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うがい薬の選び方:アズノールと水の効果的な使い分け

[2025.07.18]

お子さんの喉の痛みや風邪の症状に対して、うがい薬の使用を検討される保護者の方は多いでしょう。特に「アズノールうがい液」はよく処方されますが、その殺菌効果や水との違いについて疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、アズノールうがい液と水でのうがいの効果について、科学的根拠に基づいてご説明します。

アズノールうがい液の主な働き

アズノールうがい液の主成分はアズレンスルホン酸ナトリウムです。これは、カモミール由来の成分(カマズレン)で、喉の炎症(えんしょう)を抑え、傷ついた粘膜の回復を促す効果が期待できます。喉の痛みや赤み、口内炎など、炎症による不症状を和らげる目的で使用されます。

アズノールうがい液に殺菌効果はあるのか?

重要な点として、アズノールうがい液には、細菌を殺す「殺菌成分」は含まれていません。 したがって、細菌やウイルスを直接死滅させる効果は期待できません。

試験管内での研究では、アズノールうがい液と水で細菌の減少率を比較しても、有意な差は見られないことが報告されています。水道水に含まれる残留塩素(ざんりゅうえんそ)には一時的な殺菌作用がありますが、唾液などの有機物と接触するとすぐに失活してしまうため、実際のうがい環境ではその効果は期待できません。アズノールうがい液を混ぜたとしても、この状況は変わりません。

水でのうがいの効果

では、水でのうがいは無意味なのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。

水でのうがいの主な効果は、喉や口の粘膜に付着したウイルスや細菌を物理的に洗い流すことです。これは、感染症予防において非常に重要な役割を果たします。

実際、大規模な臨床研究では、水のみでのうがいが、上気道感染症(いわゆる風邪)の発症率を有意に低下させたという報告があります。これは、うがいによる物理的な洗浄効果が、感染源の除去に寄与していることを示唆しています。

インフルエンザや新型コロナウイルスへの効果

アズノールうがい液がインフルエンザウイルスやSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)に対して有意な殺ウイルス効果を持つという科学的根拠は、現在確認されていません。

世界保健機関(WHO)も、うがい薬で新型コロナウイルスの感染を予防できる科学的根拠はないと声明を出しています。ウイルスを不活化させるには、ポビドンヨードやCPC(セチルピリジニウム塩化物)のような、より強力な消毒成分が必要とされますが、アズレンのような非殺菌性成分のみのうがい薬ではその効果は期待できません。

アズノールうがい液と水、使い分けのポイント

以上の情報から、アズノールうがい液と水のうがいの使い分けのポイントは以下のようになります。

  • アズノールうがい液: 喉の痛みや口内炎など、炎症による不快な症状を和らげたい場合に有用です。殺菌効果はないため、感染予防目的での使用は限定的です。

  • 水でのうがい: 喉や口の中のウイルスや細菌を物理的に洗い流し、清潔に保つことが目的です。風邪などの感染症予防のために、日常的に行うことをお勧めします。

予防と安全なワクチン接種の重要性

ユアクリニックお茶の水では、お子さんたちが病気にならないための予防に最も力を入れています。日常の手洗いやうがいはもちろんのこと、安全なワクチン接種は、お子さんを重い感染症から守るための最も効果的な手段の一つです。

当クリニックでは、ベビーヘルメットの専門外来や小児アレルギー、小児漢方にも対応していますが、お子さんの健康を守るための基盤は予防にあると考えています。お子さんの健康に関してご不安な点があれば、どうぞお気軽にユアクリニックお茶の水にご相談ください。

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