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喘息診療におけるFeNO測定

 

1. FeNO測定って何?喘息との関係は?

feno測定とは、呼気中の一酸化窒素(NO)の濃度を測る検査のことです 。喘息は、空気の通り道(気道)が慢性的に炎症を起こす病気です 。特に好酸球性炎症という炎症が中心的な役割を果たしています 。この好酸球性炎症が起きていると、気道で作られるNOが増えるので、feno値を測ることで気道の炎症具合がわかるのです 。息を吐くだけで炎症がチェックできる、体に負担のかからない(非侵襲的)方法です 。

 

2. FeNO測定機器の種類と特徴

feno測定にはいくつかの方法があります。主なものは化学発光法電気化学センサー法です 。化学発光法は非常に精度が高いですが、装置が大きくて値段も高いので、主に研究で使われています 。一方、電気化学センサー法は臨床現場でよく使われています 。

測定方式

検出限界

応答時間

重量

価格

用途

化学発光法

<1ppb

<1秒

25-45kg

18,000-41,000ユーロ

研究・基幹病院

電気化学センサー

>5ppb

>10秒

0.4-1kg

約4,000ユーロ

一般臨床

レーザー技術

0.3ppb

<1秒

不明

>100,000ユーロ

先端研究

電気化学センサー法には、niox veroのような持ち運べるタイプがあります 。検出限界は少し高めですが、実用的な性能で価格も抑えられています 。最新のレーザー技術はさらに高感度ですが、まだとても高価です 。

 

3. FeNO測定で何がわかるの?診断と治療への活用

項目

内容

備考

FeNO測定の用途

喘息診断の補助、吸入ステロイド薬(ICS)の効果確認、服薬遵守の推測

単独での確定診断は不可

診断精度

感度: 43-88%
特異度: 60-92%

研究により差あり

日本人における基準値

22ppb以上: 喘息疑い
37ppb以上: 可能性高い

37ppb基準では見逃しあり

国際的ガイドライン (成人)

25ppb未満: 低値
25-50ppb: 中間値
50ppb超: 高値

小児とは基準値が異なる

FeNO値と治療効果

高値の患者はICSなどの治療が効きやすい傾向

-

feno測定は喘息の診断の助けになりますが、これだけで確定診断はできません 。診断精度は研究によって差がありますが、感度は43-88%、特異度は60-92%程度です 。日本人では22ppb以上で喘息が疑われ、37ppb以上で可能性が高いとされています 。ただし、37ppbを基準にすると喘息を見逃すこともあります 。

国際的なガイドラインでは、成人は25ppb未満を低値、25-50ppbを中間値、50ppb超を高値と分類しています 。小児では基準値が異なります 。feno値は、吸入ステロイド薬(ics)が効いているかを確認したり 、患者さんがきちんと薬を使えているかを推測したりするのにも役立ちます 。fenoが高い患者さんは、icsなどの治療が効きやすい傾向があります 。

 

4. FeNO測定のすごいところ!メリットを解説

 

feno測定の最大のメリットは、体への負担が少ない(非侵襲的)ことです 。息を吐くだけなので、小さなお子さんから高齢者まで誰でも簡単に受けられます 。検査時間も短く、すぐに結果がわかるのも便利です 。

  • 気道の炎症を直接チェックできる 。

    • 症状がなくても炎症があるかどうかがわかります 。

    • どんな治療が効きやすいかを予測する手がかりになります 。

  • 治療効果のモニタリング 。

    • 吸入ステロイド薬の効果を数値で確認できます 。

    • FeNO測定を治療に組み合わせることで、喘息発作(増悪)や飲み薬のステロイドを使う頻度が減ったという報告があります 。

  • 薬をきちんと使えているか確認 。

    • 治療してもFeNO値があまり下がらない場合、薬の使い方が不十分かもしれないと気づくきっかけになります 。

  • 喘息のタイプ分けに役立つ 。

    • FeNOが高いと、ICSや新しいタイプの薬(生物学的製剤)が効きやすい喘息のタイプ(T2-high喘息)を見分けるのに役立ちます 。

 

5. FeNO測定の注意点!限界と影響因子

feno測定には便利な点が多い一方で、いくつかの注意点があります 。まず、これだけで喘息かどうかを決めるのは難しいです 。feno値が低くても喘息ではないとは言い切れませんし、喘息でなくてもアレルギー体質の人はfeno値が高くなることがあります 。

また、feno値は様々な要因で変動します 。

  • 体の状態:年齢、性別、身長、体重、人種、遺伝、女性の月経周期や妊娠 。

  • 他の病気:アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、好酸球性副鼻腔炎、風邪などの感染症 。

  • 環境や生活タバコ(FeNO値が低くなります)、食事(カフェイン、アルコール、硝酸塩を含む食品)、運動、花粉などのアレルゲンに触れること 。

これらの影響があるため、測定結果を判断する際には、他の情報を一緒に考える必要があります 。

 

6. 測定時のポイントと結果の正しい見方

正確なfeno測定のためには、いくつか気をつけることがあります 。測定の1時間前は食事やカフェインを控えるのが良いでしょう 。また、激しい運動も避けた方が良いです 。風邪をひいている時は、測定をずらした方が良いかもしれません 。

結果を見る時は、その時のfeno値だけではなく、他の情報も一緒に考えましょう 。

  • 今の症状これまでの病気の経過

  • 肺機能検査の結果

  • アレルギー検査の結果

  • レントゲンなどの画像検査の結果

  • これまでの治療でどうなったか

これらの情報を総合的に判断することで、feno測定の結果をより有効に活用できます 。

 

7. 日本でのFeNO測定:保険適用と承認機器

日本でfeno測定が保険でできるようになってから、臨床現場での利用が広がっています 。2013年6月から保険適用され、今は「呼気ガス分析」として月に1回、2,400円で検査できます 。喘息だけでなく、他の気道の炎症がある病気でも適用されることがあります 。

日本で保険診療に使える機器としては、現在niox veroが主な機種です 。以前使われていたniox minoやnobreathは現在販売されていません 。

 

8. 臨床現場でのFeNO測定:どんな患者さんに役立つの?

対象患者のタイプ

診断/目的

備考

喘息が疑われる方

診断の助け

 

吸入ステロイド薬未使用の方

治療効果の予測

 

難治性喘息の方

炎症状態の評価

治療がうまくいかないケース

喘息と類似疾患(COPDなど)

鑑別診断

 

生物学的製剤の使用検討

治療法の判断

新しいタイプの薬

feno測定は、特に以下のような患者さんで役立つと考えられています 。

  • 喘息かもしれない、と疑われている方の診断の助けに 。

  • まだ吸入ステロイド薬を使ったことがない方で、治療が効きそうか予測するのに 。

  • 治療がなかなかうまくいかない難治性喘息の方の炎症の状態を評価するのに 。

  • 喘息と似た病気であるCOPDと見分けるために 。

  • 新しいタイプの薬(生物学的製剤)を使う必要があるか判断するのに 。

 

9. コストは?費用対効果について

項目

詳細

費用

費用対効果

初期費用

機器導入費用

約80万円

-

維持費用

センサー交換、メンテナンス

定期的に発生

-

1回測定コスト

保険収入を上回る場合がある

保険収入を上回る可能性あり

-

費用対効果

喘息発作の減少による医療費削減、不要な薬処方の減少などの効果が報告されている。

研究中

• 喘息発作の減少 • 医療費削減 • 不要な薬処方削減
しかし、費用対効果が明確かは研究によって異なり、さらなる検討が必要

feno測定機器を導入するには、初期費用として80万円ほどかかります 。さらに、センサーを定期的に交換したり、メンテナンスをしたりするための維持費用もかかります 。1回の測定にかかるコストが、保険で得られる収入を上回る場合もあるため、コストの課題も指摘されています 。

feno測定に費用に見合う効果があるかについては研究が行われています 。喘息の発作が減ることで医療費が抑えられたり、必要のない薬の処方が減ったりする効果が報告されています 。しかし、費用対効果が明確かはまだ研究によって異なり、さらなる検討が必要です 。

 

10. FeNO測定のこれから:技術と臨床応用の未来

feno測定の技術はこれからも進化していくと期待されています 。

  • 測定精度がもっと高くなり、どこの機器で測っても同じような結果が得られるようになるかもしれません 。

  • もっと短時間で測れるようになったり、機器がもっと小さく安くなったりする可能性もあります 。

  • 様々な息の吐き方で測ることで、気道のどこに炎症があるか詳しくわかるようになるかもしれません 。

臨床現場での使い方も広がる可能性があります 。

  • 患者さん一人ひとりにより合った治療を選ぶ(個別化医療)のに役立つかもしれません 。

  • 家で自分で測って、遠隔で医師にデータを送るようなシステムと連携するかもしれません 。

  • 他の検査と組み合わせて、より正確な診断ができるようになるかもしれません 。

  • 新型コロナウイルスのような新しい感染症による気道の炎症を評価するのに使われる可能性も考えられています 。

ただし、これらの可能性を裏付けるためには、今後さらに多くの研究データ(エビデンス)が必要とされています 。特に、長期的に見て患者さんの状態がどう変わるか、費用にどれだけ見合う効果があるか、日本人にとって最適な基準値は何か、といった点が今後の課題です 。

 

11. まとめ:FeNO測定を上手に活用するために

 

feno測定は、喘息の診療において気道の炎症を評価するためのとても便利なツールです 。息を吐くだけで簡単に測れて、治療が効いているかを知る客観的な目安になります 。特に、喘息の発作を減らしたり、飲み薬のステロイドを減らしたりするのに役立つことが示されています 。

一方で、feno測定だけでは診断が難しかったり、色々な要因で値が変動したり、機器によって多少の違いがあったり、コストがかかるといった限界もあります 。これらの注意点を理解して、適切に使うことが大切です 。

feno測定を上手に活用するためには、以下の点が推奨されます 。

  • どんな患者さんに使うか明確に:診断が難しい場合や、治療が効くか知りたい場合、発作の心配がある場合に重点的に使いましょう 。

  • 測り方を standardized に:毎回同じ条件で測り、詳しく記録することが大切です 。

  • 他の情報と合わせて判断:FeNOの値だけではなく、症状や他の検査結果も一緒に見て判断しましょう 。

  • 医療従事者の training:使う人が正しい知識を持つことが重要です 。

  • データの蓄積:日本での長期的な有効性に関するデータがもっと必要です 。

feno測定は、今の時点では喘息診療の補助的なツールとして、他の情報と総合的に判断しながら活用していくことが推奨されています 。

 

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