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🛡️ 新生児・乳幼児を守る!ベイフォータス(ニルセビマブ)の投与方針が「通年性」に変わります

[2025.11.29]

このたび、東京都では、新生児・乳幼児にとって重症化のリスクが高いRSウイルス感染症の予防対策として、抗体製剤であるベイフォータス®︎(一般名:ニルセビマブ)の投与方針を大きく見直すことになりました。

これまではRSウイルスの流行期に合わせて投与を行う季節性の考え方をとっていましたが、2025年後半期シーズンからは、RSウイルスの流行予測の難しさや、予防を確実に進めるための準備期間を考慮し、通年性の投与の考え方を導入いたします(令和7年9月9日付 東京都新生児医療協議会見解に基づく)。

当院では、この新しい方針に基づき、保護者の皆様が不安なく、最も効果的なタイミングでお子様の予防対策を進められるよう、詳しく解説させていただきます。

RSウイルス感染症と予防抗体製剤

まず、RSウイルス感染症について簡単に説明させてください。

RSウイルスは、主に低月齢の赤ちゃん心臓、肺に持病を持つお子様(ハイリスク児)にとって、肺炎や気管支炎を引き起こし、重症化しやすい感染症です。

この予防に使われるのが、ベイフォータス®︎(ニルセビマブ)とシナジス®︎(パリビズマブ)という抗体製剤です。これらはワクチン(体の中で抗体を作る)とは違い、RSウイルスと戦うための武器(抗体)そのものを注射で直接体に入れるものです。一度注射すれば、数カ月間、お子様をRSウイルスから守ってくれる効果が期待できます。

この二つの製剤のうち、ベイフォータス®︎が、今回東京都で通年性投与に切り替わる対象となります。

投与方針の変更:季節性から通年性へ

これまでの季節性投与は、インフルエンザの予防接種のように、「流行が始まる少し前に一斉に投与する」という方法でした。

しかし、近年、RSウイルスの流行パターンが変化しています。

2025年の東京都のRSウイルスの流行は、例年より早く1月に始まりました。その後一旦収まったものの、7月には再流行が起きています。このように「いつ流行が始まるか」「いつ終わるか」の予測が極めて難しくなってきているのです。

流行の予測が困難になると、いざ流行が始まった時に「投与が間に合わない」「急な準備で混乱する」といった問題が生じます。

そこで、新しい通年性の考え方では、RSウイルスの流行時期に関係なく

  • NICU(新生児集中治療室)を退院する時
  • 退院後の初回外来に来た時

など、お子様にとって最も適切なタイミングで投与を始めて、一年を通して高い予防効果を維持しよう、という方針に変更されました。

ベイフォータス®︎(ニルセビマブ)2回目の投与

ベイフォータス®︎の投与対象となるのは、特にリスクの高いお子様(例:慢性肺疾患、先天性心疾患、免疫不全、ダウン症候群など)です。

特に大切なのは2回目(2シーズン目)の投与時期です。これは、お子様が次のRSウイルス流行期を迎えるタイミングで、再び抗体を補充してあげるということです。

投与対象となるお子様への2回目投与の考え方

投与可能期間 生後24か月齢まで投与が可能です。
推奨される時期 1歳のお誕生日の当月、またはその翌月です。

<具体的な注意点>

  • 2024年流行期に投与を受け、2025年流行期に未投与であったお子様: 生後24か月齢まで投与が可能です。
  • 1歳のお誕生月に投与できなかったお子様: 1回目の投与から最低5~6か月間あけて2回目の投与を行います。

シナジス®︎(パリビズマブ):季節性を継続

ベイフォータス®︎が通年性となる一方で、もう一つの抗体製剤であるシナジス®︎(パリビズマブ)については、引き続き季節性の投与を継続します。

また、大変重要なことですが、ベイフォータス®︎とシナジス®︎の両方を同じシーズンに合わせて使用することはできません。同一シーズン中にこれら二つの製剤を混用することは避けてください。

2025-26 シーズンのシナジス®︎終了時期の目安

  • 2月から投与を開始したお子様 7回投与で8月まで投与可能です。
  • 3月から投与を開始したお子様  7回投与で9月まで投与可能です。
  • それ以降に開始したお子様   7回投与の範囲内であれば9月までの投与となります。

保護者の皆様への注意事項

  1. 適応(投与対象)の違いにご注意ください。 ベイフォータス®︎とシナジス®︎には、それぞれ保険適用となる「投与適応児」が定められています。低月齢であるというだけでなく、添付文書に記載された「投与適応児」への使用が保険適用の対象となります。
  2. 保険審査について。 この情報は東京都の基本的な方向性を示すものですが、個々の症例に対する保険審査は、最終的に個別の状況に基づいて行われます。この通知文が絶対的なものではないことをご承知おきください。

お子様の健やかな成長のために、RSウイルス感染症の予防は非常に重要です。今回の投与方針の変更でご不明な点がありましたら、どうぞご遠慮なくユアクリニックお茶の水のスタッフ、または院長にご相談ください。最新の知見と、お子様一人ひとりの状況に合わせた最適な予防策を提案させていただきます。

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