記念写真のたびに「あたまの形、この角度なら目立たないかな…」と悩んでませんか?
今日は、診察室で教科書を開くような堅苦しい話ではなく、親御さんの心の奥にある「モヤモヤ」について、少しお話しさせてください。
赤ちゃんの頭の形、気になっていませんか?
「カメラロール、同じ角度ばっかりじゃない?」
これ、実は外来でよく耳にする言葉なんです。「先生、実はうちの子、頭の形が気になって…写真撮るとき、つい帽子被せちゃったり、横顔ばっかり撮っちゃうんです」。そう打ち明けてくれたお母さんがいました。その時の少し恥ずかしそうな、でも切実な表情が忘れられません。
わかります、その気持ち。
せっかくの可愛い我が子の成長記録。でも、後から見返したときに「頭の形」ばかり気になってしまう自分が嫌になる。そんな自己嫌悪、抱えなくて大丈夫ですよ。
なぜ赤ちゃんの頭は歪むの?
赤ちゃんの頭は「完熟の桃」と同じ
そもそも、なんで赤ちゃんの頭は歪んでしまうんでしょう?
専門用語では「位置的頭蓋変形症」なんて怖い漢字が並びますが、理屈はシンプルです。
赤ちゃんの頭蓋骨って、大人が思っている以上に柔らかいんです。例えるなら、スーパーで売っている「完熟の桃」。
カゴの中にずっと同じ向きで置いておくと、重みでそこだけ平らになっちゃいますよね? 赤ちゃんの頭もそれと同じ。寝ている間の向き癖や、お腹の中にいた時の体勢で、柔らかい頭は簡単に形を変えてしまうんです。
だから、親御さんの寝かせ方が悪かったわけでも、愛情が足りなかったわけでもありません。桃が柔らかいのと同じ、自然の理(ことわり)なんです。
赤ちゃんの頭の形に対する考え方の変化
「様子を見ましょう」は、もう昔の話
私が研修医だった頃、先輩の医師によく言われたものです。「赤ちゃんの頭? 放っておけばそのうち治るよ、気にしすぎだ」って。
昔はそれが常識でした。でもね、医学は日々進歩しています。擦り傷に「赤チン」を塗らなくなったように、頭の形についても「ただ待つ」以外の選択肢が増えたんです。
ヘルメット治療という選択肢
ヘルメットは「矯正」というより「誘導」
そこで登場するのが、ヘルメット治療です。
「ヘルメット」と聞くと、なんだか頭をギュウギュウ締め付けるような痛々しいイメージを持つ方がいるかもしれません。
でも、実際は逆なんです。
これ、植物を育てる時の「型枠」をイメージしてみてください。四角いスイカを作るような無理やりなものではなく、伸びていく枝を「こっちだよ」と日当たりの良い方へ優しくガイドしてあげるような感覚。
平らになってしまった部分はそのままに、これから成長する部分を本来あるべき丸い方向へ誘導してあげる。それがヘルメット治療の本質です。
治療のタイミングと相談の重要性
悩んでいる時間は、治せる時間
この治療には「旬」があります。
頭の骨が柔らかく、成長が著しい時期。具体的には生後3ヶ月から6ヶ月くらいスタートが理想的です。1歳を過ぎると骨が硬くなってしまい、桃が種のように硬くなってからでは形を変えるのが難しくなってしまいます。
「あの時やっておけば…」と後悔する前に、まずは相談してください。
治療する・しないは、話を聞いてから決めても遅くありません。でも、相談するタイミングだけは、早ければ早いほど選択肢が広がります。
未来へのメッセージ
まんまるな未来を一緒に
ヘルメットを卒業したお子さんの親御さんが、最後に見せてくれる笑顔は本当に素敵です。「もう、どの角度から写真を撮っても可愛いんです!」って。
その言葉を聞くたびに、私も自分のことのように嬉しくなります。
隠すための角度を探す時間は、もうおしまいにしませんか?
その時間を、お子さんの「まんまる」な未来を作る時間に変えましょう。
不安なこと、疑問に思っていること、ユアクリニックお茶の水まで何でも聞いてください。
診察室でお待ちしています。
