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保育所におけるアレルギー対応ガイドラインを解説

🌸 保育所でのアレルギー対応ガイド
お子さんを守るために知っておきたいこと

出典:厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」をもとに作成

このページは、保育所に通うお子さんのアレルギーについて、保護者のみなさんにわかりやすくお伝えするために作成しました。医師が記入する「生活管理指導表」の内容から、緊急時の対応まで、大切なことをまとめています。

第Ⅰ部

基本編:アレルギーの基礎知識と保育所での対応

1. アレルギー疾患とは

🔑 ポイント
  • アレルギーとは、本来は体に害のないものに対して、体が過剰に反応してしまう状態です。
  • 保育所でよく見られるアレルギーには、食物アレルギー・アナフィラキシー・気管支ぜん息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性結膜炎・アレルギー性鼻炎があります。
  • アレルギーになりやすい体質の子は、年齢とともに次々と別のアレルギー疾患を発症することがあります(アレルギーマーチ)。

アレルギーって何?

私たちの体には「免疫」という、ウイルスや細菌などの敵から体を守る仕組みがあります。アレルギーとは、この免疫が食べ物や花粉など本来は害のないものに対して、過剰に反応してしまう状態のことです。

たとえば、卵を食べても普通は何も起きませんが、アレルギーを持つ子どもの体は「卵=敵!」と誤解して攻撃してしまい、じんましんや呼吸困難などの症状を起こします。

子どもに多いアレルギー疾患

保育所で特に注意が必要なアレルギー疾患は以下の6つです。

【各アレルギー疾患と保育所での注意が必要な場面】

保育所での場面 食物アレルギー 気管支ぜん息 アトピー性皮膚炎 アレルギー性結膜炎 アレルギー性鼻炎
🍽️ 給食の時間
🥚 食材を扱う活動
😴 お昼寝
🌸 花粉・ほこりの多い環境
🏃 長時間の屋外活動
🏊 プール
🐇 動物との触れ合い

◎=特に注意が必要な場面 △=状況によって注意が必要な場面

アレルギーマーチとは?

アレルギーになりやすい体質(アトピー素因)を持つ子どもは、成長するにつれて次々と別のアレルギー疾患を発症することがあります。これを「アレルギーマーチ」といいます。

アレルギーマーチのイメージ

成長とともにアレルギーが変化・重なることがあります(全員ではありません)

① 乳児湿疹・食物アレルギー(0〜3歳ごろに多い)
② 気管支ぜん息(2〜7歳ごろに多い)
③ アレルギー性鼻炎・結膜炎(5歳以降〜成人まで続くことも)
0歳2歳5歳7歳12歳成人 ▶

図:アレルギーマーチのイメージ(原図:厚生労働省ガイドラインをもとに独自作成)

💡
アレルギーマーチはすべての子どもに起こるわけではありません。ただし、ひとつのアレルギーを持つお子さんは、他のアレルギーにも注意が必要な場合があります。主治医や保育所と連携して対応しましょう。

2. 保育所でのアレルギー対応の基本

保育所が守るべき4つの原則

✅ 保育所のアレルギー対応 4つの原則
  1. 全職員が共通理解を持ち、組織的に対応する
    アレルギー対応委員会を設け、マニュアルを作成。緊急時・災害時も想定した対策を取ります。
  2. 医師の診断指示に基づき、保護者と連携する
    「生活管理指導表」に基づいた対応が必須です。
  3. 地域の専門機関と連携する
    アレルギー専門医・医療機関・消防機関と日頃から連携します。
  4. 食物アレルギーは安全を最優先する
    「完全除去」か「解除」の二択で対応。家庭で食べたことのない食品は保育所では提供しません。

生活管理指導表とは?

「生活管理指導表」は、アレルギーのある子どもの情報をかかりつけ医・保護者・保育所の3者で共有するための大切な書類です。

📋 生活管理指導表の流れ
入園時に保護者から申告
保育所が書類を渡す
かかりつけ医が記入
保護者と保育所で面談
全職員で共有
年1回以上見直す
📌
保護者の方へ:生活管理指導表はかかりつけの先生(ユアクリニックお茶の水でも!)に記入をお願いしてください。お子さんの保育所での生活の様子をできるだけ詳しく先生に伝えると、より適切な対応内容を記入してもらえます。

各アレルギー疾患の特徴と対応

① 食物アレルギー・アナフィラキシー

特定の食べ物を食べた後、皮膚・呼吸器・消化器などにアレルギー反応が出る疾患です。ほとんどの場合、食べ物のタンパク質が原因です。

アナフィラキシーとは、複数の症状(じんましん+腹痛+呼吸困難など)が同時に急激に出た状態です。血圧が下がって意識がなくなるような場合を「アナフィラキシーショック」と呼び、生命にかかわります。

🍽️ 保育所での対応ポイント
  • 給食は「完全除去」か「解除」の二択でシンプルに対応する
  • 保育所で「初めて食べる」食品がないよう保護者と事前に確認する
  • 万一に備えてエピペン®の管理と緊急対応体制を整える

② 気管支ぜん息

ゼーゼー・ヒューヒューという音(喘鳴)を伴う呼吸困難を繰り返す疾患です。ダニ・ホコリなどのアレルゲンにより、空気の通り道(気道)が炎症を起こして狭くなります。

🫁 保育所での対応ポイント
  • 室内の掃除だけでなく、寝具の管理(防ダニシーツなど)が重要
  • 治療状況を保護者と共有し、運動時の対応を事前に相談する

③ アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹が出たり治ったりを繰り返す皮膚の病気です。悪化する原因(ダニ・ホコリ・食物・汗など)は子どもによって異なります。

🩹 保育所での対応ポイント
  • 皮膚が刺激に敏感なため、状態が悪い時は皮膚への負担を減らす配慮をする
  • 外遊び・プール時の対応も保護者と相談する

④ アレルギー性結膜炎

目の粘膜(結膜)にアレルギー反応が起き、目のかゆみ・涙目・充血などが出る疾患です。スギ花粉・ダニ・ペットの毛などが原因になります。

👁️ 保育所での対応ポイント
  • プールの塩素は症状を悪化させることがあるため、医師の指示に従う
  • 花粉の多い時期・風の強い晴れた日は特に注意が必要

⑤ アレルギー性鼻炎

くしゃみ・鼻水・鼻づまりを繰り返す疾患です。原因はアレルギー性結膜炎とほぼ同じで、花粉・ダニ・ペットなどが挙げられます。

👃 保育所での対応ポイント
  • 花粉の飛散時期は屋外活動で症状が悪化することがある(屋外に出られないことはまれ)

3. 緊急時の対応(アナフィラキシーが起きた時)

🚨 以下の症状が1つでも見られたらすぐに救急車(119)を!
全身の症状 呼吸器の症状 消化器の症状
・ぐったりしている
・意識がもうろう
・尿や便を漏らす
・脈が弱い・不規則
・唇や爪が青白い
・のど・胸が締め付けられる
・声がかすれる
・犬が吠えるような咳
・息がしにくい
・持続する強い咳
・ゼーゼーする呼吸
・がまんできない強い腹痛
・繰り返し吐き続ける

エピペン®とは?

エピペン®は、アナフィラキシーショックの時に使う注射薬(アドレナリン自己注射薬)です。アナフィラキシーショックになった時に5分以内にアドレナリンを投与できるかどうかが生死を分けることもあります。

💉 エピペン®について知っておくこと
  • 体重15kg未満の子には処方されません
  • 15〜30℃で保管(冷蔵庫や直射日光を避ける)
  • 子どもの手の届かない、でもすぐ取り出せる場所に保管
  • 保育所の職員全員が保管場所を把握する
  • 保育士が打つことは「緊急やむを得ない措置」として医師法違反にはなりません
  • 使用後は必ず救急搬送・医療機関受診が必要

エピペン®の使い方(6ステップ)

エピペン®の使い方(6ステップ)

ケースから取り出す本物か確認
しっかり握るオレンジを下に
青い安全キャップを外す
太ももの外側に強く押し付け5秒キープ服の上からOK
確認する(針が出たか)
10秒マッサージ→ 119番

⚠️ 使用後は必ず救急搬送!2本目は10〜15分後症状改善なければ使用可

エピペン®の使い方(独自作成)※実際の使用前に医師・看護師から指導を受けてください

食物アレルギー症状への対応フロー

食物アレルギー症状への対応フロー

アレルギー症状が出た
緊急性の高い症状が1つでもある?
(ぐったり・声かすれ・ゼーゼー・強い腹痛など)
5分以内に判断
🔴 YES(1つでも当てはまる)
  1. エピペン®を使用
  2. 119番通報
  3. その場で安静にする
  4. 救急隊を待つ
  5. 可能なら内服薬も飲ませる
🟢 NO(緊急症状なし)
  1. 内服薬を飲ませる
  2. 安静な場所へ移動
  3. 5分ごとに症状を観察
  4. 悪化したら左の緊急対応へ
💡 迷ったらエピペン®を使用!使っても害はほとんどありません

食物アレルギー症状への対応フロー(独自作成)

4. 保育所の各職員の役割

保育所では施設長を中心に、全職員が連携してアレルギー対応に取り組みます。

保育所のアレルギー対応チーム体制

施設長 全体管理・運営
保育士
子どもの観察
保護者連携
調理担当者
安全な給食
誤配防止
看護師
医療機関との
連携
栄養士
献立作成
栄養管理
👨‍👩‍👧 保護者 ↔ かかりつけ医
生活管理指導表でつながる

保育所内のアレルギー対応体制(独自作成)

5. 食物アレルギーへの対応の基本

「完全除去」か「解除」かの二択で対応

保育所では、安全を守るため、食物アレルギー対応は「完全除去」か「解除(食べてもよい)」の二択が基本です。「少し食べてもよい」「50mlまでならOK」のような細かい対応は誤りの原因になるためしません。

✅ 食物アレルギー対応の基本方針
  • 原因食品は「完全除去」か「解除」の二択。中間はなし
  • 保育所で「初めて食べる」食品は原則提供しない(家庭で2回以上食べて安全を確認してから)
  • 除去食品が多すぎる場合は医師に相談を(不必要な除去はお子さんの栄養不足につながる)
  • 除去を「解除」する際は必ず書面(除去解除申請書)で手続きする

誤食を防ぐために

保育所で起きる「誤食」(間違えて食べてしまうこと)の主な原因は次の3つです。

誤食の主な発生原因

人的エラー
配膳ミス・確認漏れ
伝達ミスなど
複雑すぎる除去対応
細かすぎると
管理が難しくなる
自己管理できない
幼いため自分では
判断できない

誤食の主な発生原因(独自作成)

誤食を防ぐ対策として、保育所では「配膳カードの作成」「2重・3重のチェック体制」「アレルギー児の食器の色を変える」などの工夫をしています。保護者の方は、保育所の担当者と定期的に情報を共有し、食物アレルギーの状態が変化した場合はすぐに連絡してください。

第Ⅱ部

実践編:生活管理指導表に基づく対応の詳細

この章では、各アレルギー疾患について、かかりつけ医が記入する「生活管理指導表」の内容をもとに、保育所での具体的な対応を詳しく説明します。

(1)食物アレルギー・アナフィラキシー

食物アレルギーの基礎知識

📊 食物アレルギーってどのくらいいるの?

保育所に通う子どものうち、約4.0%に食物アレルギーがあります。年齢が低いほど多く、0歳では6.4%、1歳で7.1%と特に多くなっています。成長とともに治る子も多く、6歳では0.8%まで減少します。

何が原因で起きる?

食物アレルギーの原因食品(全年齢・n=2,954件)

🥚 鶏卵
 
39.0%
🥛 牛乳・乳製品
 
21.8%
🌾 小麦
 
11.7%
🥜 ピーナッツ
 
5.1%
🍓 果物類
 
4.0%
🐟 魚卵
 
3.7%
その他
 
14.7% 甲殻類・ナッツ・ソバ等

食物アレルギーの原因食品の割合(独自作成・データは厚生労働省ガイドラインより)

年齢別の主な原因食品(上位)

順位 0歳 1歳 2〜3歳 4〜6歳 7〜19歳
1位 鶏卵 57.6% 鶏卵 39.1% 魚卵 20.2% 果物 16.5% 甲殻類 17.1%
2位 牛乳 24.3% 魚卵 12.9% 鶏卵 13.9% 鶏卵 15.6% 果物 13.0%
3位 小麦 12.7% 牛乳 10.1% ピーナッツ 11.6% ピーナッツ 11.0% 小麦 10.6%
4位 ピーナッツ 7.9% ナッツ類 11.0% ソバ・魚卵 各9%前後

年齢による原因食品の違い(独自作成・データは厚生労働省ガイドラインより)

💡
鶏卵・牛乳・小麦は、成長とともに食べられるようになる子が多いです。3歳までに約5割、就学前までに約8〜9割の子どもで除去が解除されます。定期的に医師に確認してもらいましょう。

食物アレルギーの病型(タイプ)

① 乳児アトピー性皮膚炎に合併した食物アレルギー

アトピー性皮膚炎と一緒に現れる食物アレルギーです。食べ物が湿疹を悪化させたり、食べた後に症状が出ることがあります。

② 即時型(典型的な食物アレルギー)

原因の食べ物を食べてから2時間以内にじんましん・呼吸困難・嘔吐などが出るタイプです。最も多いタイプです。

③ その他の特殊なタイプ

📖 知っておきたい特殊なタイプ
🍼 新生児・乳児消化管アレルギー
粉ミルクなどに対して、血便・嘔吐・下痢などの症状が出ます。2歳までに9割の子が治ります。
🍓 口腔アレルギー症候群
果物や野菜を食べた後、数分以内に口の中がヒリヒリしたりイガイガしたりする症状です。キウイやモモでは全身症状になることも。
🏃 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
原因食品を食べて2時間以内に運動するとアナフィラキシーが起きます。幼児期は運動強度が低いため少なく、中学生に多い(6000人に1人程度)。

アナフィラキシーの基礎知識

アナフィラキシーとは、複数の臓器に同時に急激なアレルギー症状が出た状態です。血圧が下がって意識を失うような状態を「アナフィラキシーショック」と呼び、すぐに対応しないと命に関わります。

緊急時の処方薬

💊 内服薬(抗ヒスタミン薬・ステロイド薬)

飲んでから効果が出るまで30分〜数時間かかるため、アナフィラキシーショックには間に合いません。軽い皮膚症状などに使います。
ショックの症状にはエピペン®が必要です。

💉 エピペン®(アドレナリン自己注射薬)

アナフィラキシーショックに対して唯一即効性がある薬です。使用後も必ず救急搬送が必要です。体重15kg未満は処方不可。

生活管理指導表の見方(食物アレルギー)

A. 除去根拠(除去する理由)について

除去根拠の番号 内容 信頼性のめやす
① 明らかな症状の既往 過去に食べて明らかな症状が出たことがある ⭐⭐⭐ 高い
② 食物負荷試験陽性 専門医で試験的に食べて症状が出た ⭐⭐⭐ 高い
③ IgE抗体検査陽性 血液検査でアレルギーの反応が出た
(実際に食べられる子も多い)
⭐ 単独では低い
④ 未摂取 まだ食べたことがない(低年齢に多い) ― 確認できていない
⚠️
除去品目が多すぎる場合、不必要な除去が行われている可能性があります。成長期に栄養が偏らないよう、定期的にかかりつけ医に相談して見直しをしましょう。

C. 厳しい除去が必要なもの(調味料など)

原因食品があっても、調味料などに少量含まれているだけなら食べられることが多いです。生活管理指導表の「C欄」にチェックがない場合は、以下は基本的に除去不要です。

原因食品 通常は除去不要なもの 理由
鶏卵 卵殻カルシウム 卵のタンパクはほぼ含まれない
牛乳 乳糖 牛乳アレルギーと乳糖は別物
小麦 醤油・酢(多くの場合)・麦茶 発酵でタンパクが分解される
大豆 大豆油・醤油・味噌(多くの場合) 油はタンパク0g、醤油は発酵で分解
ゴマ ゴマ油(多くの場合) 精製度が高ければタンパクが少ない
魚類 かつおだし・いりこだし(多くの場合) だし中のタンパク量が少ない

D. 食材を扱う活動について

ごく稀ですが、少量の原因物質に触れるだけ・吸い込むだけで症状が出る子もいます。小麦粘土での遊び・豆まき・調理体験などの活動は、個別に対応が必要な場合があります。

⚠️ 注意が必要な活動の例
  • 🏺 小麦粘土:小麦アレルギーの子は触るだけで症状が出ることも。小麦を使わない粘土の使用を検討
  • 🫘 豆まき:大豆・ピーナッツアレルギーの子は誤食のリスクあり。ピーナッツはアナフィラキシーを起こすことがあるため使用を控える方がよい
  • 🍳 調理体験:使う食材にアレルギーがないか事前に確認が必要

(2)気管支ぜん息

📊 気管支ぜん息の基本情報
  • 3歳児の約8.5%が気管支ぜん息と診断されています
  • 小児の気管支ぜん息の90%以上でアトピー素因(アレルギーになりやすい体質)があります
  • 最大の原因アレルゲンはヒョウヒダニ(チリダニ)です

気管支ぜん息ってどんな病気?

「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(喘鳴)を伴う呼吸困難を繰り返す病気です。気道(空気の通り道)が炎症によって腫れ、空気が通りにくくなることで起きます。

気道の状態の違い

健康な気道
広い!
空気が通りやすい
ぜん息(普段)
やや狭い
炎症で腫れている
発作の時
 
ゼーゼー・呼吸困難

気道の状態のイメージ(独自作成)

生活管理指導表の見方(気管支ぜん息)

A. 症状のコントロール状態

評価項目 良好
(治療目標達成)
比較的良好
(少し症状あり)
不良
(頻繁に症状あり)
軽微な症状
(咳・喘鳴など)
なし 月1回以上〜
週1回未満
週1回以上
明らかな発作 なし なし 月1回以上
日常生活の制限 なし なし〜あっても軽微 月1回以上
🏃 保護者の方へ:「比較的良好」「不良」の場合の注意

コントロールが良くない場合、運動・動物との接触・感染症・天気の変化などで発作が起きやすくなります。保育所の活動で見られる症状は積極的に保育所に報告し、主治医と相談してください。

B. 長期管理薬

💊 ステロイド吸入薬

気道の炎症を強力に抑える最も重要な薬です。吸入するため血液への移行が少なく、全身的な副作用はほぼありません。
朝または就寝前に使うため、保育所での与薬は通常不要です。

💊 ロイコトリエン受容体拮抗薬

気管支収縮を抑える薬。飲む時間は朝または就寝前のため、保育所での与薬は通常不要です。

C. 発作時の治療薬(ベータ刺激薬)

発作が起きたときに使う気管支を広げる薬です。吸入薬は「スペーサー(吸入補助器)」を使って正しく吸入する必要があります。

✅ 発作が起きた時の保育所での対応
  1. 直前の活動を中断して休ませる
  2. 衣服を緩めて呼吸をしやすくする
  3. 水分を適度に補給する
  4. ベータ刺激薬の吸入(保護者・かかりつけ医と事前に確認)
  5. 改善しない場合や強い発作サイン(遊べない・食べられない・眠れない・顔色が悪い)は救急受診

保育所での生活での配慮(寝具・動物・運動)

場面 管理不要の場合 管理必要の場合の対応
🛏️ 寝具 清潔な寝具を使用 防ダニシーツの使用。ダニの死骸や糞が入ったふとんから発作が起きることがある
🐇 動物との接触 症状が出たら保護者に報告 飼育当番の免除・動物との距離を保つ。原因動物の近くにいるだけで症状が出ることも
🏃 外遊び・運動 基本的に参加可能 コントロールが不十分な場合は運動誘発ぜん息に注意。体調を見ながら判断

(3)アトピー性皮膚炎

📊 アトピー性皮膚炎の基本情報
  • 生後4か月で12.8%、1歳6か月で9.8%、3歳で13.2%の子どもに見られます
  • 生まれつきの体質(皮膚のバリア機能の弱さ)に環境要因が重なって発症します
  • 悪化する原因は子どもによって異なります(ダニ・ホコリ・食物・汗・洗剤・プールの塩素など)

アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

皮膚にかゆみのある湿疹が出たり治ったりを繰り返す病気です。顔・首・ひじの内側・ひざの裏側などに出やすく、ひどくなると全身に広がります。

皮膚のバリア機能が弱いため、乾燥しやすく外部からの刺激に過敏になっています。「かゆい→引っかく→炎症悪化→さらにかゆい」という悪循環に陥りやすいのが特徴です。

重症度について

アトピー性皮膚炎の重症度

🟢 軽症
軽い皮疹のみ
面積を問わず
🟡 中等症
強い炎症の皮疹が
体表面積の10%未満
🟠 重症
強い炎症の皮疹が
体表面積10〜30%
🔴 最重症
強い炎症の皮疹が
体表面積30%以上

重症度分類(独自作成・厚生労働科学研究班の基準をもとに)

治療の3本柱

アトピー性皮膚炎 治療の3本柱

🧹
原因・悪化因子を取り除く
掃除・食品管理など
個々に異なる
🚿
スキンケア(清潔と保湿)
毎日の保湿が大切
入浴後すぐに塗る
💊
薬物療法(外用薬・内服薬)
ステロイド軟膏など
医師の指示に従う

アトピー性皮膚炎治療の3本柱(独自作成)

よく使われる薬について

🧴 ステロイド軟膏

炎症を抑えてかゆみを和らげる、最も効果的な外用薬です。医師の指示通りに使えば副作用はほぼ問題ありません。
よくある誤解:「ステロイドで色素沈着する」は間違い。色素沈着は炎症そのものによるもので、ステロイドで炎症を抑えることが大切です。

🧴 タクロリムス軟膏(プロトピック®)

顔や首など皮膚が薄い部分に適した薬です。2歳未満には使いません。塗った後は長時間紫外線に当たらないように(遠足・プールの日の朝は塗らない)。

🧴 保湿剤

皮膚のバリア機能を補い、乾燥・かゆみを防ぎます。すべてのアトピー性皮膚炎に必要なケアです。入浴後にできるだけ早く塗るのが効果的。

💡
外用薬の正しい塗り方:人差し指の先端から第1関節まで軟膏を出した量(0.3〜0.5g)で大人の手のひら2枚分の面積が目安です。こすり込まず「のせる」ように塗り、少しテカテカするくらいが適量です。

保育所での生活(プール・動物・汗)

場面 注意点
🏊 プール・水遊び 塩素は皮膚炎を悪化させることがある。プール後はシャワーで塩素を洗い落とし、保湿剤を塗る。ジュクジュクした部位がある時はプール禁止
☀️ 紫外線(日差し) 紫外線で悪化する子もいる。日焼け止め(SPF20前後、PA++程度)・帽子・服での対策。1歳未満は日焼け止め使用注意
🐇 動物との接触 動物の毛・フケでかゆみや皮膚炎が悪化することがある。飼育当番の免除を検討
💧 発汗後 汗はアトピーの大敵。汗をかいたらすぐに拭く・水で顔を洗う・着替える。可能であればシャワーを浴びる
爪の管理:爪が長いと引っかいた時のダメージが大きくなります。爪が伸びていたら保護者に短く切るようお勧めください。

(4)アレルギー性結膜炎

👁️ アレルギー性結膜炎の基本情報
  • 目に飛び込んだアレルゲンにより、目のかゆみ・充血・涙目・目やになどが起きる病気です
  • 小学生の5.5%、中学生の6.3%に見られます(高学年・中学生で増加)
  • 通年性(ハウスダスト・ダニ)と季節性(花粉)に分けられます

種類と特徴

種類 主な原因 症状の時期 特徴
通年性アレルギー性結膜炎 ハウスダスト・ダニ・ペットの毛 1年中 最も多い。ダニ対策が重要
季節性アレルギー性結膜炎
(花粉症)
スギ・カモガヤ・ブタクサなどの花粉 花粉飛散時期 毎年同じ時期に症状が出る
春季カタル ハウスダストや多くのアレルゲン 1年中(春・秋に悪化) 重症。男児に多い。激しいかゆみ・角膜障害を伴うことも
アトピー性角結膜炎 アトピー性皮膚炎に合併 1年中 目周囲のアトピーが悪化すると目も悪化

治療について

👁️ 抗アレルギー点眼薬

かゆみ・充血を抑える基本の薬。内服と違い眠気はありません。

👁️ ステロイド点眼薬

中等症〜重症に使用。医師の指示通りの回数を守ることが大切(副作用防止のため)。

👁️ 免疫抑制点眼薬

春季カタルの治療に使われます。

保育所での対応

🏊 プールへの対応

プールの塩素は目への刺激となり、特に春季カタル・アトピー性角結膜炎のある子では悪化要因になります。

  • プール前に主治医にプールの可否を確認してもらう
  • 症状が落ち着いていれば、ゴーグル着用でプール参加可能な場合が多い
  • プール後は水道水で洗顔する(プールサイドの噴水洗眼器は不適切)
  • 症状が悪化している時はプール禁止
🌸 屋外活動への対応(花粉症)
  • 花粉飛散時期・風の強い晴れた日は花粉が多いため注意
  • 症状が強くなければ屋外活動可能(ゴーグル型眼鏡・点眼薬継続)
  • 外から戻ったら顔を拭く・人工涙液で洗眼
  • 通年性の場合も、砂ほこりで悪化することがある

(5)アレルギー性鼻炎

👃 アレルギー性鼻炎の基本情報
  • 発作性・反復性のくしゃみ・鼻水・鼻づまりを引き起こす病気です
  • 通年性は0〜4歳で4%、5〜9歳で22.5%と年齢とともに増加します
  • スギ花粉症は0〜4歳で1.1%、5〜9歳で13.7%です

種類について

種類 主な原因 症状の時期
通年性アレルギー性鼻炎 ハウスダスト・ダニ・ペットの毛など 1年中
季節性アレルギー性鼻炎
(花粉症)
スギ・カモガヤ・ブタクサなどの花粉 花粉飛散時期のみ

主な花粉の飛ぶ時期

主な花粉の飛散時期(関東地方の目安)

花粉の種類 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
🌲 スギ                        
🌳 ヒノキ                        
🌾 カモガヤ                        
🌿 ブタクサ                        

花粉の飛散時期の目安(関東地方)(独自作成)

治療について

💊 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬(内服)

くしゃみ・鼻水を抑えます。最近は眠気が少ない薬が増えています。通常は朝または夜の服用のため、保育所での与薬は不要な場合が多いです。

👃 鼻噴霧用ステロイド薬

5歳以上の子に使用できる点鼻薬。副作用が少なく、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3症状すべてに効果があります。

💧 舌下免疫療法

スギ花粉やダニに対するアレルギーの根本的な治療法です。毎日自宅で服用するもので、保育所での投与は不要です。

保育所での対応

🌸 屋外活動への配慮
  • 花粉の飛散時期は屋外活動で症状が悪化することがある(屋外に出られないことはほぼない)
  • 医師から配慮の指示がある場合は、保護者と相談して対応を決める
  • 薬を使っている場合は、保護者に確認する

🔖 最後に:保護者のみなさんへ

💚 保育所とうまく連携するために
  • 生活管理指導表は毎年更新を。アレルギーの状態は変化します。年1回以上、かかりつけ医に診てもらい、最新の状態を保育所に伝えてください
  • 変化があったらすぐ連絡を。症状が改善した・悪化した・新しい食物アレルギーが分かったなど、変化があったら速やかに保育所に伝えましょう
  • 初めての食品は家庭で確認を。保育所で初めて食べることがないよう、献立を事前に確認し、初めての食品は家庭で2回以上食べて安全を確認してから
  • エピペン®を持っているお子さんは保管場所を全員で確認。保育所の全職員が保管場所を把握しているか確認しましょう
  • 主治医・保育所・保護者の三者連携が最大の安全策です。何か不安なことがあれば遠慮なく相談してください

本ページは、厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」の内容をもとに、
保護者向けにわかりやすく再構成したものです。具体的な対応は必ずかかりつけ医・保育所と相談してください。

 

こちら、こども家庭庁のサイトより


〈執筆者情報〉

小児科 杉原 桂 院長

武蔵高校卒。昭和大学医学部卒。昭和大学病院小児科医局に入局し、千葉こども病院新生児未熟児科や町田市民病院にて勤務のほか、石垣島での医療に携わる。多摩ガーデンクリニックで院長を務めた後、2015年にユアクリニックお茶の水を開設。2018年より医療法人社団縁風会として法人化し、理事長に就任。2019年には増設したユアクリニック秋葉原で院長を務め、2025年のクリニック移転に伴い、再びユアクリニックお茶の水の院長となる。診断・治療という手段を通じて、本来の目的である患者の幸せ実現を信念とし、日々実践。医療系大学で教鞭を執り、「聴く力・伝える力」を備えた次世代の育成に尽力している。

医学博士、日本小児科学会認定 小児科専門医、
所属学会 日本小児科学会 、日本アレルギー学会 、日本医学教育学会 、日本医療マネジメント学会

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