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急性呼吸器感染症などへの対策に関するQ&A







令和8年度 夏期・通年対応版

お家と学校でできる!
急性呼吸器感染症(ARI)対策Q&A

「インフルエンザや新型コロナって、夏でも流行るの?」「熱が出たとき、お家で何に気をつけたらいい?」
厚労省の最新ガイドラインをもとに、小児科専門医が高校生でもわかるようにやさしく解説します。

監修:ユアクリニックお茶の水 院長 杉原(小児科専門医)

1. 急性呼吸器感染症(ARI)ってなに?

まずは、最近ニュースや医療機関でよく耳にする「急性呼吸器感染症(ARI)」という言葉の基本について解説します。

Q1

急性呼吸器感染症(ARI)とは何ですか?

急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection = ARI)とは、鼻、のど、気管、気管支、肺といった「呼吸をするときに使う空気の通り道(呼吸器)」にウイルスや細菌が感染して急激に起こる、さまざまな病気(症候群)のまとめ役のような呼び名です。

具体的には、以下のようなおなじみの感染症がすべて「ARI」の仲間として含まれます。

  • インフルエンザ
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
  • RSウイルス感染症
  • 咽頭結膜熱(プール熱)
  • A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
  • ヘルパンギーナ
  • 百日咳(ひゃくにちぜき)
  • マイコプラズマ肺炎

Q2

なぜ、これらの病気を「ARI」としてまとめて対策するのですか?

これらの中には、ウイルスによるものもあれば、細菌によるものもあります。しかし、どれも「せきやくしゃみのしぶき(飛沫)」や「ウイルスがついた手で触ること(接触)」で広がるという共通点があります。

そのため、個別の病気ごとにバラバラに対策を立てるのではなく、これらを「一つのまとまった仲間(症候群)」として捉えて、年間を通じて一体的な感染予防を呼びかけることで、流行を全体的に抑え、万が一新しい強力な呼吸器の感染症が出現したときにも素早く対応できるようにしています。

代表的な急性呼吸器感染症(ARI)の比較一覧表

病気の名まえ 主なうつり方 基本再生産数(R₀)※ 代表的な治療方法
インフルエンザ 飛沫、接触 約 1.3 ~ 1.8 人 水分補給などの対症療法、抗ウイルス薬
新型コロナウイルス 飛沫、接触、エアロゾル 約 8 ~ 12 人以上(オミクロン株) 対症療法、重症化リスクがある場合は抗ウイルス薬
RSウイルス感染症 飛沫、接触 約 2 ~ 3 人 呼吸を楽にするための対症療法
溶連菌感染症(細菌) 飛沫、接触 約 2 ~ 3 人 原因菌をたたくための「抗菌薬(抗生物質)」
マイコプラズマ肺炎(細菌) 飛沫、接触 約 1.7 ~ 2.5 人 特定の「抗菌薬(抗生物質)」による治療

※基本再生産数(R₀:アール・ノート)とは:
まだ誰もその感染症に対する免疫(抵抗力)を持っていない集団の中で、1人の感染者が「平均して何人に感染を広げてしまうか」を表す科学的な指標です。数字が大きいほど、周りに広がりやすい強い感染力を持っていることを意味します。

2. インフルエンザについて詳しく知ろう!

冬の代名詞のようなインフルエンザですが、近年は流行の時期がずれるなど、状況が変わってきています。

Q3

インフルエンザの特徴的な症状を教えてください。

普通の風邪に比べて、「38℃以上の急な発熱」「頭痛」「関節痛や筋肉痛」「全身のだるさ(倦怠感)」が急激に現れるのが大きな特徴です。これらに加えて、のどの痛み、鼻水、せきなどの症状も伴います。

お子様では、まれに急激に脳の働きが乱れる「急性脳症」を起こすことがあり、高齢の方や免疫力が低下している方では肺炎を併発するなど、重症化することがあるため注意が必要です。

Q4

インフルエンザはいつ流行するのですか?夏にもかかるの?

日本では、昔から例年12月〜3月頃が本格的な流行シーズンとされてきました。

しかし、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行して以降、インフルエンザの流行パターンに変化が生じています。実際に、令和6年(2024年)には例年よりもかなり早い時期から本格的な流行が始まり、12月に流行のピークを迎えるといったことが起きました。気候の変化や海外との往来の増加などにより、夏場であっても局所的に流行することがあるため、季節を問わず警戒が必要です。

Q5

いま国内で流行しているインフルエンザウイルスの種類は?

インフルエンザウイルスは「A型」「B型」「C型」「D型」の4つに大きく分けられますが、人に大きな流行を起こすのは主にA型とB型です。

現在、日本国内で流行が確認されているのは以下の3つの種類です。

  • A(H1N1)亜型(かつての新型インフルエンザが季節性になったもの)
  • A(H3N2)亜型(いわゆる「香港型」と呼ばれるもの)
  • B型(ビクトリア系統)

なお、かつて流行していた「Aソ連型」や、B型のうち「山形系統」と呼ばれるウイルスは、2020年以降、世界的に全く検出されていません。

Q6

「季節性インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」はどう違うの?

季節性インフルエンザ:
ウイルスの形が毎年少しずつ変化しながら、毎年決まった時期に流行するインフルエンザです。多くの人が過去にかかったりワクチンを打ったりして、ある程度の「免疫(抵抗力)」を持っています。

新型インフルエンザ:
ウイルスの性質や形が「これまでとは全く異なるもの」に突然変異して現れたものです。ほとんどの人間がそのウイルスに対する免疫を持っていないため、全国的、世界的に急激にまん延します。

新型インフルエンザはいったん大流行(パンデミック)を起こすと、社会や医療体制に大きな影響を与えます。しかし、年月が経ち、多くの人がその新しいウイルスに感染したりワクチンを接種したりして免疫を獲得すると、やがて毎年の「季節性インフルエンザ」として落ち着いていきます。平成21年(2009年)に大流行した新型インフルエンザも、平成23年からは季節性インフルエンザとして扱われています。

Q7

インフルエンザに感染したら、絶対に抗ウイルス薬を飲まないといけない?

実は、すべての人に薬の服用が必須というわけではありません。

健康な方であれば、インフルエンザは特別な薬を飲まなくても、お家で水分をとってゆっくり休む(自然経過)ことで、4〜5日ほどで熱が下がり、自然に治っていきます。

抗ウイルス薬(タミフルやイナビルなど)は、「乳幼児」「高齢の方」「もともと基礎疾患がある方」など、重症化しやすいリスクがある方に対して特に効果を発揮するお薬です。

もし薬を使用する場合は、発症してから48時間以内(熱や症状が出てから2日以内)に飲み始める必要があります。これ以降に飲み始めても、すでに体の中でウイルスが増えきってしまっているため、十分な治療効果は期待できません。お薬を使うべきかどうかは、症状が出た時間や体の状態をもとに、医師が適切に判断します。

Q8・Q9

薬が効かない「薬剤耐性(たいせい)インフルエンザ」ってなに?日本でも流行ってる?

「薬剤耐性インフルエンザウイルス」とは、インフルエンザウイルスが体の中で増殖していく過程で、偶然遺伝子が変異し、本来よく効くはずの抗ウイルス薬(タミフルなど)が「効きにくく」なってしまったウイルスのことです。

ただし、「薬が効きにくい」だけであって、ウイルス自体の毒性が強くなったり、感染力がめちゃくちゃ強くなったりしているわけではありません。また、ワクチンの効果が落ちることもありません。

日本国内では、全国の地方衛生研究所などが常にこの耐性ウイルスを監視していますが、検出される割合は毎年1〜2%程度とごくわずかです。検出されるケースのほとんどが「すでに薬での治療を始めた後に、ウイルスが変異したもの」であり、市中で耐性ウイルスばかりが広く流行しているわけではありません。

⚠️ 【超重要】熱が出たときの「異常行動」と「転落事故防止」

インフルエンザにかかったとき、お薬(タミフルなど)を飲んでいる・飲んでいないにかかわらず、急に走り出したり、窓から飛び降りようとしたりする「異常行動」が報告されています。

これはお薬の副作用というよりも、インフルエンザによる高熱そのものが脳に何らかの影響を及ぼしている可能性が考えられています。特に、就学期以降の小学生・中学生・高校生などの男の子に多く、熱が出始めてから2日以内に起こりやすいことがわかっています。

お家で療養するときに、絶対に守ってほしい対策(少なくとも発熱から2日間)
  • 窓や玄関の鍵を完全に閉める: 鍵をかけるだけでなく、サッシの補助錠や内鍵もしっかり閉めましょう。
  • 寝かせる部屋を工夫する: ベランダに面していないお部屋や、窓に格子があるお部屋で寝かせましょう。
  • 1階で寝かせる: 一戸建てにお住まいの場合は、できる限り階段の上り下りがない1階の部屋で療養させましょう。
  • 一人にしない: 少なくとも発熱から最初の2日間は、保護者の方がこまめに様子を見て、目を離さないようにしてください。

3. 新型コロナウイルス感染症について

令和5年5月に「5類感染症」へ移行して以降、私たちの暮らしに身近な病気になりましたが、いまだに警戒が必要です。

Q12

新型コロナウイルス感染症は、何が一番こわいのですか?

一番のリスクは、「重症化のリスク」と「後遺症」です。

特に、小さな乳幼児、お年寄り(特に80歳以上の後期高齢者)、心臓病や慢性呼吸器疾患などの持病(基礎疾患)がある方が感染すると、重症の肺炎を起こすリスクが極めて高くなります。実際に死亡される方の大部分は、80歳以上の高齢の方が占めています。

また、若い世代であっても、熱が下がって治ったはずなのに、せきやだるさ、集中力の低下、頭痛、味覚・嗅覚の違和感といった不調(罹患後症状・後遺症)が数ヶ月にわたって長く続いてしまうケースがあることも、この病気のやっかいな特徴です。

Q13

新型コロナは、いつ流行するのですか?

これまでの流行データを分析すると、5類に移行してからも「毎年、夏と冬の年2回」、大きな流行の波がやってくるはっきりとした傾向が見られます。

特に夏場は、エアコンの使用によって部屋を閉め切りがちになり、空気の入れ換え(換気)が不十分になることや、お盆休みなどの人の大移動が重なることで流行が加速しやすいと考えられています。

Q14

これまでの新型コロナの状況や、行政の対応はどう変わったの?

令和2年(2020年)の国内初確認から5類に位置づけられるまでの間に、日本では約3,400万人以上が感染し、7万4千人以上の方が亡くなりました。この間、緊急事態宣言や行動制限、お店の休業要請など、私たちの社会は大きな影響を受けました。

令和5年(2023年)5月8日以降は、法律に基づく強制的な入院措置や就業制限を伴う厳しい管理から、「個人の判断と、自発的な取り組み」を基本とする「5類感染症」へと変更されました。

現在も行政や専門機関は、定点医療機関からの報告や、下水のウイルス量チェックなどを通じて常に流行の動向や変異株の発生を監視しています。もしウイルスの毒性が突然強くなるような事態が起きた場合は、直ちに対策を見直すことになっています。

4. 自分でできる!感染を防ぐ「5つの約束」と換気のコツ

ARIの仲間は、すべて空気の通り道からうつります。毎日の生活でできる基本的な予防をもう一度確認しましょう。

01
帰ってきたら「正しい手洗い」

外から帰ったら、すぐに石けんと流水で手を洗いましょう。手についたウイルスを物理的に洗い流すのが、すべての予防の基本です。アルコール消毒(エタノール濃度80%前後)も、インフルエンザや新型コロナに非常に効果的です。

02
お部屋の乾燥を防ぐ(湿度50〜60%)

空気が乾燥すると、のどや鼻の粘膜にある「ウイルスを外に追い出すバリア機能」が弱くなってしまいます。特にエアコンや暖房を使って乾燥しやすい部屋では、加湿器などを使って適切な湿度(50%〜60%)をキープしましょう。

03
ぐっすり眠って、バランスよく食べる

どれだけ周りでウイルスが流行していても、体自身の免疫力(抵抗力)が高ければ、感染を防いだり軽症で済ませたりできます。夜更かしを避けてしっかりと睡眠をとり、栄養バランスのよい食事を心がけてください。

04
人混みを避ける・不織布マスクの活用

流行期には、持病がある方、妊婦さん、体調がすぐれない方は、できるだけ人が多く集まる場所への外出を控えましょう。やむを得ず外出する場合は、防御力が高い「不織布(ふしょくふ)製のマスク」をすき間なく着用することが効果的です。

💡 熱中症も防ぎたい!夏場におけるお部屋の換気の工夫

新型コロナやインフルエンザの予防には「こまめな換気」がとても大切ですが、暑い夏場に窓をずっと開けっ放しにすると、室温が急上昇して「熱中症」のリスクが急激に高まります。熱中症は短時間で命に関わる重篤な事態を招くため、夏場は以下の工夫を取り入れて、熱中症対策を優先しながら換気を行いましょう。

お部屋の賢い換気テクニック
  • 家庭用エアコンは「換気」をしていない: 一般的なエアコンは、室内の空気を吸い込んで冷やして戻しているだけで、外の空気と入れ換えは行っていません。これを知っておくことが大切です。
  • 換気扇や24時間換気システムは「常にON」: 台所や浴室の換気扇、お家にある「24時間換気システム」は常に動かしておきましょう。これだけで室温を上げずに最低限の空気が入れ換わります。
  • 窓開け換気は「外が涼しい時間」に集中して: 日中の最も暑い時間帯の窓開けは避け、朝や夕方以降など、外の気温が下がったタイミングで窓を大きく開けて空気の入れ換えをしましょう。
  • 窓を開けるときは「対角線」を意識する: 部屋の対角線上にある窓やドアを2箇所あけると、風の通り道ができて一気に空気が入れ換わります。窓が1つしかない場合は、部屋のドアを開け、扇風機を窓の外に向けて回すと効果的です。
  • 空気清浄機の併用も効果的: 暑すぎて十分に窓を開けられない場合は、目の細かい「HEPA(へぱ)フィルター」を搭載した空気清浄機を併用すると、空気中のウイルスなどの微粒子を除去する助けになります。

Q16

「もしかしてかかったかな?」と思ったら、どう動けばいい?

まずは無理をして学校や職場に行かず、お家で安静にして休養をとりましょう。その上で、以下のポイントを守ってください。

1. 周りにうつさない「せきエチケット」の徹底
せきやくしゃみが出るときは、飛沫を飛ばさないよう不織布マスクをつけましょう。マスクがないときは、ティッシュや腕の内側(袖口)で口と鼻をしっかり覆い、顔を他の人に向けないようにします。手のひらでせきを受け止めた場合は、すぐに手を洗いましょう。

※お子様のマスクについての注意:
赤ちゃんのマスクは窒息や熱中症の危険が高いため、2歳未満のお子様にはマスクを着用させないでください。2歳以上のお子様についても、体調や暑さに合わせて周りの大人が十分注意してあげてください。

2. こまめな水分補給
熱が出ると、汗をかいて体の中の水分が失われやすくなります。お茶、スポーツドリンク、スープなど、本人が飲みやすいものを少しずつ、こまめに飲ませてあげましょう。

3. 早めの医療機関受診を考えるサイン
「高い熱が何日も下がらない」「呼吸が苦しそう(肩で息をしている、息を吸うときに胸のあたりがペコペコ凹む)」「ぐったりして目が合わない、呼びかけへの反応がおかしい」といった様子がある場合は、ためらわずに早めに小児科や医療機関を受診してください。

5. 知っておきたい!治療薬と「抗菌薬(抗生物質)」の真実

ウイルスをたたくお薬(抗ウイルス薬)と、細菌をたたくお薬(抗菌薬)は、まったくの別物です。

Q17

インフルエンザや新型コロナの治療薬にはどんなものがあるの?

それぞれのウイルスに直接働きかけて、体の中での増殖を抑える「抗ウイルス薬」があります。

インフルエンザの主な治療薬:
おなじみのタミフル(カプセル・粉薬)のほか、吸入薬のリレンザやイナビル、点滴薬のラピアクタ、そして新しい錠剤のゾフルーザなどがあります。

※ゾフルーザ(一般名:バロキサビル)の小児への使用について:
日本感染症学会や日本小児科学会のガイドラインにより、「1歳〜5歳以下のお子様には積極的な使用を推奨しない」「体重10kg未満のお子様には使用できない」といった、年齢や体重に応じた慎重な基準が設けられています。当院でも、これらのガイドラインを厳密に守って処方を行っています。

新型コロナの主な治療薬:
ラゲブリオ、パキロビッド、ゾコーバ(いずれも飲み薬)、ベクルリー(点滴薬)などがあります。

※お薬を処方する際の大切な注意点:
新型コロナの飲み薬の一部(ラゲブリオやゾコーバ)は、お腹の赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるため、妊婦さんや妊娠している可能性がある女性は飲むことができません。また、すでに飲んでいる他の薬と一緒に飲むと危険な「併用禁忌(へいようきんき)」が非常に多いため、処方の前にお薬手帳などを使ってすべての常用薬を医師が必ず確認します。

Q18

「抗菌薬(抗生物質)」はインフルエンザや新型コロナに効くの?

結論から言うと、インフルエンザや新型コロナウイルスといった「ウイルス」に対して、抗菌薬(抗生物質)は1ミリも効果がありません。抗菌薬はあくまで「細菌」を退治するためのお薬だからです。

しかし、ウイルスに感染してのどや肺の粘膜がボロボロになると、その上から別の「細菌(肺炎球菌など)」が二重に感染しやすくなります。これらを「混合感染(二次感染)」と呼びます。

ウイルスに感染した後に、こじらせて細菌性の気管支炎や肺炎などの「合併症」を起こしてしまった場合には、その細菌を退治するために抗菌薬が処方されることがあります。医師の診察なしに、お家に余っている抗生物質を自己判断で飲むことは、薬が効かない「耐性菌」を体の中に作ってしまう原因になるため、絶対に行わないでください。

6. 学校や職場はいつから行っていい?証明書は必要?

周りの人にうつさないために、法律やルールで決まっている「出席停止期間」をしっかり理解しましょう。

Q19

感染したとき、何日間くらい外出を控えるべきですか?

学校保健安全法という法律の規則によって、以下の通り出席停止(外出を控える)期間が厳密に定められています。

🔴 インフルエンザの場合
発症した(熱が出た)後「5日」を経過し、かつ熱が下がった後「2日(幼児は3日)」を経過するまで

※発症した日(熱が出た日)は「0日目」として数えます。翌日からカウントして5日間は外出できません。

🔴 新型コロナウイルス感染症の場合
発症した(症状が出た)後「5日」を経過し、かつ症状が軽くなってから「1日」を経過するまで

※新型コロナは、発症から5日間は他人にうつすリスクが特に高いとされています。また、熱が下がったり症状が軽くなった後も、ウイルスがしばらく体から出続けるため、完全に普段の生活に戻るまではマスクを着用するなどの配慮をしましょう。

Q20・Q21

治って学校や職場に復帰するとき、「治癒証明書」や「陰性証明書」は必要?

国(厚生労働省・文部科学省)の正式な方針として、学校に復帰する際にも、職場に復帰する際にも、医療機関が発行する「治癒証明書」や「陰性証明書」を提出させる必要はなく、提出は不要とされています。

これにはいくつかの大事な理由があります。

  • 完全にウイルスがゼロになったこと(陰性)を100%正確に証明することは、一般的な検査では困難だからです。
  • すでに治っている元気な患者様が、証明書をもらうためだけに医療機関を受診すると、病院で別の新しい感染症をもらってしまう二次感染のリスクがあります。
  • 流行期に証明書を求める人が病院に殺到すると、本当に今、治療や手当てを必要としている重症の患者様の診察が遅れてしまうという医療崩壊を防ぐためです。

当院でも、学校や職場からの「提出の義務づけ」に応じるための証明書発行は、原則として行っておりません。上記の公的な方針について、ご理解をいただきますようお願いいたします。

7. 予防接種(ワクチン)のよくあるギモンを解消しよう!

予防接種は重症化を防ぐための最も科学的な武器です。正しい効果とリスクを知りましょう。

Q22

ARIの中で、国が接種を推奨している「定期の予防接種」は何があるの?

急性呼吸器感染症(ARI)の仲間のうち、予防接種法に基づいて市区町村が実施している「定期接種(公費負担や助成があるもの)」の対象となっているのは、主に以下の病気です。

  • インフルエンザワクチン
  • 新型コロナワクチン
  • 百日せきワクチン(お子様の4種混合・5種混合などに含まれます)
  • 肺炎球菌ワクチン(子どもの小児用肺炎球菌、高齢者用の高齢者肺炎球菌)
  • RSウイルスワクチン(一定の年齢や妊婦さんを対象としたもの)

Q23

ワクチンを打てば、絶対にインフルやコロナにかからなくなりますか?

残念ながら、現在のワクチンには「感染や発症を100%完全に防ぐ力」はありません。

ワクチンの最も大切な役割は、「感染した後の重症化(肺炎や脳症、入院、死亡)を強力に防ぐこと」です。

インフルエンザワクチンの場合:
国内の研究により、65歳以上のお年寄りでは「発病を約34〜55%抑え、死亡を約82%防ぐ効果」があったと証明されています。また、6歳未満の幼児を対象とした調査では、発病を防ぐ効果(有効率)は約60%と報告されています。

新型コロナワクチンの場合:
国内外の研究により、流行株(JN.1系統など)に対応したワクチンを接種することで、新型コロナによる入院を約45〜70%防ぐ効果が報告されています。

Q24

去年ワクチンを打ったのに、今年もまた打たないといけないの?

はい、インフルエンザも新型コロナも、基本的には「毎年秋〜冬」に新しく接種することが望ましいです。理由は2つあります。

1. ウイルスが毎年「モデルチェンジ(変異)」するから
インフルエンザも新型コロナも、ウイルスの形が毎年少しずつ変わっていきます。そのため、ワクチンも「そのシーズンに流行すると予測されるウイルスの型」に合わせて毎年作り直されています。去年のワクチンでは、今年のウイルスに十分に立ち向かえない可能性があります。

2. ワクチンによる免疫(抵抗力)は時間とともに減っていくから
接種してから数ヶ月を過ぎると、体の中の感染を防ぐ力(抗体)は少しずつ低下していきます。冬の本格的な大流行シーズンに合わせて、一番強いバリアを張るために、毎年受けることが推奨されています。

ワクチンについてのさらに詳しいQ&A(タップで開閉)

Q25. ワクチンの効果が、作る途中で下がってしまうことがあるって本当?
+

インフルエンザワクチンは「ニワトリの卵(発育鶏卵)」を使ってウイルスを増やして作られます。その過程で、ウイルスが卵の中で増えやすくなるようにウイルスの遺伝子が少し形を変えること(馴化:じゅんか)があります。

これにより、実際に街で流行しているウイルスとワクチンのウイルスの形に少し「ズレ(抗原性の乖離)」が生じることがあります。しかし、人間の体は、過去のいろんなインフルエンザの経験を覚えているため、少しのズレがあっても一定以上の抵抗力(交差免疫)を発揮してしっかりと体を守ってくれることがわかっています。

Q26. インフルエンザのワクチンは、A型にもB型にも両方効くの?
+

はい、両方に効果が期待できます。日本で広く使われているインフルエンザの不活化ワクチンは、A型の2つの種類(H1N1、H3N2)と、B型の1つの種類(ビクトリア系統)を合わせた「3つの種類(3価)」のウイルス成分が最初からブレンドされているため、これらすべての流行に対してしっかりと効果を発揮します。

Q27. ワクチンはいつ頃受けるのが一番いいの?
+

インフルエンザワクチン:
日本では12月下旬から本格的な流行に入り、1月末〜3月上旬にピークを迎えます。ワクチンを打ってから十分に体が戦う準備(抗体ができる)ができるまでに約2週間かかりますので、「12月中旬まで」に接種を完了させておくのがベストです。

新型コロナワクチン:
冬の感染拡大を前に、毎年秋冬の定期接種期間(10月〜12月頃)に受けることが望ましいです。

Q30. 「定期接種」として安く打てるのはどんな人?
+

インフルエンザと新型コロナの定期接種の対象者は、法律(予防接種法)で以下のように定められています。これらに該当する方は、お住まいの市区町村から費用の一部、または全額が公費で助成されます。

  • 65歳以上の高齢の方
  • 60歳〜64歳の方で、心臓、腎臓、または呼吸器の働きに重い障がい(身体障害者手帳1級相当)がある方
  • 60歳〜64歳の方で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫障がいがある方

※上記に当てはまらない方であっても、一部の自治体では独自の助成制度(子どもの接種費用の一部負担など)を行っている場合があります。お住まいの自治体のお知らせをご確認ください。

Q32. ワクチンを打った後の「副反応」には何がある?
+

体がウイルスに対する武器(免疫)を作ろうと一生懸命に働いているときに、一時的な反応が出ることがあります。

インフルエンザワクチン:
接種した場所が赤くなる、はれる、痛むなどの症状が約10〜20%の人に出ますが、通常2〜3日で自然に治まります。全身の反応として、発熱、頭痛、だるさなども約5〜10%の人に見られますが、こちらも数日で軽快します。

新型コロナワクチン:
注射した場所の痛み、頭痛、体のだるさ、筋肉や関節の痛みが比較的高い頻度で見られます。また、非常にまれですが、アレルギーによるショック反応(アナフィラキシー)や、心臓の筋肉に軽い炎症が起きる(心筋炎・心膜炎)などの重篤な反応が報告されることがあります。万が一、接種直後に息苦しさやじんましんが出た場合は、すぐに医療機関で適切な処置を行います。

Q34. ワクチンを打ったせいで、インフルやコロナにかかってしまうことはある?
+

不活化ワクチン(一般的なインフルエンザワクチンなど)や、mRNAワクチン・組換えタンパクワクチン(新型コロナワクチンなど)を打つことで、その病気を発症することは「絶対にありません」。

なぜなら、これらのお薬には「ウイルスの毒性を完全に無くしたパーツ」や「ウイルスを作るための設計図のコピー」しか入っておらず、体の中で本物のウイルスのように増殖して病気を起こす機能はハナから持っていないからです。

なお、一部の鼻から入れる弱毒生ワクチン(経鼻生ワクチン)は、非常に弱めた生きたウイルスを使うため、本物にかかったときのような軽い発熱や鼻水などの症状が出ることがあります。

心配なこと・わからないことがあれば

予防接種や感染対策について、さらに詳しく知りたい方は、厚生労働省が設置している専門の電話相談窓口へお問い合わせいただくか、受診時に当院の医師までお気軽にご相談ください。

📞 厚生労働省「感染症・予防接種相談窓口」
フリーダイヤル:0120-995-956

受付時間:午前9時 ~ 午後5時(土日・祝日・年末年始を除く)
※専門のオペレーターが丁寧に質問にお答えします。

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