重要警鐘:アメリカのB型肝炎ワクチン接種「推奨撤回」報道に対し、お子様の健康を守るために今、保護者様へお伝えしたいこと
B型肝炎ワクチンに関する報道への懸念
先日、アメリカのケネディ氏の諮問委員会が「B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回する」というニュースが報じられました。
ユアクリニックお茶の水は、この報道を受け、公衆衛生上の大きな懸念を抱いており、この動きが日本国内の予防接種に対する意識に影響を及ぼすことを深く憂慮しています。同時に、皆様のお子さんの将来を守るため、正確な情報をお届けしたいと考えております。
なぜ、私たちがここまで警鐘を鳴らすのか?
それは、B型肝炎ワクチンが、日本の子どもたちの未来の健康を確保するために、極めて重要だからです。
B型肝炎ワクチン:普遍的接種の必要性
まず、B型肝炎について、その特性を理解していただく必要があります。B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(専門用語でHBV)が肝臓に感染する病気です。
| B型肝炎ウイルス(HBV) | 肝臓の細胞に入り込み、炎症や病変を引き起こすウイルス。 |
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乳幼児期の感染がもたらすリスク
大人がHBVに感染した場合、多くは一時的な感染で済みます。しかし、生後まもない赤ちゃんや小さなお子さんが感染すると、免疫システムが未熟なため、ウイルスを排除できず、体内にウイルスが居座ってしまう確率が非常に高くなります(約90%)。これを「持続感染(キャリア化)」と呼びます。
この持続感染の状態は、いわば「静かに進行する時限爆弾」です。
幼い頃は無症状でも、成長するにつれて、慢性肝炎、肝硬変、そして最終的には肝臓がんといった、命に関わる重篤な疾患に進行するリスクが、感染していない子どもに比べて格段に高まります。
この悲劇的な経過を防ぐためには、感染成立の初期段階、すなわち出生直後にワクチンで免疫を獲得させることが、唯一にして最高の防御策なのです。
アメリカの「ハイリスク層に限定」という考え方の危険性
アメリカの諮問委員会は、推奨撤回の理由として、「対象をハイリスクな集団に絞るべき」という論拠を提示していると報道されています。
しかし、私たち小児科医の視点から見ると、この判断は公衆衛生上の大きな盲点を生む可能性があります。
感染経路の多様性とリスクの見極めの困難さ
B型肝炎の感染経路は、母子感染(お母さんから赤ちゃんへの感染)だけではありません。
- 家族内での接触、医療行為、予期せぬ小さな傷口からの接触など、日々の生活の中に感染源が潜んでいるリスクはゼロではありません。
「ハイリスクな集団」を事前に正確に見極めることは、極めて困難です。たとえるなら、「いつ、どこで落石があるかわからない山道」を、「危ない人だけヘルメットを被れば良い」と言って歩かせるようなものです。
普遍的接種(ユニバーサル・ワクチネーション)、つまり全ての子どもに接種を行う戦略こそが、予期せぬ感染ルートを全てシャットアウトし、国全体の肝臓がんリスクを低下させるための、科学的に確立された最も確実な方法なのです。
もし、今回の推奨撤回により接種率が低下すれば、将来的にB型肝炎の感染者数が増加し、公衆衛生上の大きな後退を招くことを、私たちは深く危惧しています。
日本の保護者の皆様へ:予防接種の信頼性を守るために
幸い、日本では2016年からB型肝炎ワクチンが定期接種となっており、公費(無料で)接種が可能です。これは、子どもたちの健康を守るための、科学的根拠に基づいた適切な判断だと、私たちは強く支持しています。
どうぞ、保護者の皆様におかれましては、海外の一部の政治的・個人的な意見に惑わされることなく、日本国内の確立された予防接種プログラムの科学的信頼性を信じていただきたいと思います。
B型肝炎ワクチンは、お子さんの未来の肝臓を守るための、必要不可欠な予防接種です。
ユアクリニックお茶の水からのお願い
1. スケジュールを正確に完了してください
B型肝炎ワクチンは、全部で3回の接種が必要です。免疫を確実に獲得するためには、このスケジュールを途切れさせずに完了することが非常に重要です。
もし、接種スケジュールについてご不明点があれば、すぐに当クリニックにご相談ください。
2. ご不安な点は、専門家にご相談ください
予防接種に関するご不安やご疑問は、どうぞご遠慮なく、私たちユアクリニックお茶の水の小児科医にお尋ねください。正確で信頼できる情報に基づき、丁寧にご説明させていただきます。
大切な命を守るために、私たち小児科医は、皆様の信頼できるパートナーであり続けます。
ご質問や、予防接種に関する具体的なご相談はございますか?ユアクリニックお茶の水の予防接種スケジュールについて詳しく知りたい場合は、お気軽にお尋ねください。
