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手足口病

赤ちゃんや子どもを悩ませる「手足口病」ってどんな病気?

この病気は、夏に流行のピークを迎えることが多いのですが、実は一年を通していつでもかかる可能性のある、身近な感染症なんです。

手足口病ってどんな病気?

手足口病という名前を聞くと、文字通り「手」や「足」、そして「口」に何かできる病気なんだな、と想像できますよね。まさにその通りで、この病気は、口の中や手のひら、足の裏などに、小さな水ぶくれ(水疱性の発疹)ができるのが主な症状です。

ウイルス感染症」の一種で、原因となるのは主にエンテロウイルスという種類のウイルスです。なかでも、コクサッキーA16(CA16)やエンテロウイルス71(EV71)CA6といったウイルスがよく見られます。基本的には、自然に治っていく予後が良い病気ですが、ごく稀に「急性髄膜炎」や「急性脳炎」といった、少し重い合併症を引き起こすことがあります。特に、EV71というウイルスが原因の場合には、これらの合併症が起こる可能性が少し高いと言われていますので注意が必要です。

  • 急性髄膜炎(ずいまくえん):脳や脊髄を覆う膜に炎症が起こる病気です。

  • 急性脳炎(のうえん):脳そのものに炎症が起こる病気で、重症化すると意識障害などを引き起こすことがあります。

どんな時に流行するの?誰がかかりやすいの?

手足口病は、特に4歳くらいまでのお子さんに多く見られます。全体の半分以上は2歳以下のお子さんですが、小学生のお兄さんやお姉さんがかかることもあります。大人の場合は、子どもの頃にすでに感染していることが多いため、発症することはあまりありませんが、全くかからないわけではありません。男の子の方がかかりやすい傾向があるとも言われています。

日本での流行は、主にがピークですが、秋から冬にかけてもちらほらと患者さんが出ることがあります。

近年では、特定のウイルスが流行する年もあり、例えば2011年や2013年にはCA6というウイルスが原因の手足口病が大きく流行しました。

海外、特にアジアの国々では、手足口病が原因で亡くなるという、とても悲しい報告があったことも事実です。日本国内でも、過去にEV71型ウイルスが原因とみられる重症例や死亡例が報告されていますが、ごく稀なケースです。

どうやって感染するの?

手足口病のウイルスは、主に以下の方法で人から人へと広がります。

  1. 飛沫感染(ひまつかんせん):咳やくしゃみなどで飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。

  2. 経口感染(けいこうかんせん):ウイルスが含まれる便などが口に入ることで感染します。

  3. 接触感染(せっしょくかんせん):水ぶくれの中の液体や、ウイルスがついたものに触れた手で口を触ることで感染します。

特に注意したいのは、症状が治まった後も、ウイルスの排泄が続くことです。便の中には、症状がなくなってから2~4週間もウイルスが排出されることがありますので、しばらくの間は感染源になる可能性があります。

一度手足口病にかかると、その時にかかったウイルスに対しては免疫ができますが、別の種類のウイルスでまた手足口病にかかることもありますので、注意が必要です。

どんな症状が出るの?

ウイルスに感染してから3~5日ほどの潜伏期間を経て、症状が現れます。

一番の特徴は、先ほどもお話ししたように、口の中、手のひら、足の裏や足の甲などに、直径2~3mmくらいの小さな水ぶくれ(水疱性発疹)が現れることです。肘や膝、お尻などにもできることがあります。

口の中の水ぶくれは、つぶれて小さな潰瘍になることもあり、これが原因で食事を嫌がったり、痛がったりすることがあります。

熱が出るお子さんもいますが、多くは38℃以下の軽い発熱で、熱が全く出ないお子さんもいます。通常、発疹は3~7日ほどで自然に消えていきます。水ぶくれがかさぶたになることは稀です。

大人にうつることもあります。

稀に見られる症状

ごく稀ではありますが、お子さんによっては以下のような中枢神経系の合併症が見られることがあります。

  • 髄膜炎(ずいまくえん)

  • 小脳失調症(しょうのうしっちょうしょう):体のバランスがうまく取れなくなる症状です。

  • 急性弛緩性麻痺(きゅうせいしかんせいまひ):手足の力が入りにくくなる症状です。

  • 脳炎(のうえん)

特に、EV71型のウイルスが原因の場合には、これらの合併症に注意が必要です。元気がない、頭痛、繰り返し吐く、高熱が続く(2日以上)などの症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

 

最近では、CA6というウイルスによる手足口病では、これまでとは少し違う症状が見られることがあります。例えば、水ぶくれが大きめだったり、通常の場所以外にもできたりすることがあります。また、手足口病にかかった数週間後に、指の爪が剥がれてしまう「爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)」という症状が報告されることもあります。これは、一時的なもので、新しい爪が生えてきますのでご安心ください。

どうやって診断するの?

多くの場合、小児科医が発疹の様子や分布、そして季節的な流行状況などを確認することで、手足口病と診断できます。

似たような症状が出る病気もあるので、必要に応じて「ヘルパンギーナ」や「水痘(水ぼうそう)」など、他の病気と区別することもあります。

ウイルスを特定するために、水ぶくれの中の液体や、のどの拭い液、便などを検査することもありますが、これはあくまで補助的な診断方法です。

治療と予防について

残念ながら、手足口病に特効薬はありません。抗生物質はウイルスには効きませんので、使用することはありません。

治療は、お子さんが楽に過ごせるように、症状を和らげる「対症療法」が中心になります。

  • 水分補給:口の中に水ぶくれや潰瘍ができると、痛くて飲みたがらないことがありますが、**脱水症状(だっすいしょうじょう)**にならないように、こまめに水分を摂ることが最も大切です。刺激の少ない、薄味の飲み物や柔らかい食べ物を選びましょう。少量ずつ頻繁に与えるのがポイントです。場合によっては点滴での水分補給が必要になることもあります。

  • 発熱:ほとんどの場合、解熱剤なしで様子を見ることができます。

  • かゆみ:発疹にかゆみが出ることは稀ですが、もし痒がるようであれば、かゆみ止めを使うこともあります。

一番大切なのは「予防」です。

  • 手洗い:手足口病のウイルスは、感染した人の便などから排出されますので、特に排便後やおむつ交換の後、食事の前などには、石鹸を使って流水で丁寧に手を洗うことが非常に重要です。お子さん自身にも、こまめな手洗いを促しましょう。

  • タオルの共用を避ける:家族内での感染を防ぐために、タオルなどを共用しないようにしましょう。

 

学校や保育園はお休みした方がいいの?

手足口病は、学校や保育園を休む必要がある「感染症」には含まれていません。なぜなら、症状が回復した後も、ウイルスの排出が長期間続くため、休んだとしても流行を完全に止めることは難しいからです。

多くのお子さんにとって、手足口病は比較的軽症で済む病気です。発疹だけで元気があるお子さんに、長くお休みを強いる必要はありません。登園や登校については、お子さん自身の体調や症状に合わせて判断していただくのが良いでしょう。無理をさせず、十分に休息をとることが大切です。

 

当院では、お子さんの健康と成長を第一に考え、病気の治療はもちろんのこと、予防接種による病気の予防にも力を入れています。お子さんのことで何か心配なことがあれば、いつでもご相談ください。

 

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