10ミリ近い差は重症なの?ドーナツの穴でわかる赤ちゃんの頭のゆがみと正しい評価法
こんにちは。ユアクリニックお茶の水の院長です。
診察室で赤ちゃんの頭の形を測定した後、結果の数値をお渡しすると、多くのお父さんやお母さんが、まるで難しい算数のテスト結果を受け取るような、少し身構えた表情をされることがあります。特に測定結果のシートに、CAやCVAIといったアルファベットが並んでいると、なんだか難解な暗号のように感じてしまいますよね。
先日も、あるお母さんが測定結果のシートをじっと見つめながら、不安そうに相談してくれました。
「先生、このCAという数字が9.8ミリになっています。ネットで調べたら中等症と書いてあって、ショックで。うちの子、そんなにひどいのでしょうか。」
実は、ここが赤ちゃんの成長を見守るうえで、とても大切で、かつ勘違いが起きやすいポイントなんです。今日は、この二つの数値の違いを、ドーナツを使った例え話を交えながら、論理的に、そして優しく解き明かしていきましょう。
赤ちゃんの頭のゆがみを理解するために:CA(頭蓋非対称)とは?
まず一つ目の指標、CAについてです。これは日本語で頭蓋非対称と呼びます。
簡単に言えば、頭のゆがみを長さの差、つまりミリメートルだけで測ったものです。赤ちゃんの頭を真上から見たとき、右斜めと左斜めの長さを測って、その引き算をした数字だと考えてください。
これを例えるなら、ドーナツの真ん中にあいた穴のサイズそのものです。
でも、この穴の大きさだけを見る方法には、赤ちゃんの成長ならではの注意点があります。
CVAI(頭蓋非対称指数)が重要な理由:ドーナツの例え
そこで重要になるのが、二つ目の指標、CVAIです。日本語では頭蓋非対称指数といいます。
これが今回の主役なのですが、CVAIは単なる引き算ではありません。
さきほどの長さの差(CA)を、短い方の対角線の長さで割って、100をかけたパーセントの数値です。
なぜ、わざわざ短い方の長さで割るのでしょうか。
それは、赤ちゃんの頭の大きさは一人ひとり違うからです。
想像してみてください。一口サイズの小さなミニドーナツに、約1センチ(9.8ミリ)の大きな穴があいていたらどうでしょうか。ドーナツの生地がほとんどなくて、今にも形が崩れてしまいそうですよね。これは一大事です。
でも、もしそれが、顔よりも大きな特大サイズのジャンボドーナツにあいた1センチの穴だったらどうでしょう。全体から見れば、ほんの小さな穴に過ぎませんよね。
赤ちゃんの頭もこれと同じです。
実際のケースで解説:CAだけでは判断できない理由
先ほどのお母さんのケースを一緒に見てみましょう。
確かにCAは9.8ミリありました。このミリ数だけを一般的な基準表に当てはめると、中等症と分類されることが多いため、お母さんが不安になるのも無理はありません。
でも、この赤ちゃんはとても体格がよく、頭のサイズもしっかりと大きかったんです。
短い方の対角線の長さで割って計算したCVAIは、6.7パーセントでした。
いいですか、お母さん。この6.7パーセントという数字は、実は軽症の範囲内なんですよ。
CAの9.8ミリだけを見ると中等症のように見えますが、お子さんの立派に成長した頭の大きさを考えれば、ゆがみの割合は決して高くありません。安心してくださいね。
そうお伝えすると、お母さんはパッと明るい表情になり、胸をなでおろしていらっしゃいました。その様子を見て、私も自分のことのように嬉しくなりました。
数字よりも大切なこと:笑顔で成長を見守る
数字の大きさに振り回されるのではなく、その数字が教えてくれる成長の証を一緒に喜んでいきたい。それが私たちの願いです。
赤ちゃんの頭の形を気にしすぎて、お父さんやお母さんが笑顔を忘れてしまうこと。それが小児科医として、私は一番心配です。
もちろん形を整えることも大切ですが、その下にある脳は、みなさんの優しい笑顔を見て、心地よい声を聞くことで、何よりも健やかに育っていきます。
ちょっとした余談ですが、診察室で赤ちゃんがニコッと笑ってくれると、私たちスタッフもみんな幸せな気持ちになります。
お気軽にご相談ください
難しい計算や数値の判断は、どうぞ私たちユアクリニックお茶の水の専門スタッフに任せてください。
もしお手元のデータで気になることがあれば、いつでも気軽にご相談くださいね。一緒に、お子さんにとって最適な答えを見つけていきましょう。
