【赤ちゃんの頭の形】医学的な短頭症と絶壁頭の違いについて小児科医が解説
こんにちは、みなさん!ついに、ユアクリニック秋葉原が最終日を迎えてしまいました。5年間本当にお世話になりました。
ご縁あって秋葉原にきたのですが、いったんユアクリニックお茶の水にもどってやり直します。再出発の決意を固めている、小児科専門医の杉原です。
今日は、赤ちゃんの頭の形について、よくある疑問にお答えしたいと思います。「うちの子、絶壁頭かも?」と心配されている親御さんも多いのではないでしょうか。
「絶壁頭」という言葉はよく聞くけれど、医学的な「短頭症」とは何が違うのか、なかなか分かりにくいですよね。そこで今回は、この二つの違いについて、小児科専門医の立場から、わかりやすく解説していきます。
医学的な短頭症って?
まず、「短頭症」という医学的な状態について説明しますね。短頭症は、後頭部が丸くならず平らになってしまう状態を指します。医学的には、頭の後ろ側が平らになったり、短く見えたりする状態のことです。
原因は大きく分けて二つあります。
- 遺伝的、先天的な要因:
- ダウン症候群などの遺伝子の病気や、頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)という、頭の骨が早くくっついてしまう病気が原因となることがあります。
- 外部からの圧力:
- 赤ちゃんがいつも同じ向きで寝ていたりすると、頭の後ろに圧力がかかり、短頭症になることがあります。
短頭症かどうかは、「頭長幅指数(cephalic index)」という、頭の幅と長さの比率で判断します。この指数が高いほど、短頭症の程度が重いとされています。
いわゆる「絶壁頭」とは?
一方、「絶壁頭」は、医学用語では「後頭部扁平(こうとうぶへんぺい)」といいます。後頭部扁平は、後頭部の曲率半径が減少している状態を指します。
「絶壁頭」は、医学的には「体位性頭蓋変形症(たいいせいずがいへんけいしょう)」と呼ばれ、頭蓋変形の一種とされています。主に赤ちゃんの寝る姿勢が原因で起こります。
赤ちゃんは頭の骨が柔らかいため、長時間同じ向きで寝ていると、どうしても頭の後ろが平らになってしまうんですね。
実は、短頭症と後頭部扁平は区別すべきなのですが、短頭症に伴うことが多いため、区別されないことが多いんです。
また、絶壁頭は日本人に多くみられる頭のかたちで、大人になってもコンプレックスとして悩む人が少なくありません。
短頭症と絶壁頭、何が違うの?
二つの大きな違いは、原因と、それに伴う医学的な意味合いです。
- 原因
- 短頭症:遺伝的な病気や、頭蓋骨の病気が原因のことがある。
- 絶壁頭:寝る姿勢など、外部からの圧力が主な原因。
- 医学的な意味合い
- 短頭症:病気が隠れている可能性があり、注意が必要。
- 絶壁頭:基本的には、成長とともに自然に治る場合が多い。
治療法は?
- 短頭症:
- 原因となる病気の治療が中心となります。場合によっては、手術が必要になることもあります。
- 絶壁頭:
- 寝る向きを変えたり、腹ばいの時間を増やしたりすることで、自然に治るのを待ちます。
- 重度の場合は、ヘルメットを使った治療を行うこともあります。
最後に
赤ちゃんの頭の形は、個人差が大きく、成長とともに変化していくものです。あまり神経質になりすぎず、気になることがあれば、遠慮なく小児科医に相談してくださいね。
私たち小児科医は、みなさんの不安に寄り添い、お子さんの健やかな成長をサポートします。
参考情報
- 著名な医療機関のウェブサイト(例:メイヨークリニック、クリーブランドクリニック、ジョンズ・ホプキンス大学医学部、フィラデルフィア小児病院、英国国立医療サービス(NHS)など)
- 専門的な医療団体のウェブサイト(例:米国小児科学会、国立衛生研究所)
- 査読された医学雑誌および出版物(例:PubMed/NCBIに掲載された論文)
- 小児科医や脳神経外科医などの専門医のウェブサイト
もし、お子様の頭の形についてご心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。