先日、ユアクリニックお茶の水に、生後4ヶ月の女の子、ゆいちゃんがママと一緒にやってきました。（フィクションです）ママは少し心配そうな顔をしていました。

「先生、ゆいちゃんの頭の形が、ちょっといびつなのが気になっていて…」

ゆいちゃんのママは、インターネットで「赤ちゃんの頭のゆがみ」について調べているうちに、不安になってしまったそうです。特に、ゆいちゃんの頭の後ろが少し平らになっているのが気になっていて、向き癖が強いことも原因じゃないかと心配していました。

ゆいちゃんはニコニコと愛らしい笑顔を見せてくれましたが、確かに、頭の形が少しだけ気になります。このような赤ちゃんの頭のゆがみは、「頭蓋変形（ずがいへんけい）」と呼ばれ、特に向き癖などが原因で起こることがあります。

ゆいちゃんの頭のゆがみ、どうして？

赤ちゃんの頭の骨は、まだとても柔らかいんです。まるで、まだ固まっていない粘土のようなもの。だから、いつも同じ方向ばかり向いていると、その部分がだんだん平らになってしまうことがあるんです。ゆいちゃんの場合も、どうやら同じ向きで寝ていることが多かったようです。

ママは「私のせいでしょうか…」と涙ぐんでしまいましたが、大丈夫。これは決してママのせいではありません。赤ちゃんが快適な姿勢をとろうとした結果なんです。そもそも、お腹のなかにいるころから向き癖は決まっているんです。

「心配しないでくださいね。ゆいちゃんの頭のゆがみは、よくあることなんですよ。まずは、ゆいちゃんの頭のゆがみの原因を詳しく調べてみましょう。」

私はそう言って、ゆいちゃんの頭を丁寧に診察しました。もし、検査で特に心配なことが見つからなければ、まずは「経過観察（けいかかんさつ）」、つまり、しばらく様子を見ながら、ゆいちゃんの頭の形が自然に丸くなるかどうかを見ていくことになります。この診察や検査、そして経過観察は、保険診療の範囲内で行うことができます。普段皆さんが風邪などで病院にかかるのと同じように、保険証を使って費用が抑えられるということです。

ヘルメット治療という選択肢

ゆいちゃんのママは、経過観察で頭の形が戻らなかったらどうしよう、と心配そうに尋ねました。

「もし、経過観察だけでは改善が見られない場合や、ゆがみの程度が大きくて将来的に心配な場合は、『ヘルメット矯正治療（きょうせいちりょう）』という方法もありますよ。」

ヘルメット矯正治療は、赤ちゃんの成長に合わせて作られた、特別なヘルメットをかぶることで、頭の形をきれいに整えていく治療です。このヘルメットは、頭の平らな部分にはスペースを作り、成長を促したい部分には軽く圧力をかけることで、まるで優しく誘導するように頭の形を丸くしていくんです。例えるなら、まだ柔らかいパン生地を型に入れて焼くようなイメージですね。そうすると、きれいな形のパンに焼き上がりますよね。

しかし、このヘルメット矯正治療については、いくつか知っておいてほしいことがあります。ヘルメットを作る費用や、ヘルメットをつけた後の約1ヶ月ごとの診察、そしてヘルメット内のクッションの調整などは、残念ながら保険がきかない「自由診療（じゆうしんりょう）」となります。自由診療というのは、保険が適用されないため、かかる費用はすべて自己負担になる、ということです。ユアクリニックお茶の水では、最初の受診相談以外、ヘルメット矯正治療は自由診療となります。

 

このあたりはクリニック別に方針が異なります。すべてを自費診療とする方針のクリニックもあるんです。

けれども、ユアクリニックお茶の水では、最初のご相談については、病的な頭蓋変形性を診断するという目的で行っておりますので、保険診療の適応とさせていただいています。

ゆいちゃんのママは、少し驚いた様子でしたが、ゆいちゃんの将来のために真剣に考えているようでした。

「先生、もしヘルメット治療を選ぶとしたら、いつ始めるのがいいですか？」

「ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭の骨がまだ柔らかい時期、つまり生後3ヶ月から6ヶ月くらいに始めるのが一番効果的だと言われています。骨が成長する力が強い時期なので、より早く、よりきれいに形が整いやすいんです。」

ゆいちゃんの新しい冒険の始まり

ゆいちゃんのママは、私とじっくり話をした後、まずは経過観察で様子を見ることにしました。そして、私がアレルギーや漢方治療の話もできることを知って、ゆいちゃんの将来の健康についても相談に乗ってほしいと言ってくれました。

数週間後、再びゆいちゃんがユアクリニックお茶の水にやってきました。ママは、前回よりも少し表情が明るくなっています。

「先生、ゆいちゃんの頭の形、少しだけ丸くなってきた気がするんです！」

ゆいちゃんは、以前よりもうつ伏せで遊ぶ時間が増え、寝る向きも工夫しているとのこと。赤ちゃんの成長の力って本当にすごいですね！

大切なのは、お子さんの未来のために考えること

ゆいちゃんの頭の形は、まだ少しだけですが、確実に良い方向に向かっていました。ママも「先生、このままで良さそうですね！」と笑顔を見せてくれました。

私は、ゆいちゃんの笑顔を見て心から嬉しくなりました。ベビーヘルメットの矯正治療は、確かに費用がかかる自由診療ですが、お子さんの頭の形が気になって、将来的なコンプレックスになるのではないかと心配している親御さんにとっては、大切な選択肢の一つです。

ユアクリニックお茶の水では、お子さんの頭のゆがみについて、丁寧な診察と説明を行い、それぞれの状況に合わせた最適な方法を一緒に考えていきます。もし、赤ちゃんの頭の形が気になるようでしたら、いつでもお気軽にご相談ください。私は、お子さんの健やかな成長を、アレルギーや漢方も含め、あらゆる面からサポートしたいと願っています。そして、何よりも大切なのは、病気にかかる前の「予防」だと心得ています。ワクチンを安全に受けてもらい、病気からお子さんを守ることこそが、私の最も大事な使命だと考えています。