セルフケアー体位変換
診察室で赤ちゃんの頭をなでながら、「先生、うちの子いつも右ばかり向いていて、頭の形が心配なんです」と相談を受けることがよくあります。お母さんの不安そうな表情を見ると、私も「大丈夫ですよ、一緒に考えていきましょう」と、つい手に力が入ってしまいます。
実は、赤ちゃんの頭のゆがみ(斜頭症といいます)の多くは、寝ている時の向き癖が原因です。いつも同じ方向に圧力がかかることで、柔らかい頭の骨が平らになってしまうのですね。
これを防ぐために、アメリカやオーストラリアのガイドラインでも推奨されているのが「体位変換」です。難しい言葉に聞こえますが、要は「赤ちゃんの体の向きをこまめに変えてあげよう」という、とてもシンプルで愛情深いケアのことなんです。
今日からできる!4つの向き癖調整法
具体的にお家でできる工夫を、4つご紹介します。どれも特別な道具は必要ありません。
1. 寝る時の「頭と足の方向」を入れ替える
赤ちゃんって、実は「お部屋の入り口」や「光が差す窓」の方を向く習性があるんです。いつも同じ向きで寝かせていると、自然と同じ方向ばかり見てしまいます。
そこで、昨日は頭が北側だったら、今日は南側にする、という風に、1日おきに布団の中での向きを180度変えてみてください。景色が変わるので、赤ちゃんも自然と反対側を向くようになりますよ。
【注意!】
向きを変えるといっても「うつぶせ寝」は禁物です。乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めてしまうので、必ず仰向けで寝かせてあげてくださいね。
2. 抱っこする腕を「交互」にする
私たちは利き手があるので、つい慣れた方の腕で抱っこしてしまいがちですよね。でも、そうすると赤ちゃんの顔はいつも同じ方向を向くことになります。
「今は右腕で抱いたから、次は左腕にしよう」と、意識してスイッチしてみてください。最初は少しぎこちないかもしれませんが、これだけで赤ちゃんの首の筋肉もバランスよく育ちます。
3. 授乳の方向もバランスよく
おっぱいでもミルクでも、抱っこと同じように左右均等になるように意識しましょう。授乳は1日に何度も行うことですから、この積み重ねが大きな効果を生みます。
4. 魔法の言葉は「反対側」から
生後3ヶ月くらいになると、赤ちゃんはお父さんやお母さんの声に敏感に反応するようになります。「あー、うー」と可愛い声でお返事してくれる時期ですね。
この時、もし赤ちゃんが右ばかり向く癖があるなら、あえて左側から話しかけてみてください。「こっちだよー」と声をかけたり、お気に入りのおもちゃを見せたり。大好きな人の声を聞こうとして、一生懸命首を動かす姿は本当にかわいいものです。
完璧を目指さなくて大丈夫。ゆっくり見守りましょう
「左右均等にしなきゃ!」と神経質になりすぎる必要はありません。私たち大人だって、寝心地の良い向きがありますよね。赤ちゃんも同じです。
大切なのは、今日から少しだけ意識を変えてみること。「あ、今は右を向いているから、次は左から呼んでみようかな」くらいの、ゆったりした気持ちで取り組んでみてください。
もし、どうしてもゆがみが強くて心配な場合や、首の動きに違和感がある時は、いつでもユアクリニックお茶の水の門を叩いてくださいね。一緒に赤ちゃんの健やかな成長を見守っていきましょう。
