ママ、どうしよう!お腹がピーピー、ゲーゲーだよ!~感染性胃腸炎との闘い~
この季節の変わり目に、ちょっと気になるお話があります。最近、「感染性胃腸炎」というお腹の風邪が、なんだか流行っているんです。あれ?お腹の風邪って、冬に流行るイメージがあるのに、なんで今頃?って思いますよね。実は、この時期に増えている感染性胃腸炎には、ちょっと変わった特徴があるんです。
(情報元: 『感染性胃腸炎』流行中 「ノロ」に似た「サポ」「アストロ」は子供に感染しやすい 原因と対策を二木教授が解説(FNNプライムオンライン))
これはフィクションですが、先日、ユアクリニックお茶の水の診察室に、少し困った顔をしたお母さんと、ぐったりとした様子の男の子、ともひろ君(3歳)がやってきました。
「杉原先生、ともひろが昨日の夜から急に吐き始めて、今朝からはお腹もピーピーで…元気がないんです。」
お母さんの顔には、心配の気持ちがにじみ出ていました。ともひろ君も、いつもなら診察室に入るなりおもちゃに飛びつくのに、この日はお母さんの膝に顔をうずめて、しんどそうにしています。
ともひろ君を診察すると、熱は少しあるものの、ぐったりしているのが気になります。お腹を触ると、少し張っていて、聞くとお腹が痛いと訴えました。典型的な「感染性胃腸炎」の症状です。
「ともひろ君、しんどいね。お腹の風邪になっちゃったみたいだね。」
と声をかけると、ともひろ君は「うん…」と小さな声で答えました。
お母さんから詳しく話を聞くと、ともひろ君が通う保育園でも、数日前から同じようにお腹を壊しているお友達が増えているとのこと。
「先生、これって、やっぱりノロウイルスですか?冬に流行るって聞くんですけど…」
お母さんは心配そうに尋ねました。
ノロだけじゃない!小さなお子さんがかかりやすい「お腹の風邪ウイルス」たち
「お母さん、よくご存じですね。ノロウイルスも感染性胃腸炎の原因として有名ですが、実は今、小さなお子さんを中心に流行しているのは、ノロウイルスとはちょっと違う、だけど症状が似ているウイルスなんです。」
私はそう説明しました。お母さんは首をかしげます。
「『サポウイルス』や『アストロウイルス』というウイルスが、最近よく見つかっているんです。これらもノロウイルスと同じ仲間で、お腹の症状を起こすウイルスなんですよ。」
「サポウイルス?アストロウイルス?初めて聞きました。」
お母さんは驚いたように言いました。
「そうですよね。聞き慣れない名前だと思います。でも、このウイルスたち、特に小さなお子さんに感染しやすい特徴があるんです。そして、感染力がとっても強いんですよ。」
ここで、私は例え話を使ってみることにしました。
「例えるなら、このウイルスたちは、まるでイタズラ好きな小さな泥棒さんたちみたいなものです。ノロウイルスという大きな泥棒さんがいる一方で、サポウイルスやアストロウイルスという、小さくてすばしっこい泥棒さんもいるんです。この小さな泥棒さんたちは、特に元気いっぱいの子供たちの体に忍び込むのが得意なんです。そして、一度忍び込むと、まるで秘密基地に隠れているかのように、なかなか見つかりにくい厄介な特徴を持っています。」
「だから、保育園のような集団生活の場所では、あっという間に広まってしまうことがあるんですね。そして、お子さんを通じて、ご家庭にも持ち込まれてしまうケースが多いんです。」
お母さんは納得したように頷きました。
なぜ今、お腹の風邪が流行っているの?~天候不順と免疫負債の秘密~
「それにしても、なんでこの時期にこんなに流行ってるんでしょうか?」
お母さんは疑問に思ったようです。
「それはですね、いくつか理由があると考えられています。一つは『天候不順』です。」
「天候不順?」
「はい。最近、急に暑くなったり、また肌寒くなったりと、気温の変化が激しいですよね。私たちの体は、この急な変化についていくのが大変なんです。まるで、ジェットコースターに乗っているようなものですね。体が気温の変化にうまく適応できないと、知らず知らずのうちに体調を崩しやすくなって、免疫力、つまり病気と戦う力が落ちてしまうんです。そうすると、普段なら跳ね返せるようなウイルスにも、感染しやすくなってしまうんですよ。」
私は続けて、もう一つの大きな理由を話しました。
「そしてもう一つ、『免疫負債』という言葉をご存じでしょうか?」
お母さんは首を横に振りました。
「コロナが流行していた時期、みんなで手洗いやマスクを徹底して、感染対策を頑張りましたよね。そのおかげで、ウイルスに触れる機会が少なくなりました。それはそれで良かったことなのですが、一方で、私たちの体がウイルスに触れる機会が減ったことで、ウイルスに対する免疫力が少し低下してしまった部分もあるんです。まるで、運動をずっとサボっていた人が、急に全力疾走しようとしても、なかなか体が動かないのと同じようなイメージですね。これを『免疫負債』と呼んでいます。私たちの体が、様々なウイルスと戦うための『貯金』が少し減ってしまっている状態なんです。」
「なるほど…確かに、コロナの前は、こんなに神経質に手洗いや消毒をしていなかったかもしれません。」
お母さんは深く頷きました。
「それに加えて、最近は海外からの観光客の方も増えましたよね。海外には、日本でまだあまり流行していないウイルスがいることもあります。そういったウイルスが持ち込まれて、流行してしまう可能性も考えられます。」
アルコール消毒は効かない?!正しい対策でウイルスを撃退しよう!
「先生、家でアルコール消毒はしているんですが、それだけじゃダメですか?」
お母さんの質問に、私は少し残念そうに答えました。
「残念ながら、ノロウイルスやサポウイルス、アストロウイルスには、アルコール消毒はほとんど効果がないんです。アルコールは、これらのウイルスにとっては、まるでただの水のようなものなんです。(これはフィクションです)だから、コロナの時に習慣になったアルコール消毒だけでは、これらのウイルスを退治することはできないんですよ。」
お母さんは、驚いたように目を見開きました。
「ええ!そうなんですか!てっきり効くものだと…」
「はい。これらのウイルスを洗い流すには、石鹸と流水で、しっかり手を洗うことが一番大切なんです。石鹸で泡立てて、指の間や爪の先まで丁寧に、20秒以上かけて洗いましょう。歌を歌いながら洗うのもいいですね。ともひろ君は、どんな歌が好きかな?」
ともひろ君は、お母さんの服の裾をぎゅっと握りしめて、まだしんどそうにしていましたが、少しだけ顔を上げて、小さな声で「アンパンマン…」とつぶやきました。
「よし!じゃあ、今度からアンパンマンの歌を歌いながら手洗いしてみようね!」
私はともひろ君に優しく語りかけました。
「それから、ともひろ君がもし吐いてしまったら、その処理にも注意が必要です。吐いたものには、ウイルスがたくさん含まれていますからね。汚れた衣類や布団は、洗濯する前に『塩素系漂白剤』を使うか、85度以上のお湯に1分以上浸して『熱湯消毒』をしてください。アルコールではダメですよ。まるで、頑固な泥棒が隠れたアジトに、強力な爆弾を仕掛けるようなイメージです。(これはフィクションです)そして、洗濯機の洗濯槽も、念のため洗浄しておくと安心です。床や壁が汚れてしまった場合も、拭くだけでなく、塩素系漂白剤でしっかり拭き取るようにしましょう。ウイルスは乾いた後も残って、空気中に舞い上がってしまうことがあるので、要注意です。」
症状が治まっても油断大敵!~ウイルスは3週間も体に潜伏?!~
「ともひろ君、症状が落ち着いて元気になっても、しばらくは注意が必要なんですよ。」
私は真剣な顔で言いました。
「どういうことですか?」
「実は、症状が治まって体調が回復した後も、ウイルスは便の中に3週間程度は排泄され続けるんです。まるで、泥棒が一度隠れ家に身を潜めても、すぐには完全に姿を消さないように、しばらくは痕跡を残すようなものです。(これはフィクションです)だから、トイレの後や、食事の前、お料理をする前には、手洗いを特に念入りに行ってください。ともひろ君自身も、『まだウイルスを持っているかもしれない』という意識を持つことが大切です。もちろん、お母さんも手洗いを徹底して、ご家族みんなで感染を防ぎましょう。」
「3週間もですか!知りませんでした。」
お母さんは驚きを隠せない様子でした。
「これから梅雨の時期に入ると、ウイルス性の胃腸炎に加えて、今度は『細菌性胃腸炎』、つまり食中毒が増えてきます。特に食べ物には十分気を付けて、しっかり火を通す、生ものは避けるなど、食品衛生に注意してくださいね。」
安心を手に!ユアクリニックお茶の水の杉原院長からのメッセージ
ともひろ君は、点滴を受けて少し元気を取り戻し、お母さんに手を引かれながら、診察室を後にしました。お母さんの顔には、少し安心の色が浮かんでいます。
私たちユアクリニックお茶の水では、感染症の予防、特にワクチン接種を最も重要だと考えています。杉原院長は、ベビーヘルメット治療の専門家であるだけでなく、小児アレルギーや小児漢方にも精通していますが、何よりもお子さんたちが健康で元気に過ごせるよう、予防医療に力を入れています。
今回の感染性胃腸炎のように、季節外れの流行があることもありますが、正しい知識と予防策で、お子さんを病気から守ることができます。何か心配なことがあれば、いつでもユアクリニックお茶の水にご相談ください。
