

こんにちは!「ユアクリニックお茶の水」の杉原です。

小児科医として、お子さんの健やかな成長をサポートさせていただく中で、最近、赤ちゃんの頭の形についてご相談に来られる保護者の方がとても増えています。

「うつぶせ寝をさせるとSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが高まるから、仰向けで寝かせているけど、なんだか頭がぺたんこになってきたみたい…」

「ヘルメット治療で頭の形は良くなったけど、治療をやめたら、またゆがんでしまわないか心配で…」

そんなお悩みに、私も深く共感しています。

実は、この「向き癖」や「頭のゆがみ」は、正式には「位置的頭蓋変形症(いちてきずがいへんけいしょう)」、または「頭蓋骨変形症」と呼ばれます。専門的な言葉で難しく聞こえるかもしれませんが、これは病気ではなく、寝る姿勢や子宮内での姿勢など、外からの圧力が原因で頭の形がゆがんでしまうことなんです。

特に日本では、赤ちゃんを仰向けで寝かせる習慣があるため、このお悩みはとても身近なものになっています。

お子さんの頭の形が気になって、ヘルメット治療を検討したり、すでに治療を終えられたりした保護者の方にとって、一番気になるのは「治療を終えた後、頭の形は元に戻ってしまうの?」という点ではないでしょうか?

今回は、その心配にお答えするために、ヘルメット治療後の赤ちゃんの頭の形がどのように変化していくのか、最新の研究結果を交えてお話ししたいと思います。

Natural Progression of Cranial Shape Following Helmet Therapy for Deformational Plagiocephaly
J. Clin. Med. 2025, 14(2), 357; https://doi.org/10.3390/jcm14020357

こちらでAIが論文内容の質問にお答えします

赤ちゃんの頭はなぜゆがむの?

まず、赤ちゃんの頭の骨は、とても柔らかく、成長するにつれて少しずつ固まっていきます。

生まれたばかりの頃は、頭の骨と骨の間に「大泉門(だいせんもん)」と呼ばれる隙間があります。

これは、成長に合わせて頭が大きくなるための大切なスペースです。

生後6ヶ月から12ヶ月頃に頭囲が急成長するため、この時期に同じ向きで寝ている時間が長くなると、頭の一部に継続的な圧力がかかり、ゆがみやすくなってしまいます。

こうしたゆがみを改善するために、頭を優しく包み込み、成長を促すことで形を整えるのがヘルメット治療です。

 

ヘルメット治療の効果と治療後の経過

私たちのクリニックでも、ヘルメット治療で素晴らしい結果が出ていることを実感しています。

研究でも、ヘルメット治療を始めた時の平均的な頭のゆがみ具合(CVAIという指標で測ります)が約10.5%だった赤ちゃんたちが、治療を終える頃には約4.2%まで改善しています。

これは、治療前は「重度」と「軽度」の間だったゆがみが、治療後には「正常」と評価されるレベルまで回復したことを示しています。

もちろん、お子さん一人ひとりの状態によって治療の効果は異なりますが、この結果は、ヘルメット治療が中等度から重度の頭のゆがみにとても効果的であることを示しています。

しかし、この治療は、赤ちゃんの骨が柔らかく、頭が急速に成長する生後6ヶ月までに始めることが推奨されています。早く始めるほど、より良い効果が期待できます。

そして、皆さんが一番気になる「治療後の頭の形」についてですが、研究結果によると、ヘルメット治療を終えた後から1歳になるまでの間に、頭のゆがみはほとんど悪化しなかったことがわかっています。

ごく一部の赤ちゃんにわずかな悪化が見られましたが、全体としては、治療で得られた良い状態がしっかりと維持されることが示されています。

だからといって全員ではないということに注意です。

当院でも卒業間際にヘルメットを外された時間が長くなってしまったためか、若干ゆがみの悪化がおきたという例も経験しています。

先の論文をながめていると、ヘルメットを外してからわずかですがゆがみの悪化はあるものの、平均すると問題のないレベルにおちつくということがわかります。

この結果は、ヘルメット治療を検討されている方、そして治療を終えられたばかりのご家族にとって、大きな安心材料になるのではないでしょうか。

治療を終えた後も、できることはあります

ヘルメット治療で頭の形が整った後も、引き続き、お子さんの健やかな成長をサポートしてあげることが大切です。

赤ちゃんが寝る時には、できるだけ同じ向きばかりにならないように、向きを変えてあげたり、遊びの中でうつ伏せで過ごす「タミータイム」を取り入れたりすることをお勧めします。

特に、頭の骨の隙間である「大泉門」が閉じる1歳から1歳半頃までは、意識的に向きを変えてあげると良いでしょう。

 

杉原院長からのメッセージ

私自身、小児アレルギーや小児漢方の専門でもありますが、最も大切にしているのは「病気を未然に防ぐこと」です。

そのためには、安全なワクチン接種はもちろん、お子さん一人ひとりの成長をしっかり見守り、ご家族の不安に寄り添うことが欠かせません。

赤ちゃんの頭のゆがみは、見た目の問題だけでなく、その後の成長に影響する可能性も指摘されています。だからこそ、私たち小児科医は、その心配を軽くしてあげるお手伝いをしたいと考えています。

ユアクリニックお茶の水では、お子さんの頭の形についてのご相談をいつでもお受けしています。

もし少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

お子さんの成長を一緒に見守り、応援させていただけたら嬉しいです。

ご予約はこちらからどうぞ。

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME