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お薬、上手に飲めるかな?お子さんへのお薬の飲ませ方

 

小児科医の杉原です。お子さんが病気になった時、お薬を上手に飲ませるのは、保護者の皆さんにとって大きな課題ですよね。今日は、お子さんへの上手なお薬の飲ませ方について、月齢・年齢別にお話しします。

乳児(赤ちゃん)へのお薬の飲ませ方

水薬を赤ちゃんに飲ませる時は、スポイトやスプーンを使うのがおすすめです。

粉薬の場合、少量のぬるま湯で溶かして団子状にし、赤ちゃんの「上あご」にこすりつける方法があります。その後に、水やぬるま湯、ミルクなどを少し飲ませてあげましょう。

注意点

1回分のミルク全てにお薬を混ぜてしまうと、赤ちゃんがミルクを全部飲まなかった場合、薬の効果が十分に得られなかったり、ミルク嫌いになってしまったりすることがあります。そのため、少量のミルクにお薬を溶かして飲ませ、その後においしいミルクをたっぷりと飲ませてあげてくださいね。

ただし、わたしは原則として、シロップの薬をださなくなってしまいました。実は昔勤めていたクリニックで何度か事故があったんです。

それは、7日分のシロップをまちがえてお母様が3日間で飲ませおわってしまったという事故、もうひとつは、お兄ちゃんがジュースとまちがえて、全量を飲み干してしまったという事故でした。

それ以後、シロップが必要なお子さんには、単シロップを別瓶で処方し、粉薬を毎回シロップとまぜてのませてもらうようになりました。これなら薬の量は個別包装されているので間違いようがありません。シロップはいくらまちがえた量をのんでもかまいませんからね。

幼児(少し大きくなったお子さん)へのお薬の飲ませ方

水薬も粉薬も、できるだけ他のものに混ぜずに、そのまま飲む習慣をつけることが大切です。そうすることで、お子さんもお薬を飲むことに抵抗が少なくなります。

ただ、お薬を嫌がる時には、お子さん自身が「これなら飲める!」と納得できるものに混ぜてあげても構いません。

混ぜる際のヒント

  • 牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品に混ぜると、お薬の苦味が和らぐことがあります。

  • スポーツドリンクやジュースに混ぜると、かえって苦味が強くなることがあるので、注意が必要です。

  • 粉薬を水に溶かして、シャーベットのように凍らせてから飲ませてあげるのも良い方法です。

 

いつ飲ませればよいのですか?

  • 1日2回のお薬は、朝と夜、およそ12時間ごとに飲ませるのが一般的です。

  • 1日3回のお薬は、食事の時間にとらわれず、「起きている間に等間隔で3回」を目安に飲ませてください。例えば、朝8時、昼2時、夜8時といった具合です。

  • 1日4回のお薬は、朝、昼、夕方、そして寝る前に飲ませることが多いです。

食後がよいのですか?

一般的に「食後」と指示されることが多いですが、これはお薬を飲んだ後にお腹がいっぱいだと気分が悪くなったり、食べたものと一緒に吐いてしまったりするのを防ぐためです。お子さんの場合は、胃が荒れる心配がない限り、主治医から特別な指示がない限りは、食前・食後にこだわらず、時間が来たら飲ませて大丈夫です。赤ちゃんの場合は、授乳の前に薬を飲ませる方が良いでしょう。

よくなったらやめてもいいですか?

処方されたお薬は、原則としてきちんと最後まで飲み切ることが大切です。せっかく治療を始めたのに、途中でやめてしまうと、症状がぶり返してしまうこともあります。お薬を途中でやめていいかどうかは、必ず主治医に確認してください。

残った薬は保存していいですか?

原則として、飲み残したお薬は捨ててください。次に病気になった時に残ったお薬を飲ませるのは、適切な治療とは言えません。

ただし、急に熱が出たときのために、解熱剤(熱を下げるお薬)の飲み薬(頓服:症状がある時にだけ飲むお薬)や座薬は、常備しておくと良いでしょう。

 

いぜん書いた、漢方薬の飲ませ方についてもここで掲載しておきましょう。

 

実は私、小児漢方にも力を入れているんです。しかし、私が漢方薬を皆さんにお勧めする理由は、決して「漢方薬を飲ませることがゴール」ではありません。あくまで、お子さんが早く元気になってくれるための手段として、様々な選択肢の一つとして、漢方薬があるということを知っていただきたいのです。

「え、飲むの?」漢方薬を嫌がるお子さんのエピソード

(これはフィクションです)

先日、5歳の女の子、ひまりちゃんがママと一緒にユアクリニックお茶の水に来院しました。ひまりちゃんは、季節の変わり目になると咳が止まらなくなり、夜も眠れないほど。ママは心配して、以前から漢方薬を試したいと考えていたそうです。

診察室で、私がひまりちゃんに漢方薬を処方すると、ママは少し困った顔で言いました。

「先生、ありがとうございます。でも、うちの子、粉薬が大の苦手で…この漢方薬、飲んでくれるか心配です…」

実は、このようなお話はよく耳にします。お子さんにとって、慣れない味や匂いのする漢方薬は、なかなかハードルが高いものですよね。

漢方薬は「強制」ではありません!大切なのは「治るための手段」

私は決して、漢方薬を強制することはありません。もし、「うちの子は絶対に飲めない!」と、あらかじめ問診票などに書いていただければ、無理にお勧めすることはありませんので、ご安心ください。大切なのは、お子さんが治療を通して元気になっていくことです。漢方薬はそのための「便利なツール」の一つだと考えています。

でも、せっかく処方された漢方薬、もし上手に飲める方法があるのなら、試してみたいと思いませんか?

これなら飲めるかも!?漢方薬を美味しく飲む秘訣!

ひまりちゃんのママも、私がお伝えしたいくつかの工夫を試してくれました。

1. 乳幼児の赤ちゃんの場合

 
  • 少量のお白湯で練って、お母さんの指先で上顎やほっぺの内側になすりつけます。
     
  • 味わう前に、すぐに母乳やミルクで飲み込ませてあげましょう。
     
  • ミルクを少量垂らして練っても大丈夫ですよ。
     
  • 1回量が多い場合は、少量ずつ分けて飲ませてあげてください。
     

2. 幼児・学童の場合

 

ひまりちゃんくらいの年齢のお子さんには、いくつかの方法があります。

  • お湯に溶かす: 30mlのお湯に漢方薬を入れてかき混ぜ、5分ほど置いてなじませると溶けやすくなります。 溶けにくい場合は、電子レンジで30秒ほど温めてみてください。(かなり熱くなるので、冷水で調整してくださいね。)
     
  • 単シロップに溶かす: お湯50mlに溶かした漢方薬に、単シロップをスプーン2〜3杯加えて甘さを調整します。 冷やすとさらに美味しく感じますよ。
     
  • 粉をそのまま:
    • 先に粉を舌に乗せて、水分で飲み込ませる。
       
    • 先に水分を口に含み、そこに粉を入れて飲み込む。
       
  • 混ぜて味を工夫する: お子さんの好みや食物アレルギーの有無に合わせて、色々なものと混ぜてみましょう。
     
    • 比較的飲みやすいのは、ココア、アイスクリーム、リンゴジャム、練乳などです。
       
    • アイスと混ぜる場合は、スプーンで「アイスのみ」→「アイス入り漢方」→「アイスのみ」の順に食べると、漢方薬の味をマスクできます。
       
    • 実は、カレー、味噌汁(小建中湯)、のりの佃煮(ごはんですよ)、マヨネーズ(小青竜湯)などと混ぜる工夫もできますよ。 漢方薬の製剤はもともと高熱でフリーズドライにされているので、熱い食べ物と混ぜても大丈夫です。
       

ひまりちゃんのママは、お湯で溶かした漢方薬に少しだけココアを混ぜてみたり、アイスクリームに混ぜてみたりと、色々試してくれました。すると、なんと!ひまりちゃんが「これなら飲める!」と言ってくれたのです。

そして、最近、あるママさんから素敵な情報を教えていただきました!なんと、ブルーベリーはちみつ を使うと、漢方薬を喜んで飲んでくれるようになったとのこと!これは嬉しいニュースですね。ただし、はちみつは1歳未満のお子さんには使えませんので、ご注意ください。もしご興味があれば、ぜひ試してみてくださいね。

食物アレルギーのあるお子さんは要注意!

一点、注意していただきたいのが、食物アレルギーのあるお子さんの場合です。 漢方薬のエキス剤の中には、アレルゲン物質が含まれているものがあります。

 
  • 小麦アレルギーのお子さんは、膠飴(黄耆建中湯、小建中湯、大建中湯)や小麦(甘麦大棗湯)に注意が必要です。
     
  • ゴマアレルギーのお子さんは、胡麻(消風散)に注意が必要です。
     
  • 大豆アレルギーのお子さんは、黄耆や甘草を含む漢方薬に注意が必要です。
     

ご心配な場合は、遠慮なくお声がけくださいね。問診の際にアレルギーについてもお伺いしていますので、ご記入いただけるとスムーズです。

ひまりちゃんは、漢方薬を上手に飲めるようになったおかげで、咳も落ち着き、ぐっすり眠れるようになりました。ママもホッとした様子で、笑顔が増えました。

 


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