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赤ちゃんの頭のゆがみ、放っておいても大丈夫?〜厚生労働省が公開しているレポート発達への影響と治療の考え方〜

[2025.05.23]

「先生、頭のゆがみ、放っておいても大丈夫ですか…?」

ある日、ユアクリニックお茶の水に、生後6ヶ月の元気な男の子、ハルトくんを連れたご夫婦がいらっしゃいました。パパとママは、ハルトくんの頭のゆがみが気になって、これまでも何度かご相談にいらしていました。

「院長先生、色々な人に相談すると、『そのうち治るよ』とか、『放っておいても大丈夫』って言われることが多いんですけど、本当にそうでしょうか…?なんだか、このままでいいのか、ずっとモヤモヤしていて…」

ママが少し不安そうな表情で尋ねました。パパも心配そうにハルトくんの頭を撫でています。

院長先生は、お二人の気持ちをじっと受け止め、優しく語りかけました。

「お気持ち、とてもよく分かります。確かに、以前は『赤ちゃんの頭のゆがみは、成長とともに自然と治るものだから、あまり心配しなくても大丈夫』と言われることが多かったんです。僕も医者になりたての頃はそういうふうに指導するように教わりました」

そう前置きをして、院長先生は少し真剣な表情で続けました。

「でも、最近はそうばかりも言えないことが分かってきました。実は、厚生労働省が公開しているレポートにも、赤ちゃんの頭のゆがみが発達に影響する可能性が報告されているんです。」

パパとママは、驚いた顔で院長先生を見つめました。

「え、厚生労働省がですか…?」

ママが思わず聞き返しました。

「はい。詳しくは、日本形成外科学会が形誘導ヘルメット治療について要望書を出し、それに対して厚生労働省が開催した検討会で報告された資料に記載されています。これは、厚生労働省のウェブサイトでも皆さんがご覧になれる情報なんですよ。この資料には、とても大切なことが書かれているんです。」

院長先生は、まるで大切な宝物を見せるかのように、ゆっくりと説明してくれました。

「これまで、赤ちゃんの頭のゆがみ(専門的には『頭蓋変形』と呼びます)は、成長発達の遅れや機能障害の原因にはならないと考えられてきました。ところが、このレポートでは、『変形性斜頭症など、特定の例では神経発達(脳や神経の成長)や運動発達(体の動きの成長)に遅れを伴うという報告が複数ある』と示されているんです。」

ママの顔に、不安の色が濃くなりました。

「神経発達や運動発達の遅れ…ですか…?」

「はい。特に、『斜頚(しゃけい)』といって、首の筋肉のバランスが悪くて、赤ちゃんがいつも同じ方向に首を傾けてしまうような場合や、一定期間、ご家庭で寝る向きをこまめに変えてあげたりしても反応しない場合、あるいは、非常に強い向き癖が続いているような場合です。」

院長先生は、言葉を選びながら丁寧に説明しました。

「このような場合、頭のゆがみが自然に治る可能性が低いだけでなく、神経発達や運動発達の遅れを予防する観点からも、中等度以上の変形性斜頭症については、『積極的に治療を行うのが適切である』と報告されているのです。」

パパとママは、顔を見合わせました。これまで、漠然とした不安を抱えていたけれど、具体的なリスクと、治療の必要性について、初めて明確な説明を受けたからです。

「あの、中等度以上というのは、どのくらいのゆがみなのでしょうか…?」

パパが尋ねました。

「それは、私たち専門医が診察し、必要であれば専用の測定器で頭の形を計測することで判断します。ご心配な場合は、いつでもご相談いただければ、ハルトくんの頭のゆがみがどの程度なのか、そして治療が必要かどうかを一緒に考えていきましょう。」

院長先生は、優しくハルトくんの頭を撫でながら、言葉を続けました。

「大切なのは、赤ちゃんの成長の『今』を見逃さないことです。もし、頭のゆがみが原因で、例えば片方の耳が前に出てきたり、顔の左右のバランスが崩れてきたりするような場合は、見た目の問題だけでなく、メガネがかけにくくなったり、噛み合わせに影響が出たりするなど、将来の生活に影響が出る可能性も考えられます。」

「また、神経発達や運動発達の遅れにつながる可能性も、もし少しでもあるのなら、私たちはその芽をできるだけ早く摘んであげたいと考えています。それは、小児科医として、お子さんの健やかな成長を何よりも願っているからです。」

院長先生の言葉は、パパとママの心に深く響きました。単に頭の形を整えるだけでなく、ハルトくんの未来を守るための大切な選択なのだと理解できました。

「ありがとうございます、先生。不安が少し晴れました。一度、詳しく調べていただけますか?」

ママが、すっかり安心した表情で言いました。

「もちろんです。ユアクリニックお茶の水では、赤ちゃんの頭のゆがみについて、様々な角度からサポートさせていただきます。ご家庭でのケアの方法から、ベビーヘルメット治療の相談まで、何でもご質問ください。私はベビーヘルメット以外にも、小児アレルギーや小児漢方も得意としていますが、一番大事なのは予防だと考えています。ワクチンも、安全に受けてもらえるように、常に心がけています。」

院長先生の言葉に、ご夫婦は深く頷きました。ハルトくんの頭のゆがみは、単なる見た目の問題ではなく、発達に関わる大切なこと。そして、その悩みに真摯に向き合ってくれる専門家が、すぐそばにいることを知って、大きな安心感を得ることができました。

赤ちゃんの頭の形について、もし少しでも気になることがあれば、どうぞ一人で悩まずに、ユアクリニックお茶の水にご相談ください。私たちと一緒に、お子さんの健やかな成長をサポートしていきましょう。

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