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「ドーナツ枕って本当に必要なの?」新米ママの素朴な疑問に小児科医が答える!

[2025.07.06]

今日は、ユアクリニックお茶の水に勤務する看護師で、新米ママのひなみさんとの会話から、赤ちゃんのお話、特に「ドーナツ枕」についてお話ししたいと思います。


 

「先生、ちょっと相談があるんです…」

午後の診療が一段落した頃、ひなみさんが不安そうな顔で診察室に入ってきました。みずほちゃんはベビーカーの中でぐっすり眠っています。

「どうしたの、ひなみさん。みずほちゃん、何かあった?」

「いえ、みずほは元気なんですけど…最近、頭の形が気になってしまって。なんだか、少し平らになっているような気がするんです。それで、友達に『ドーナツ枕がいいよ』って言われたんですけど、本当に効果があるのかなって…」

ひなみさんは、心配そうな表情で、手元のスマートフォンで「ドーナツ枕」の画像を見せてくれました。真ん中に穴が開いた、赤ちゃん用の可愛らしい枕です。

「なるほど、ドーナツ枕ですね。最近、よく耳にしますよね。ひなみさんの心配、よくわかりますよ。」

私は、みずほちゃんの寝顔をそっと覗き込みました。確かに、赤ちゃんによっては頭の形が気になることがあります。

「ひなみさん、まずドーナツ枕がどんなものか、から説明しましょうか。ドーナツ枕というのは、ひなみさんが見せてくれたように、真ん中に穴が空いた赤ちゃんの頭を乗せる枕のことです。寝ている間の頭の圧力を分散させて、頭の変形を予防したり、すでに変形してしまった頭の形を良くすると言われているんですよ。」

私は、そう説明しながら、ひなみさんの顔を見ました。ひなみさんは、真剣な表情で私の話を聞いています。

「そうなんですね!じゃあ、やっぱり使った方がいいんでしょうか?」

ひなみさんの目に期待の色が浮かびます。

「実はですね、ここが大切なポイントなのですが、ドーナツ枕の『科学的な有効性』は、今のところ十分に示されていないんです。」

私の言葉に、ひなみさんは少しがっかりしたような表情を浮かべました。

「え、そうなんですか…?お店とか、インターネットでもすごくたくさん売られてるから、てっきり効果があるものだとばかり…」

「そうですよね。たくさん情報がある中で、何が本当に良いのか、迷ってしまいますよね。ドーナツ枕がダメ、というわけではないのですが、科学的に『これを使えば確実に頭の形が良くなる』という証拠がまだはっきりと出ていない、ということなんです。」

「じゃあ、使っても意味がないってことですか…?」

「いえいえ、そういうわけではありません。例えば、赤ちゃんが特定の向きばかり向いて寝てしまう癖がある場合、枕を使うことで少しは向きを変えやすくなることもあるかもしれません。ただ、それだけで劇的に頭の形が改善される、という期待はしない方が良いでしょう。それよりも、大切なことがあります。」

私は、ホワイトボードを取り出して、図を書き始めました。

「赤ちゃんは、産まれたばかりの頃はまだ骨が柔らかいんです。例えるなら、まだ固まっていない粘土のようなものですね。ずっと同じ向きで寝ていると、柔らかい粘土が平らになってしまうように、頭も特定の場所に圧力がかかり続けて、平らになってしまうことがあるんです。これを『位置的頭蓋変形(いちてきずがいへんけい)』と言います。難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、寝る姿勢によって頭の形が変わってしまうことなんですよ。」

ひなみさんは、真剣にメモを取りながら聞いています。

「先生、じゃあどうすればいいんでしょうか?やっぱり、ドーナツ枕じゃなくて、もっと他にできることがあるってことですか?」

「その通りです!ドーナツ枕に頼るよりも、もっと効果的で、私たちが普段からできることがあるんですよ。それは、『赤ちゃんの寝る向きをこまめに変えてあげること』と、『うつ伏せで過ごす時間を作ってあげること』です。」

「え、うつ伏せですか?なんか、怖い気がしてしまって…」

ひなみさんは少し戸惑った様子です。

「もちろん、うつ伏せで寝かせるのは危険なので絶対にやめてくださいね。ここで言う『うつ伏せ』というのは、『タミータイム』といって、起きている時間に、大人が見ている目の届く範囲で、数分間うつ伏せにしてあげることです。タオルを敷いた床の上や、ママやパパのお腹の上でもいいですよ。」

私は、タミータイムのイラストをホワイトボードに描きました。

「タミータイムには、いくつか大切なメリットがあります。まず、頭にかかる圧力を分散させることができます。そして、首や背中の筋肉を鍛えることができるので、首がすわるのが早くなったり、はいはいの準備にもなります。さらに、視野が広がることで、赤ちゃんの好奇心を刺激して、発達を促す効果もあるんですよ。」

「なるほど…!でも、どれくらいの時間やればいいんでしょうか?」

「最初は、1日に数分、赤ちゃんが嫌がらない程度で大丈夫です。慣れてきたら、少しずつ時間を増やして、合計で1日30分くらいを目指せるといいですね。赤ちゃんが泣いたり、疲れたりしたらすぐにやめてあげてください。あくまで、赤ちゃんが快適に過ごせる範囲で、無理なく行うことが大切です。」

ひなみさんは、納得したように頷いています。

「それから、もう一つ。赤ちゃんの寝る向きをこまめに変えてあげることも大切です。例えば、午前中は右向き、午後は左向き、というように、寝る姿勢を定期的に変えてあげましょう。ベビーベッドの向きを変えたり、赤ちゃんが興味を持つおもちゃを反対側に置いてみたりするのも良い方法です。」

「そんなことでも、頭の形って変わるんですね…!なんだか、ドーナツ枕に頼りきりになるよりも、私自身がしてあげられることがあるって分かって、すごく安心しました。」

ひなみさんは、みずほちゃんの顔を優しく撫でました。

「そうですね。もちろん、頭の形がどうしても気になる、専門家のアドバイスが欲しい、という場合には、ユアクリニックお茶の水にいつでもご相談ください。赤ちゃんの頭の形について、より詳しく調べたり、必要であればヘルメット治療という選択肢についてもご説明できます。ベビーヘルメットは、赤ちゃんの頭の形を矯正するための専用のヘルメットで、専門的な知識と経験が必要になります。」

「ヘルメット治療!それも気になっていたんです!もし、タミータイムとか寝る向きを変えるだけでは難しそうだったら、また相談させてください!」

ひなみさんの顔から、最初の不安な表情は消え、安心した笑顔が広がっていました。


杉原院長からのアドバイス

赤ちゃんの頭の形は、親御さんにとって気になることの一つだと思います。ドーナツ枕について、その効果は科学的にはまだ十分に証明されていませんが、お子さんの頭の形を気にする気持ちはよく分かります。

エスメラルダ、そしてジオピロー。みなさんいろいろ投資をなさっています。

しかし、それ以上に大切なのは、赤ちゃんの寝る姿勢をこまめに変えてあげること、そして大人が見守る中で『タミータイム』を取り入れることです。これらの習慣は、頭の形を整えるだけでなく、赤ちゃんの運動発達を促す上でも非常に有効です。

もし、それでも頭の形が強く気になる場合は、どうぞ一人で悩まずに、ユアクリニックお茶の水にご相談ください。お子さんの頭の形について詳しく診察し、適切なアドバイスをさせていただきます。必要であれば、ベビーヘルメット治療についてもご説明し、お子さんにとって最善の方法を一緒に考えていきましょう。

お子さんの健やかな成長を、私たちは全力でサポートします。

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