その鼻水、本当にお薬が必要ですか?小児科専門医が語る抗ヒスタミン薬の真実
こんにちは。ユアクリニックお茶の水院長の杉原です。
毎日たくさんの患者さんを診察していると、お父さんやお母さんからおくすり手帳を見せていただく機会がよくあります。そこには、他の病院で処方されたいろいろな種類のお薬が並んでいます。その中でも特によく見かけるのが、鼻水を止めるための抗ヒスタミン薬です。
実は、私たち小児科医の間では、普通の風邪に対してこれらの薬を出すことは、効果がないというのが共通認識になりつつあります。えっ、そうなの?と驚かれるかもしれませんね。今日はその理由を、少し深掘りしてお話ししてみたいと思います。
風邪の鼻水が出る理由
まず、風邪の鼻水はどうして出るのかを考えてみましょう。専門用語では普通感冒と言いますが、これはウイルスが鼻の粘膜に悪さをすることで起こります。このとき、体の中ではウイルスを追い出そうとする炎症というお祭り騒ぎが起きています。
アレルギー性鼻炎の場合は、ヒスタミンという物質がスイッチになって鼻水が出ます。これを止めるのが抗ヒスタミン薬です。しかし、風邪の鼻水はヒスタミンだけでなく、もっとたくさんの物質が複雑に絡み合って出ているんです。例えるなら、アレルギーが特定のスイッチでつく電球だとしたら、風邪は家全体が火事になっているようなもの。電球のスイッチをパチッと切ったところで、火事の煙(鼻水)は止まらないのです。
私が研修医だった頃、先輩からこんなことを教わりました。
鼻水を無理に止めるのは、ゴミ出しを止めるのと一緒だよ。体はウイルスというゴミを鼻水と一緒に外に出そうとしているんだから。
その言葉を聞いて、私はハッとしたのを覚えています。
鼻水=わるいこと ではないんです。
鼻水=身体の自浄作用 なんですね。
もちろん、食事がうまくとれない、鼻水のせいで眠れない、不機嫌になってしまう。こんなときには鼻の薬を頼ったほうがいいと思います。(くうねるあそぶ、と僕は呼んでますw
抗ヒスタミン薬のリスク
古くからある第1世代と呼ばれる抗ヒスタミン薬、例えばペリアクチンやポララミンなどは、鼻水を乾かす作用があります。でもこれ、ちょっと厄介な側面もあるんです。鼻水を無理やり乾かしてしまうと、粘り気が強くなって、かえって喉にへばりついたり、痰として出しにくくなったりすることがあります。
さらに、小さなお子さんの場合は、脳に影響して痙攣を引き起こすリスクを高めることも分かっています。良かれと思って飲ませたお薬で、お子さんが苦しむようなことは避けたいですよね。
第2世代の抗ヒスタミン薬について
一方で、最近よく耳にするアレグラやクラリチンといった第2世代のお薬はどうでしょうか。これらは眠気などの副作用は少ないのですが、残念ながら風邪の鼻水に対しての効果は、海外の研究でもほとんど否定されています。もし、これらのお薬を飲んで鼻水が止まったとしたら、それは風邪ではなく、もともとあったアレルギー性鼻炎が落ち着いただけかもしれません。
家庭でできる鼻水への対処法
では、鼻水で苦しそうな我が子を前に、私たちは何ができるのでしょうか。
一番は、お部屋の湿度をしっかり保つこと。そして、鼻吸い器などで物理的に鼻水を取ってあげることです。お薬に頼りたくなる気持ちは本当によく分かります。私自身も経験として、子供が夜中に鼻詰まりで泣いていると、何か魔法のような薬はないかと探したくなった時代もありました。。でも、そんな時こそ一呼吸置いて、体の自然な治癒力を信じてあげることが大切なんです。
もちろん、症状が長引いたり、耳を痛がったりする場合は別の対応が必要です。いつでもお気軽に相談してくださいね。
私は、ただお薬を出すだけでなく、お子さんの体が本来持っている力を最大限に引き出すお手伝いをしたいと考えています。
