赤ちゃんの鼻水、どうする?現役小児科専門医が教える安心ケア!
今年の七夕は、あいにくの雨になりそうですね。織姫様と彦星様は会えるでしょうか?毎年この時期になると、七夕の短冊に何を書こうか悩んだものです。子どもの頃は、お菓子がたくさん食べられますように、とか、新しいおもちゃがもらえますように、とか、そんな他愛もないお願いばかりでしたね。
院長の杉原です。
さて、今日は赤ちゃんの鼻水についてお話ししましょう。新米ママで、ユアクリニックお茶の水で看護師をしているひなみさんから、こんな相談を受けました。
鼻水ってどうすればいいの?
「杉原先生、ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど…。」
いつもの元気がないひなみさん。どうしたのかな?
「実は、みずほの鼻水が止まらなくて。サラサラした鼻水がツーっと出てくるんですけど、これってどうすればいいんでしょうか?」
ひなみさんは心配そうに、みずほちゃんの写真を見せてくれました。画面の中のみずほちゃんは、確かに鼻水で鼻の頭がテカテカしています。
「なるほど、みずほちゃん、鼻水が出ているんですね。鼻水が出ると、赤ちゃんは苦しそうで心配になりますよね。」
「はい、夜もぐずりがちで、しっかり眠れているのか心配で…。」
「うんうん、よくわかります。鼻水が出ると、ミルクを飲むのも大変になることもありますからね。そこで、今日は赤ちゃんの鼻水ケアについて、いくつかお話ししましょう。」
鼻水の治療、二つのアプローチ
「赤ちゃんの鼻水の治療法は、大きく分けて2つあります。一つは物理的に鼻水を取り除く方法、もう一つはお薬を使う方法です。」
「物理的に取り除く、ですか?」ひなみさんが首をかしげます。
「はい、そうです。具体的には、市販の鼻吸い器で吸い取ってあげたり、食塩水を鼻に点して流してあげたりする方法です。ご自宅でできるホームケアとしては、私は鼻吸い器などで吸い取ってあげることをお勧めしています。」
「食塩水って、赤ちゃんに使っても大丈夫なんですか?」
「はい、心配ありません。生理食塩水といって、人間の体液とほぼ同じ濃度の食塩水なので、赤ちゃんにも安心して使えますよ。鼻の粘膜を刺激することなく、鼻水を柔らかくして出しやすくする効果が期待できます。」
ひなみさんは真剣な表情でメモを取っています。
「鼻吸い器を使うときに、何かコツはありますか?」
「そうですね、赤ちゃんが嫌がらないように、お風呂上がりなど、体が温まってリラックスしている時が良いでしょう。あとは、無理に奥まで入れすぎないように、優しく吸い取ってあげてくださいね。吸い取った後は、鼻の穴の周りを優しく拭いてあげましょう。」
お薬を使うときは?
「先生、お薬を使うのはどんな時ですか?」
「お薬を使う場合は、少し専門的な話になりますが、副交感神経をブロックする薬や、交感神経を刺激する薬があります。理屈の上では鼻水を減らす効果が期待できますが、安全性という点で問題があることも少なくありません。」
「安全性ですか?」
「はい。例えば、アレルギーが原因で鼻水が出ている場合は、抗アレルギー薬というお薬を全身、あるいは局所的に使うことで原因を抑えることができます。これは、アレルギー反応によって分泌されるヒスタミンなどの物質を抑えることで、鼻水を抑える効果が期待できます。」
「なるほど。じゃあ、風邪の場合はどうですか?」
「ウイルス感染による鼻水の場合、実はインフルエンザなど一部のウイルスを除いて、ウイルスそのものをやっつける抗ウイルス薬はありません。つまり、根本的な原因療法がないんです。」
安易な対症療法は避けて
「巷では、鼻水を減らすために抗ヒスタミン薬というお薬を使う内科や耳鼻咽喉科の先生もいらっしゃいます。これは、鼻水を止める効果が期待できるのですが、同時に抗コリン作用といって、他の副作用も出てしまうことがあるんです。」
「副作用って、どんなものですか?」ひなみさんの顔色が少し変わります。
「はい。例えば、眠気を起こしやすくなったり、学習能力が低下したり、認知能の発達を妨げたりする副作用が報告されています。小さなお子さん、特に乳幼児には、このような副作用のリスクがあるため、小児科専門医はお勧めしていません。」
「そんな副作用があるんですね…知らなかったです。」
「ええ、だからこそ、安易な対症療法は避けるべきなんです。赤ちゃんの成長発達に影響を与えてしまう可能性は、できるだけ避けたいですからね。」
鼻水が黄色くなってきたら?
「先生、鼻水が黄色っぽくなってきたら、細菌感染のサインだって聞いたんですけど…。」
ひなみさんが心配そうに尋ねます。
「そう思われる方も多いのですが、実は鼻水が色づくのは、その場所に白血球が集められるためで、細菌感染とは限りません。ですから、色がついているからといって、すぐに抗菌薬を使うのは適切ではありません。抗菌薬は細菌にしか効きませんし、場合によっては有害な影響を及ぼすこともあります。」
「えー!そうなんですか!?てっきり細菌のせいだとばかり…。」
「よくある誤解なんです。鼻水の色だけで細菌感染を判断するのは難しいですし、不必要な抗菌薬の使用は、かえって耐性菌の問題などを引き起こす可能性もあります。」
「そうなんですね。じゃあ、鼻水の色で判断するんじゃなくて、何で判断すればいいんですか?」
「大事なのは、鼻水や鼻づまりの程度、そして赤ちゃんの全体的な状態です。元気があるか、ミルクは飲めているか、熱はないか、など総合的に見て判断します。もし、心配な症状があれば、いつでもご相談ください。鼻水や鼻づまりの程度によって、安全性を優先した治療を選んでいきましょう。」
「はい!よくわかりました!ありがとうございました、先生!」
ひなみさんの表情が、最初よりもずっと明るくなりました。みずほちゃんの鼻水が早く治ることを願っています。
まとめ:赤ちゃんの鼻水は焦らず安全にケアを
赤ちゃんの鼻水は、保護者の方にとって心配の種になりがちです。しかし、今日お話ししたように、鼻水の色だけで細菌感染を判断したり、安易に抗ヒスタミン薬を使ったりすることは避けるべきです。
【赤ちゃんの鼻水ケアのポイント】
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まずは物理的な除去を試す: 鼻吸い器や食塩水での洗浄が効果的です。
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薬は慎重に検討: 特に乳幼児への抗ヒスタミン薬の使用は、副作用のリスクがあるため注意が必要です。
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鼻水の色だけで判断しない: 黄色い鼻水でも細菌感染とは限りません。
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総合的な状態を観察: 赤ちゃんの元気や食欲、熱の有無などをよく見て、心配な場合は早めに受診しましょう。
ユアクリニックお茶の水では、お子さんの状態を丁寧に診察し、お子さん一人ひとりに合った安全で適切な治療法をご提案しています。鼻水のことだけでなく、お子さんの健康について気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。予防接種や健診なども、ぜひご利用くださいね。
