🧐 フルミストの接種が「要注意」のお子さん!どんな時に特に気を付けたらいいの?
ユアクリニックお茶の水の院長、杉原 桂です。
前回は、インフルエンザの鼻スプレーワクチン「フルミスト」を「絶対に接種できない方(接種不適当者)」についてお話ししましたね。
今回は、「絶対にダメ」ではないけれど、「接種の前に特に注意が必要で、慎重に判断すべき方(接種要注意者)」について、分かりやすくご説明します。
これは、「お子さんの健康状態や体質をよーく見て、お医者さんが細心の注意を払って接種するかどうかを決める必要がある方」という意味です。これは、お子さん一人ひとりに合わせた安全なワクチン接種を目指す上で、とても大切なステップなんですよ!
🚨 接種前に教えてほしい!特に注意が必要なケース(要注意者)
フルミストは生ワクチンなので、普通の注射(不活化ワクチン)に比べて、接種前に確認すべき項目が多くなります。
おうちの方が、お子さんの普段の様子や病気の記録をよく知っているからこそ、ぜひ以下の点に当てはまるか教えてくださいね。
1. アレルギー体質で気を付けたいこと
| 注意が必要なケース | どんな人に当てはまる? | なぜ注意が必要? |
| ゼラチンへのアレルギーがある方 | ゼラチンを含む食品や薬で、ひどいアレルギー反応(じんましん、息苦しさなど)が出たことがある方。 | ワクチンの中には、安定剤としてゼラチンが使われていることがあります。アレルギー反応が出るリスクがあるためです。 |
| 鶏卵・鶏肉などへのアレルギーがある方 | 鶏卵、鶏肉、その他鶏から作られたもので、アレルギーが出たことがある方。 | フルミストのウイルスは鶏の卵を使って作られています。ごくわずかですが、アレルギー反応が出るリスクがあるからです。 |
| 以前の予防接種で発熱や発疹が出た方 | 過去の予防接種から2日以内に熱が出たり、全身に発疹などのアレルギー症状が出たことがある方。 | 体質的に副反応(ワクチン接種後の体の反応)が出やすい可能性があるので、今回の接種でも同様の反応が出ないか慎重に観察するためです。 |
2. 持病(基礎疾患)がある方
| 注意が必要なケース | どんな人に当てはまる? | なぜ注意が必要? |
| 心臓、腎臓、肝臓、血液などの持病がある方 | 心臓血管系(心臓や血管)、腎臓、肝臓、血液の病気や、発達に遅れなどがある方。 | これらの病気がある方は、ワクチンの効果が出にくかったり、病気の症状が悪化したりする可能性がないか、特に注意が必要です。 |
| ぜんそくがある、または息苦しい症状がある方 | 重度のぜんそく(小児ぜんそくなど)の持病がある方、または最近「ぜいぜい」という喘鳴(ぜんめい)の症状がある方。 | ワクチンのウイルスが鼻や喉に作用するため、一時的に症状が悪化しないか慎重に判断する必要があります。 |
| けいれんを起こしたことがある方 | 熱性けいれんも含め、過去にけいれん(ひきつけ)を起こしたことがある方。 | 体調の変化で再びけいれんを起こすことがないか、特に注意深く観察する必要があります。 |
| 免疫に関する持病がある方 | 過去に「免疫不全」(病気と戦う力が弱いこと)と診断された方、または家族に同じ病気の人がいる方。 | 生ワクチンは免疫力が極端に弱い方には接種できませんが、判断が難しい場合があるので、病気の程度を確認し、慎重に判断します。 |
💊 接種前後に注意が必要な「飲み薬」
フルミストを接種する際、普段飲んでいるお薬にも注意が必要です。
1. 抗インフルエンザウイルス剤
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オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)などの抗インフルエンザウイルス薬を飲んでいる場合や、接種予定日近くに飲む予定がある場合。
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【注意点】 これらの薬はインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。生ワクチンであるフルミストのウイルスも増殖しにくくなり、ワクチン本来の効果が得られなくなる可能性があります。
2. ライ症候群のリスクがあるお薬
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サリチル酸系の薬(アスピリンなど)、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸などの解熱鎮痛剤を飲んでいる場合。
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【注意点】 これらの薬は、インフルエンザや水ぼうそうなどのウイルス感染症の回復期に服用すると、「ライ症候群」という重い病気(脳や肝臓に重い障害が起こる病気)との関連が指摘されています。フルミスト接種後の発熱時にこれらの薬を安易に使用しないように、特に注意が必要です。
👨⚕️ 院長からの最後のお願い
私たちは、お子さんの健康状態をしっかりとお伺いし、「ワクチンを接種するメリット(有用性)」と「副反応などのリスク」を天秤にかけて、一番安全な選択をしたいと考えています。
もし、今日お話しした「要注意者」のどれかに当てはまると思ったら、遠慮なく、すべて私に教えてくださいね。
小児アレルギーや小児漢方の知見も活かし、お子さんの体質を考慮した上で、最善の予防を一緒に考えていきましょう!
