赤ちゃんの頭のゆがみは自然に治る?専門医が教える受診の目安と見分け方
7〜8か月頃の赤ちゃんの頭の形|絶壁や左右非対称が気になる親御さんへ
生後7か月から8か月頃のお子さんを持つ親御さんやご祖父母の皆様、毎日の育児お疲れ様です。この時期になるとお座りが上手になったり、ハイハイを始めたりとお子さんの行動範囲が広がり、日々たくましい成長を感じられますね。それと同時に、ふとお風呂上がりや寝ている姿を見たときに、赤ちゃんの頭の形が左右非対称だったり、後ろ側が平らな絶壁になっていたりすることに気づき、不安を感じてはいませんか。周りの人から、「そのうち髪の毛が生えれば目立たなくなる」とか、「寝返りを打つようになれば自然に治る」と言われても、我が子のこととなるとどうしても気になってしまうものです。
赤ちゃんの頭のゆがみが自然に治るケースと治療が必要なケース
赤ちゃんの頭の骨は驚くほど柔らかく、脳の急速な成長を妨げないために柔軟な構造をしています。しかしそれゆえに、一定の方向ばかりを向く向き癖などがあると、平らな床に触れている部分に重力がかかり、変形が進行しやすくなります。軽度なゆがみであれば、成長に伴って自然と目立たなくなることも確かにあります。しかし、頭蓋変形率が中等度や重度と呼ばれる段階にまで進行してしまうと、残念ながらいかなる月齢であっても自然に大幅な改善を期待することは困難になるのが医学的な現実です。そのうち治るだろうと放置せず、適切な時期に評価を行うことが重要です。
専門医が教える受診のタイミングと家庭でできるチェック方法
では、専門医を受診すべきタイミングや、ご家庭での見極めの最重要サインはどこにあるのでしょうか。ヘルメット矯正治療などを視野に入れる場合、受診のベストチャンスは生後3か月から4か月頃、遅くとも生後2か月から6か月の間とされています。この時期は首がすわり始めるため、赤ちゃんが自ら頭を動かせるようになる大事な節目です。
ご家庭で確認できる「追視」のチェック手順
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おもちゃを目線の先に用意する
赤ちゃんがお気に入りのおもちゃや、はっきりと見える色のおもちゃを目の前に提示します。 -
おもちゃを左右にゆっくり動かす
おもちゃを目の前で左右にゆっくりと動かし、赤ちゃんの顔の動きを観察します。 -
顔の向きと眼球の動きを確認する
頭を左右対称にスムーズに動かしていれば心配ありませんが、追視の左右差がある場合は注意が必要です。
頭のゆがみや向き癖が強い赤ちゃんは、扁平化した頭と反対側へ自ら顔を向けることができず、顔は正面を向いたまま眼球だけでおもちゃを追うような動きをします。この追視の左右差こそが、自然に治ることが難しいサインなのです。
早期の適切な診断が健やかな成長への第一歩です
もしこのような左右差が見られたとしても、決してご自身を責めたり、焦ったりしないでください。このサインは、頭蓋骨縫合早期癒合症という頭の骨が通常より早くくっついてしまう病的なゆがみが隠れていないかを含め、私たち専門医が正しく鑑別し、適切な評価を行うための大切な第一歩に過ぎません。当院では、20年以上のキャリアを持つ小児科専門医として、親御さんの不安に寄り添いながら、心理的安全性に配慮した診察を行っています。治療ありきではなく、まずは専門の医療機関に相談し、これからの健やかな成長のために、一緒に最適な解決策を見つけていきましょう。
赤ちゃんの頭のゆがみに関するよくある質問
生後7〜8か月を過ぎてから頭のゆがみに気づいた場合でも、今からできる対策はありますか。
この月齢からでも、起きている時間にうつ伏せで過ごす時間を増やしたり、抱っこの向きを意識して頭の同じ場所に圧力がかかり続けないようにする工夫が有効です。ヘルメット治療の適応期間には限りがありますが、まずは現在の変形の程度を専門医に正しく評価してもらい、今後の関わり方を相談することをお勧めします。
追視の左右差がある場合、必ずヘルメット治療を行わなければならないのでしょうか。
いいえ、必ずしもヘルメット治療が必要なわけではありません。追視の左右差は専門医による詳細な評価が必要なサインという位置づけです。体位変換の工夫や寝かせ方の指導だけで改善が期待できるケースもありますので、治療法の選択肢については診断を基に親御さんと話し合って決定します。
頭のゆがみを放置すると、将来の脳の発達や運動機能に影響が出ますか。
向き癖などによる一般的な頭のゆがみ(位置的頭蓋変形)の多くは、脳の発達や知能に直接的な悪影響を及ぼすことはないとされています。ただし、非常に重度な変形の場合は、将来の噛み合わせや眼鏡のフィット感、外見的な左右非対称が残るリスクがあるため、早期の相談が推奨されます。
注意が必要な疾患と専門医による鑑別診断
| 頭蓋骨縫合早期癒合症 | 頭の骨のつなぎ目が通常よりも早い時期にくっついてしまう病気です。位置的頭蓋変形とは異なり、脳の発達を妨げるリスクがあるため手術が必要となるケースがあります。追視の左右差や頭の形の異常が、この病気の初期サインである可能性を専門医が厳密に鑑別する必要があります。 |
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| 先天性筋性斜頸 | 首の筋肉に良性のしこりができるなどして、頭が常に片側に傾いてしまう疾患です。この向き癖が原因で二次的に頭のゆがみが引き起こされるため、頭自体のゆがみだけでなく、首の筋肉の緊張や可視的なしこりの有無を小児科や整形外科で鑑別することが重要です。 |
| 先天性頭蓋癆 | 頭蓋骨の一部が部分的に軟化し、指で押すとペコペコとへこむ状態の疾患です。生後数か月の正常な赤ちゃんにも一時的に見られることがありますが、ビタミンD欠乏症などの代謝性疾患が背景にある場合もあります。頭のゆがみと同時に骨の強度の異常がないかを小児科医が評価します。 |
