新生児, 乳児, 育児トラブル, 小児科, おへそのケア, 出べそ { "@context": "https://schema.org", "@type": "MedicalWebPage", "name": "赤ちゃんのへそトラブル解説:臍出血・臍肉芽腫・臍炎・臍ヘルニア", "description": "新生児・乳児期に見られるおへそのトラブル(臍出血、臍肉芽腫、臍炎、臍ヘルニア)について、小児科医が専門的見地から解説します。", "provider": { "@type": "MedicalOrganization", "name": "ユアクリニックお茶の水" }, "mainEntity": { "@type": "MedicalCondition", "name": "臍のトラブル", "associatedAnatomy": { "@type": "AnatomicalStructure", "name": "おへそ(臍)" } } }
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赤ちゃんのおへそ

ユアクリニックお茶の水から、新生児期から乳児期にかけて多くの保護者様が直面するおへそのトラブルについて、4つの項目に分けて解説いたします。

赤ちゃんの健やかな成長を見守るおへそのケア

赤ちゃんの誕生とともにその役割を終えるへその緒ですが、おへそが完全に乾いて落ち着くまでの期間は、非常にデリケートな状態にあります。いわば、身体にある小さな窓が開いているような状態ですので、適切な知識を持って見守ることが大切です。今回は、特によく見られる4つのケースについて、専門的な視点から論理的にご説明します。

1. 臍出血(さいしゅっけつ):傷口が安定するまでの一時的なにじみ

まず、へその緒が取れた直後に見られることがあるのが臍出血です。これは、おへそという傷口が完全に塞がる過程で生じる一時的なにじみのようなものです。転んで膝を擦りむいた際に、かさぶたが安定するまで少し血が混じるのと似ています。産院で指導された通りの処置を2、3日継続し、清潔を保っていれば自然に治まります。ただし、出血が止まらずに量が増えたり、何日もだらだらと続いたりする場合は、血液を固める力が未熟な可能性もありますので、速やかに受診を検討してください。

2. 臍肉芽腫(さいにくげしゅ):修復過程で生じた組織の塊

次に、おへその中に小さな赤いお肉の塊のようなものが残ることがあります。これを臍肉芽腫と呼びます。へその緒が取れた後の残り香のような組織が、過剰に盛り上がってしまった状態です。イメージとしては、お肌の修復担当者が少し張り切りすぎて、余分なパーツを作ってしまったような形です。塊が小さければ乾燥を待つこともありますが、大きい場合はお薬で焼き切るなどの専門的な処置が必要になります。

かつては硝酸銀というろう石のような物体で化学的で焼いたものでした。いまはリンデロンVG軟膏で治るためにこの石も販売停止になりました。また諸外国では自宅において食卓塩を湿った臍にあてて乾かして治すという方法もつかわれています。

3. 臍炎(さいえん):早急な対応を要する細菌感染

注意が必要なのは、おへその周りが赤く腫れてくる臍炎です。これは、おへそというゲートから細菌が侵入し、炎症を起こしている状態を指します。おへそから膿が出たり、熟したトマトのように赤く腫れ上がったりするのが特徴です。放置すると細菌が血流に乗って全身に広がるリスクがあるため、これはお身体からのイエローカードだと認識してください。主治医の指示に従い、抗菌薬の内服や適切な消毒を行い、菌を退治する援軍を送り込む必要があります。

4. 臍ヘルニア:腹壁の未発達によるおへその膨らみ

生後1ヶ月を過ぎる頃におへそがぷっくりと膨らむ臍ヘルニア、いわゆる出べそについてです。赤ちゃんの腹壁の筋肉はまだ未完成で、網目の緩いネットのような状態です。泣いたり力んだりした際に、その隙間から腸が風船のように押し出されることで膨らみます。見た目に驚かれるかもしれませんが、多くの場合、1歳頃までには腹筋が発達して自然に閉じます。かつては硬貨を貼るなどの処置も行われていましたが、皮膚を傷めたり感染の原因になったりするため、しばらくは積極的な推奨はされない時代がありました。ところが、医学は変わります。おさえたほうが効果があるとわかってからは、硬貨ではないものの綿球でおさえる医療がはじまりました。当院でもしばらく自作のへそ圧迫剤をつくって提供してきましたが、最近は清潔な専用グッズも販売されるようになりました。ニチバンへそ圧迫剤パック

5.臍の消毒について

新生児のおへそのケア、いわゆる臍帯(さいたい)ケアについて、従来の方法とは異なる新しい常識が定着しつつあることをご存じでしょうか。かつては、お風呂上がりに毎日アルコールやイソジンで消毒することが育児の必須項目とされていました。しかし、現在、ユアクリニックお茶の水を含む多くの医療機関では、消毒を行わない「ドライテクニック」を推奨しています。なぜ消毒が不要になったのか、そして家庭では具体的にどのようなケアを行えばよいのか、医学的な根拠に基づき解説します。

まず、私たちが目指すのは「へその緒を早く、きれいに乾かすこと」です。へその緒は、いわば生まれた後に残った傷口のようなものです。皆様も擦り傷をした際、傷口が乾いて「かさぶた」になり、自然と治っていく過程を経験されたことがあるでしょう。へその緒もこれと同じ原理です。過度な消毒は、皮膚を再生しようとする細胞の働きを阻害したり、あるいは乾燥を遅らせたりする可能性があります。何もしないで乾燥させることこそが、最も生理的で理にかなった治癒プロセスなのです。これをドライテクニックと呼びます。

日本では毎日の入浴(沐浴)が習慣化していますが、この文化とドライテクニックは矛盾しません。おへそをお湯で洗うこと自体は何ら問題ありません。重要なのは、その後の処置です。「濡れたままにしない」こと、これに尽きます。沐浴後は、清潔なタオルや綿棒を用いて、おへその一番奥、つまりジュクジュクしやすい根元の部分の水分を優しく拭き取ってください。この際、消毒液をつける必要はありません。水分を取り除くという物理的なケアだけで十分です。

もちろん、経過観察は必要です。へその緒が取れる前後に、少量の出血や浸出液が見られたり、特有の臭いがしたりすることは珍しくありません。これらは正常な反応であることが多いのです。しかし、注意すべきサインもあります。おへその周りの皮膚が赤く腫れ上がっている、明らかに膿が出ている、触れると痛がって激しく泣く、あるいは発熱を伴う場合です。これらは「臍炎(さいえん)」という細菌感染の兆候である可能性があります。また、生後3週間を過ぎてもへその緒が取れない場合や、取れた後に赤い肉の盛り上がり(肉芽)が治らない場合も専門的な判断が必要です。

私たちは、保護者の皆様が抱く「消毒しないと化膿するのではないか」という不安をよく理解しています。しかし、最新のデータでは消毒をしなくても感染率は変わらず、むしろへその緒が早く取れるという結果が出ています。正しい知識と適切な観察があれば、過剰な薬液使用は不要です。もし、おへその状態に少しでも違和感を覚えた際は、自己判断せずに当院までご相談ください。赤ちゃんの健やかな成長のために、シンプルかつ適切なケアを実践していきましょう。

おへその状態は、赤ちゃんの健康状態を映す一つのサインです。日々の着替えや沐浴の際に、色や形、臭いに変化がないか優しく観察してあげてください。少しでも不安を感じた際は、私たち専門医が適切な判断を行いますので、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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