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ヘルペス性歯肉口内炎

診療でのことですが、お母さんに抱っこされた3歳の女の子がやってきました。ほっぺたを真っ赤にして、涙目でぐったり。「先生、熱が全然下がらないし、口の中が痛いみたいで大好きなジュースも飲まないんです」と、お母さんの声も震えていました。口の中をそっと覗くと、小さな白いポツポツがたくさん。歯茎も赤く腫れ上がっていました。

「ああ、これは痛いね。よく頑張ったね」

私はそう声をかけながら、お母さんに「ヘルペス性歯肉口内炎」だと伝えました。名前を聞くとギョッとするかもしれませんが、実は子供たちには珍しくない、いわばお口の中の嵐のような病気なんです。

今日は、見ているだけで胸が痛くなるこの病気について、どうやってこの嵐を乗り切ればいいのか、私の経験も交えながらじっくりお話ししますね。

ヘルペス性歯肉口内炎の原因

この病気の犯人は「単純ヘルペスウイルス」というやつです。 多くの大人がすでに持っているありふれたウイルスなんですが、赤ちゃんや小さい子供にとっては「はじめまして」の相手。免疫という体のガードマンたちが、初めて出会う敵にびっくりして、「なんだお前はー!」と大騒ぎして戦いを始めてしまうんです。

その戦いの激しさが、あの高い熱やひどい口内炎として体に現れるんですね。例えるなら、ボヤ騒ぎじゃなくて、体の中で盛大にキャンプファイヤーが燃え上がっているような状態です。

ヘルペス性歯肉口内炎の症状と経過

この病気、親御さんにとっても試練の数日間になります。 まず、38度から40度くらいの高熱がドーンと出ます。これが4、5日続くんです。長いですよね。見ているこっちがハラハラします。

そして、熱が出てから少し遅れて、口の中や唇、その周りに水疱(水ぶくれ)が現れます。これが破れると痛い!歯茎も腫れて出血しやすくなります。この時期が一番辛い山場です。 グラフにすると、最初に熱がグンと上がって、そのあと少し遅れて「のどの痛み」や「歯茎の腫れ」のピークが来る感じです。

1週間から10日くらいかけて、ゆっくりと嵐は去っていきます。だから、焦りは禁物ですよ。

家庭でできること:脱水症状を防ぐケア

病院では、症状が重い場合や発症してすぐの場合、「抗ウイルス薬」という、ウイルスの増殖を抑えるお薬を処方することがあります。でも、これはあくまでサポート役。 一番の治療は、お家でのケアなんです。

ここで最大のミッションは「水分補給」です。 口の中が口内炎だらけで痛いので、子供は飲食を嫌がります。当然ですよね、傷口に塩を塗るようなものですから。

食事と水分のコツ

そこで、家庭で気をつけてほしい食事と水分のコツをお伝えします。

  1. しみるものは避ける
    熱いもの、酸っぱいものはNGです。オレンジジュースなんて、傷口にレモン汁をかけるようなもの。絶対に避けてくださいね。 トマト系の料理や、塩辛いものも痛がります。
  2. 冷たくて、のど越しのいいものを
    おすすめは、冷ましたお味噌汁やスープ。栄養も塩分も取れます。 それから、リンゴジュース。これは酸味が少なくて飲みやすい子が多いです。 あとは、冷ましたおじや、お豆腐、柔らかく煮たうどん。 デザートなら、ゼリーや裏ごししたバナナ、アイスクリームもいいですね。こういう時くらい、甘いものを解禁して、まずはカロリーと水分を取りましょう。

コツは「少量を、回数多く」です。一口でも飲めたら褒めてあげてください。 おしっこの色が濃くなっていたり、回数が減っていたりしたら、脱水のサイン。気をつけて見てあげてくださいね。

ヘルペス性歯肉口内炎に関するよくある質問

お風呂はどうすればいい?

高熱がなくて、本人が元気そうならお風呂に入っても大丈夫です。サッと汗を流してスッキリさせてあげましょう。 ただし、感染予防は大切です。タオルを共有するのは避けてくださいね。こまめな手洗いも忘れずに。

保育園・幼稚園はいつから行ける?

働くお母さん、お父さんにとって、ここが一番気になるところですよね。

基準はシンプルです。 熱が下がって、食欲も戻り、ある程度元気になったら

口の中にまだ少し水疱が残っていたり、歯茎が腫れていたりしても、マスクなどで覆うことができれば登園・登校して大丈夫です。完全に跡形もなく治るのを待たなくてもいいんですよ。 もちろん、園ごとのルールもあると思うので、確認してみてくださいね。

こんな時は、再受診を

お家で頑張っていても、どうしても心配な時はありますよね。以下のような場合は、遠慮なく「ユアクリニックお茶の水」を再受診してください。

  • 高熱が4日以上続いているとき
  • 口の痛みが強すぎて水分があまり取れず、ぐったりしているとき

特に「ぐったりしている」というのは、脱水が進んでいる可能性があります。点滴が必要なこともあるので、無理は禁物です。

最後に

ヘルペス性歯肉口内炎は、子供にとっても親にとっても、本当に大変な病気です。 夜中に痛がって泣く我が子を抱っこしながら、途方に暮れる夜もあるかもしれません。「代わってあげたい」と思いますよね。

でも、必ず終わりは来ます。 嵐が過ぎ去れば、またいつものニコニコ笑顔が戻ってきます。 それまでの間、私たち医療スタッフも一緒に戦います。不安なことがあれば、いつでも相談してくださいね。

ユアクリニックお茶の水にて、お待ちしています。

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