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はしか=麻疹=麻しん

「先生、最近ニュースで麻疹が流行しているって聞きました。うちの子は大丈夫でしょうか…?」

こんな心配の声を、最近よく耳にします。麻疹、いわゆるはしかは、その昔は「子どもが一度はかかる病気」と言われるほど身近なものでしたが、実はそのイメージとは裏腹に、非常に感染力が強く、重症化しやすい、とても恐ろしい病気なんです。私自身も、研修医の頃に大学病院で八丈島からやってきた麻疹の重症化したお子さんを診た経験があります。その感染力の強さと合併症で肺がレントゲン上真っ白になった怖さを肌で感じました。だからこそ、この病気についてはぜひ多くの保護者の皆さんに正しく知っていただきたいと強く願っています。

 

麻疹(はしか)とは?

麻疹は、どんな病気なのでしょうか?

麻疹(はしか)はどんな病気?—「初期症状は風邪そっくり、でもその後に恐ろしい顔を見せる」

麻疹は、麻疹ウイルスというウイルスが原因で起こります。このウイルスは空気中に漂っていて、感染力がインフルエンザの何倍も強いんですよ。例えるなら、「部屋に一人感染者がいたら、そこにいる全員が感染してしまう」くらいのイメージです。

症状は、時期によって大きく2段階に分かれます。

  1. ステップ1:カタル期(発症から2〜4日):初期は風邪そっくり!
    • 発熱: 38℃くらいの発熱が2〜4日続きます。
    • 鼻水・咳: 風邪のような鼻水や咳が出ます。
    • 結膜炎(目やに、充血): 目が赤くなったり、目やにが出たりします。
    • コプリック斑(こうはん): この時期に、口の中の頬の裏側に「白い小さなブツブツ」が出ることがあります。これが麻疹に特徴的なサインで、感染症が得意な医師はこのサインを見逃しません。
  2. ステップ2:発疹期(熱が下がった後に再燃):全身に発疹!
    • 一度下がった熱が、再び高熱(39℃以上)として上がってきます。
    • 同時に、顔や耳の後ろから始まり、体、手足へと、全身に赤い発疹が広がっていきます。
    • 発疹は熱が下がるとともに、色素沈着を起こしながら3〜4日で消えていきます。

問題なのは、この病気、ただの発疹ではないことです。

麻疹は、例えるなら「体の免疫システムを一時的にシャットダウンさせてしまう」ような病気。そのため、肺炎や脳炎といった、非常に重い合併症を引き起こすことがあります。特に、麻疹脳炎は命に関わったり、重い後遺症を残したりする可能性もあるんです。

ワクチンを接種していなかったり、接種回数が不十分だったりすると、典型的な症状が出ずに診断が難しくなることもあります。

麻疹(はしか)の治療とケア

麻疹の治療と、家庭でできるケアについて解説します。

治療法は?—特効薬はないけれど「緊急ワクチン接種」が命綱!

残念ながら、麻疹ウイルスに直接効く特効薬はありません。

  • 「じゃあ、かかってしまったらどうしたらいいの?」

麻疹にかかってしまった場合は、安静にして、発熱や咳、鼻水などのつらい症状を和らげる対症療法が中心になります。合併症を起こしてしまった場合は、それに対する治療が行われます。

命を守る「緊急ワクチン接種」!

麻疹に関して、一つだけ希望の光があります。それが緊急ワクチン接種です!

もし、ワクチンを接種していないお子さんや、ワクチン接種が不十分な方が、麻疹にかかった人と接触してしまった場合、72時間以内にワクチンを接種すれば、発病を予防したり、症状を軽くしたりする可能性があります。これは、例えるなら「火事の初期消火」のようなもの。間に合えば、大きな被害を防げるかもしれません。

接触した可能性がある場合は、すぐに医療機関に相談し、緊急ワクチン接種について確認しましょう。

家庭でできるケアと大切な注意点

麻疹にかかってしまったら、家庭でのケアは以下の点に注意してください。

ケアのポイント 具体的な工夫と大切な注意点
休む 何よりも安静にしていることが一番大切です。無理に外出させたりせず、家でゆっくり休ませてあげましょう。発疹が出てから3日、熱が下がってから3日は登校・登園停止になります。感染拡大を防ぐためにも、必ず守ってください。
水分 熱が高いと脱水になりやすいので、水分を十分に摂らせてあげてください。お子さんの好きな飲み物や、経口補水液などを少量ずつでも構いません。
食事 食欲がなければ無理強いせず、食べやすいものを選んであげましょう。喉ごしの良いものや消化の良いものがおすすめです。
入浴 高熱がある時や、ぐったりしている時は、体力を消耗させないよう入浴は控えましょう。熱が下がって元気が出てきたら、シャワー程度なら大丈夫です。

もう一度、病院に来てほしいサインと「次の診察」の重要性

麻疹は重い合併症を起こしやすい病気です。

  • 指示された診察は必ず受ける: 麻疹と診断された場合、肺炎や脳炎などの合併症がないかを慎重に確認するために、医師から「次の診察に来てください」と指示されることがあります。これは非常に重要なので、必ず指示された日に受診してください。
  • 呼吸が苦しそう: 咳がひどくなり、呼吸がゼーゼーする、肩で息をするなど、呼吸が苦しそうな様子が見られたら、すぐに受診してください。
  • 意識がおかしい: 呼びかけに反応しない、ぐったりして意識が朦朧としている、けいれんを起こしたなど、意識の状態がおかしいと感じたら、すぐに救急車を呼ぶか、緊急受診してください。
  • 機嫌が非常に悪い: 熱が下がった後も機嫌が悪く、ぐったりしているなど、全身状態が良くないと感じたら、再度受診を検討しましょう。

また、感染予防のため、受診する際は必ず事前に医療機関に電話で連絡し、指示された受診方法(時間帯、出入り口など)に従ってください。これは、他の患者さんへの感染を防ぐためにとても大切なことです。

麻疹(はしか)の予防にはワクチンが重要

麻疹から身を守るために最も重要なことについて解説します。

何よりも大切な「麻疹ワクチン」!

麻疹は、ワクチンで予防できる病気です。日本の子どもたちは、通常、生後12ヶ月以降に1回目、小学校入学前の1年間に2回目の麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種します。

ワクチンは、例えるなら「麻疹ウイルスと戦うための最強のシールド」。このシールドをしっかり張っておけば、ウイルスがやってきても、ほとんどの場合、発症を防ぐことができます。もし発症しても、症状が非常に軽く済みます。

もし、お子さんのワクチン接種状況が不明な場合は、母子手帳を確認したり、かかりつけ医にご相談ください。大人の方でも、麻疹にかかったことがない、あるいはワクチン接種回数が不十分な場合は、接種を検討することが大切です。

麻疹は決して他人事ではありません。大切なご家族、そして地域社会をこの恐ろしいウイルスから守るために、私たち一人ひとりができる最善の策は、ワクチン接種です。

麻疹に罹患してしまうと、SSPE(亜急性硬化性全脳炎)という恐ろしい病気にかかることがあります。罹患後、数年から十数年経ってから発症する、非常に稀で進行性の脳の病気です。麻疹ウイルスの一部が脳内に潜伏し、徐々に神経細胞を破壊します。症状は、学力低下や性格変化から始まり、体の一部がピクつく不随意運動(ミオクローヌス)が現れます。病気が進行すると、運動機能や意識が失われ、残念ながら現在のところ確立された治療法はありません

SSPEは、麻疹にかかった人の数万人に一人という確率で発症する、麻疹の最も恐ろしい合併症です。

🚨 唯一の予防策は「麻疹ワクチンの接種」だけなのです。

 

何かご心配なことがあれば、いつでもユアクリニックお茶の水にご相談ください。私たち小児科医が、お子さんの健康を全力でサポートさせていただきます。

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