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赤ちゃんのヘルメット治療、いつから始めるのがいいの?〜焦らず、でも大切なお話〜

[2025.05.24]

ある日、ユアクリニックお茶の水の診察室に、生後3ヶ月の赤ちゃんを抱いたお母さんが、少し不安そうな顔でいらっしゃいました。

「先生、うちの子の頭の形が、なんだかどんどん平らになってきてしまって…。周りのお友達の赤ちゃんはみんなきれいな丸い頭なのに、うちの子だけ…と、心配で。」

そう話すお母さんの目に、涙が滲んでいました。

「わかりますよ。大切なお子さんのことだから、心配になりますよね。」

私はそう言って、優しくお母さんの肩に触れました。そして、赤ちゃんの頭をそっと触診し、問診を始めました。

ヘルメット治療、焦らなくても大丈夫?

「先生、もしヘルメット治療が必要だとしたら、できるだけ早く始めた方がいいんですよね?もう生後3ヶ月だけど、手遅れじゃないですか?」

お母さんの質問は、多くの親御さんが抱く疑問だと思います。確かに、「早ければ早いほど良い」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。

ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭の骨が柔らかく、成長が活発な時期に行うのが最も効果的です。

「ゆがみが大きい場合は、生後2ヶ月くらいから始めることもありますよ。」

私はそう説明しました。

「生後2ヶ月からですか!じゃあ、うちの子はもう遅いんですか…?」

お母さんの表情が、さらに曇ります。

「いいえ、決してそんなことはありませんよ。お母さん、少し落ち着いて、これから私がお話しすることをよく聞いてくださいね。」

なぜ「早く」が良いのか、そして「焦らない」ことの大切さ

ヘルメット治療では、赤ちゃんの頭の形に合わせて専用のヘルメットを作ります。このヘルメットは、頭の成長を促したい部分には余裕を持たせ、これ以上成長させたくない部分には優しい圧力をかけることで、少しずつ頭の形を整えていくんです。ちょうど、お洋服のサイズを調整するように、ヘルメットの中には「インナー」と呼ばれる交換可能な素材を入れて、赤ちゃんの成長に合わせて細かく調整していきます。

ヘルメットは通常、お子さんの1歳前後の理想に近い丸い頭を目指すように作られます。つまり、頭とヘルメットの間にゆとりがなくなる(頭の成長に伴ってヘルメットがきつくなることを「サイズアウト」と言います)と、治療の継続が難しくなります。

「もし、ゆがみがとても大きい場合は、1つのヘルメットだけでは最高の治療効果が得られないことがあります。その場合は、途中で2つ目のヘルメットを作る必要があるんですよ。」

そう説明すると、お母さんは驚いた顔をしました。

「でも、生後2ヶ月から治療を始めてしまうと、1歳になる手前で、ヘルメットを作り直す時期の限界を超えてしまうことがあるんです。だから、月齢が浅いお子さんでは、2つ目のヘルメットが必要になる可能性も考慮に入れなければなりません。」

これは、例えるなら、まだ小さいお子さんの成長を見越して、大きすぎる靴を買ってあげるようなものです。すぐに履けなくなるわけではないけれど、最終的に足にぴったり合う靴をもう一度買う必要が出てくるかもしれない、ということなんです。

大切なのは、赤ちゃんの呼吸への配慮

さらに、月齢が非常に浅い、特に予定日よりも早く生まれた赤ちゃん(在胎週数が少ない場合)には、もっと慎重に考えなければならないことがあります。

「まだ体が小さい赤ちゃんの場合、ヘルメット自体が呼吸に影響を及ぼす危険性も考慮しなければなりません。」

私はそう付け加えました。

「そんなこともあるんですね…」

お母さんは、少し考え込むような表情になりました。

「だからこそ、すぐに『治療を始めましょう』と焦るのではなく、まずはユアクリニックお茶の水のような専門施設で、私たちが赤ちゃんの頭のゆがみの状態を詳しく診察し、適切な時期や治療法を相談することが大切なんです。」

私は赤ちゃんの頭をもう一度優しくなでながら続けました。

「まずは、向き癖を直す工夫や、寝る向きを変えるなどの対処法を試してみて、その後の経過を見ながら、もし必要であれば、適切な時期にヘルメット治療を始めるのが良いでしょう。もちろん、その間も定期的に診察に来ていただいて、私たちが経過を見守らせていただきます。」

杉原からのメッセージ:安心と信頼のユアクリニックお茶の水で

お母さんは、私の説明をじっと聞いてくださっていました。そして、最後に少しだけ笑顔を見せてくれました。

「先生、なんだか少し安心しました。早く治療しなきゃって焦ってしまっていたけれど、きちんと見極めることが大切なんですね。これからは、先生と相談しながら、この子の頭の形を一緒に見守っていきたいと思います。」

私は、にこやかに頷きました。

私、杉原は、ベビーヘルメット治療以外にも、小児アレルギーや小児漢方も得意としていますが、何よりも「予防」が大切だと考えています。そして、お子さんにとって最適な治療を、安全に受けてもらえるように、常に最善を尽くしたいと願っています。

お子さんの成長は、本当に一人ひとり違います。だからこそ、その子に合ったペースで、適切なケアをしてあげることが何よりも大切です。

もし、赤ちゃんの頭の形についてご心配なことがあれば、いつでもユアクリニックお茶の水にご相談ください。私たち小児科医が、お子さんとご家族に寄り添い、一番良い方法を一緒に考えていきましょう。

安心できる場所で、信頼できる医師に相談できる。それが、ユアクリニックお茶の水の目指す医療です。

小児科専門医 杉原

【ユアクリニックお茶の水での受診について】

当院では、赤ちゃんの頭の形に関するご相談はもちろん、予防接種や日々のちょっとしたご心配事まで、幅広く対応しております。お子さんの成長を一緒に見守り、健康な未来をサポートできるよう、スタッフ一同努めてまいります。お気軽にご来院ください。

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