お母さん、妊娠中のタイレノール(アセトアミノフェン)は心配ありません
こんにちは、ユアクリニックお茶の水の杉原です。私は小児科医として、お子さんの健やかな成長をサポートするために、日々、たくさんの保護者の方とお話をしています。小児アレルギーや小児漢方にも力を入れていますが、何よりも大切にしているのは、病気の「予防」です。特に、安全なワクチン接種を通じて、お子さんを病気から守ることを強く願っています。
今日は、最近ニュースで話題になった、「妊婦さんがタイレノールを飲むと、お子さんの自閉症リスクが高まる」という話について、お母さんや保護者の皆さんの不安を少しでも和らげたくて、お話したいと思います。
トランプ氏、妊婦の解熱鎮痛剤タイレノール使用で「自閉症リスク
https://www.bbc.com/japanese/a
ホワイトハウスのポスト
https://x.com/WhiteHouse/statu
早速米国小児科学会が声明。
https://www.aap.org/en/news-ro
1. タイレノールって、どんなお薬?
まず、タイレノールというお薬についてご説明しますね。タイレノールの有効成分は「アセトアミノフェン」といいます。これは、発熱や痛みを抑えるお薬で、医療現場では、お子さんから大人まで、とても広く使われています。
風邪をひいて熱が出た時、頭が痛い時、歯が痛い時など、多くのご家庭でもお薬箱に入っているかもしれませんね。医師の処方箋がなくても薬局で購入できるので、身近に感じる方も多いでしょう。
2. 「自閉症リスクが高まる」という話、本当なの?
最近、アメリカの政治家が「タイレノールを妊娠中に飲むと、自閉症のリスクが高まる」と発言し、大きなニュースになりました。この話を聞いて、「え、私、飲んでしまったけれど大丈夫かな…?」と不安に思った方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えします。現在、この説は科学的に証明されていません。 多くの信頼できる研究機関や専門家は、「タイレノールと自閉症の間に、直接的な因果関係は確認されていない」と断言しています。
アメリカ小児科学会(AAP)も、この発言を受けてすぐに声明を出し、「この発言には科学的根拠がない」とはっきり伝えています。
3. 難しい話を、身近な例えで考えてみましょう
「科学的に証明されていない」と言われても、漠然とした不安が残るかもしれませんね。そんな時は、こんな風に考えてみてください。
たとえば、「晴れた日に外で遊ぶと、身長が伸びる」という話があるとします。確かに、晴れた日はみんな外で元気に遊びますよね。そして、お子さんは成長期なので、身長はぐんぐん伸びます。でも、「外で遊んだから身長が伸びた」と断定するのは難しいですよね。もしかしたら、その日の食事や睡眠、遺伝など、他のたくさんの要因が関わっているかもしれません。
今回のタイレノールの話も同じです。タイレノールを飲んだ方の中には、たまたま、自閉症のお子さんを授かった方がいるかもしれません。しかし、それは「タイレノールを飲んだこと」と「自閉症」の間に、直接的な原因と結果の関係があることを意味するわけではないのです。
4. 妊婦さんの体調管理、どうすればいい?
妊娠中は、お薬を飲むことにとても慎重になりますよね。熱が出たり、頭が痛くなったりした時に、どうしたらいいか迷う方も多いでしょう。
妊娠中、高熱が続くと、赤ちゃんにも影響があることがあります。ですから、必要に応じて適切に解熱・鎮痛剤を使うことは大切です。
熱が出た時や、痛みがつらい時には、我慢せずに、かかりつけの産婦人科の先生に相談してください。そして、お医者さんの指示に従って、安全なお薬を使いましょう。
最後に
ユアクリニックお茶の水では、お子さんの予防接種や健康相談だけでなく、妊娠中や出産後のお母さんの悩みにも寄り添いたいと考えています。
「なんだか心配」「誰かに相談したい」という気持ちになったら、いつでもご来院ください。一緒に不安を乗り越えて、お子さんの健やかな未来を応援していきましょう。