赤ちゃんヘルメットとニット帽、夏の肌トラブルから守る秘訣!
さて、最近、当院でもご相談が増えているのが、赤ちゃんの頭の形を整える「ヘルメット治療」についてです。赤ちゃんの頭の形は、向き癖や寝る姿勢などで、気づくとぺたんこになっていたり、いびつになってしまったりすることがありますよね。そんな時に、ヘルメットをかぶって、やさしく頭の形をサポートしていくのがヘルメット治療です。
「うちの子も、ヘルメット治療を始めたんです!」と、先日、生後4ヶ月の「朋香(ほのか)ちゃん」のママが、心配そうに診察室に入ってこられました。朋香ちゃんは、生後2ヶ月頃から向き癖が強く、頭の右側が少し平らになってしまっているとのこと。小児科で相談したところ、ヘルメット治療を勧められたそうです。
「杉原先生、ヘルメットをかぶっていると、なんだか頭が蒸れてしまいそうで…特にこれからの季節、あせもとかにならないか心配で…」
ママは、これからの暑い季節の肌トラブルを心配されていました。
朋香ちゃんのママのお気持ち、本当によく分かります。かわいい赤ちゃんに少しでも快適に過ごさせてあげたいという親心ですよね。実は、ママが心配されている「ヘルメットの中の蒸れ」は、とても大切なポイントなんです。
「えっ!そうなんですか?どうしてですか?」
ママは驚いた様子で、私を見つめました。
ヘルメットには、赤ちゃんの頭の形を矯正するだけでなく、実はもう一つ大切な役割があるんです。それは、「通気性を確保すること」です。ヘルメットのてっぺんには、いくつか大きめの穴が開いているのをご存知でしたか?この穴は、ヘルメットの中の熱を逃がして、蒸れを防ぐための「換気扇」のようなものなんです。
もし、この「換気扇」がうまく機能しないとどうなると思いますか?
想像してみてください。夏休みに、お子さんがプラスチック製の水筒に温かいお茶を入れて、蓋をしっかり閉めたまま、暑い日に外に置いておいたらどうなるでしょう?しばらくすると、水筒の中はどんどん熱くなって、水筒の表面も触れないくらい熱くなりますよね。
これと同じで、ヘルメットの中に熱がこもってしまうと、まるで小さなサウナのようになってしまうんです。赤ちゃんは大人よりも体温調節が苦手なので、ヘルメットの中が蒸れてしまうと、
- あせも: 汗をかいて、小さなプツプツができて、かゆくなっちゃう。
- かぶれ: 汗や蒸れで、皮膚が赤くなって炎症を起こしてしまう。
- 肌トラブル: ひどい場合には、皮膚がジュクジュクしたり、とびひなどの感染症につながってしまうことも。
といった、皮膚トラブルの原因になってしまうことがあります。
「なるほど…換気扇の穴だったんですね!知りませんでした。もし、肌トラブルになってしまったらと思うと、怖いです…」
ママは、少し青ざめた表情をされました。
朋香ちゃんのママには、ヘルメットをかぶっている間は、室内では薄着にしたり、エアコンで室温を快適に保ったり、外出時は直射日光を避ける工夫などをお伝えしました。また、もし汗をたくさんかいてしまったら、清潔なガーゼで優しく汗を拭き取ってあげることも大切です。
そして、ママは続いてこんな質問をされました。
「杉原先生、これからの時期は大丈夫だと思うのですが、冬になったらニット帽をかぶせてあげても大丈夫でしょうか?」
この質問も、よくお受けするご相談なんです。寒い冬に、かわいいニット帽を赤ちゃんにかぶせてあげたい気持ち、とてもよく分かります。でも、実はヘルメットの上にニット帽をかぶせるのは、あまりお勧めできないんです。
先ほどお話ししたように、ヘルメットのてっぺんにある穴は「換気扇」の役割をしています。もし、この穴をニット帽で覆って塞いでしまうと、せっかくの通気性が保たれず、ヘルメットの中に熱がこもりやすくなってしまうんです。
もちろん、この月齢の赤ちゃんは、雨の日に長時間お外に出ることは少ないと思いますが、例えばレインコートを着せて頭にフードをかぶせる場合も同じです。フードでヘルメットの通気孔を塞いでしまうと、ヘルメットの中に熱がこもってしまう可能性がありますので、注意が必要です。
杉原院長は、ベビーヘルメット以外でも、小児アレルギーや小児漢方にも力を入れていますが、何よりも大切にしているのは「予防」です。病気にならないように、安全に予防接種を受けてもらうこと、そして、こういったちょっとした日々の工夫で、お子さんの健康を守ること。それが、私の願いです。
「杉原先生、ありがとうございました!今日から、ヘルメットの通気性に気を付けて、朋香の肌トラブルを防いであげられるように頑張ります!」
朋香ちゃんのママは、安心した様子で笑顔で診察室を出ていかれました。
もし、お子さんのヘルメット治療で何かご心配なことがあれば、いつでもユアクリニックお茶の水にご相談くださいね。私も坊主頭なので、夏の暑さ対策には人一倍気を使っています(笑)。あごひげは涼しげに見えますか?
お子さんが快適に、そして安全にヘルメット治療を続けられるよう、一緒に考えていきましょう。
